薬剤師取材

健康サポート薬局とともに地域連携薬局をめざして地域住民に貢献

大賀薬局 太宰府病院前店 五條元量先生

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1902年に創業し、福岡を中心に1世紀超の歴史を持つ株式会社大賀薬局。太宰府市五条にある太宰府病院前店では、2016年に健康サポート薬局を取得したことに続き、地域連携薬局の認定も目指しています。「地域一体型薬局」を掲げ、健康サポート薬局や地域連携薬局を通じて地域に貢献することをめざす同薬局の取り組みを五條元量先生にうかがいました。

在宅医療への取り組みから健康サポート薬局を取得

―初めに薬局の概要を教えて下さい。

精神科の門前病院からの処方せんを中心に、広域で月に2000枚前後を受け付けています。スタッフは薬剤師数9人、事務員が7人です。私自身は管理薬剤師として当店舗に勤めて5年目になります。また、新型コロナウイルス感染症の影響によって研修の受講が滞ってしまったのですが、健康サポート薬局研修はすでに4、5人の薬剤師が修了しており、残りの薬剤師も順次、受講予定です。


―地域連携薬局を目指すことになったきっかけを教えて下さい。

在宅医療への取り組みから薬剤師が地域でできることに意識が向き、健康サポート薬局の認定を取得しました。これまでの取り組みをベースに、地域連携薬局へ進めていきたいと考えました。

当店舗に異動してきた当時は、精神科の処方せんが全体の9割を占めていました。一方で、異動前の店舗にいた時からお世話になっていた医師や、講演会で知り合った薬剤師の影響もあり、私自身は在宅医療に大変興味を持っていました。そこで、地域で薬剤師の在宅訪問を必要とする患者様のニーズに対応したいと考え、異動した直後から多職種連携と在宅訪問サービスに力を入れていきました。

その結果として、処方せんの集中率が低くなり、門前の精神科病院以外からの処方せんが増えていきました。少しずつ地域の人が利用していただきやすい店舗へ変化してきたと思います。そうする中で健康サポート薬局の制度が開始され、他店舗のスタッフと話したときに知る機会があり、認定を取得しました。

健康サポート薬局の役割は、地域住民の健康増進に関する相談応需や未病・予防に取り組むことです。ここには受診勧奨や市販薬を使ったセルフメディケーションの相談など、病気になる前のサポートも含まれます。一方で地域連携薬局は、病気になったあとの情報の連携などが主な役割です。例えば、入院退院時の情報提供や退院後に在宅に切り替わったときの連携が該当します。

健康サポート薬局としての活動をベースにしつつ、その上で対人業務や連携の部分を強化していけば、地域連携薬局も取得できると考えて目指すことに決めました。


「地域一体型薬局」を目指す

―健康サポート薬局の取得は会社全体の方針ですか?

当店舗が申請した当時は制度が始まって間もない時期だったこともあり、健康サポート薬局の認定を取得すること自体は、会社から明確な指示があったわけではありません。ただ、弊社の代表取締役大賀崇浩が「大賀薬局は地域一体型薬局をめざす」ということを常々申しており、地域の皆様に支えていただいて今の自分たちがあるということは理解していました。健康サポート薬局として地域で薬剤師として求められる役割を果たしていきたいという意思を尊重してもらい、結果的に会社の方針に沿うことになったと思います。


―地域連携薬局に関する会社の方針はどうですか?

現在、取り組んでいることの延長線上に、地域連携薬局があるという方向性だと理解しています。たとえば、医師や病院薬剤師とより良い連携を図り、患者様の利益にできるように、会社全体としてトレーシングレポートに力を入れています。トレーシングレポートを活用した情報の連携を継続することは、結果的に地域連携薬局の認定にもつながっていくと思います。その他にも、私自身が在宅医療のチームに所属していることもあり、在宅業務での多職種との連携や、無菌調剤の体制を整えるため、各エリアに拠点となる店舗が作れるよう社内で研修や提案を行っています。


―トレーシングレポートについてはどのように取り組んでいるのですか?

薬学的視点を生かしつつ、論理的に、伝わる書き方に配慮して取り組んでいます。さらに、各店舗をオンラインでつないで行う店長会議で、患者様の事例の共有を行っています。また、優れた取り組みをしている店舗のスタッフに来てもらい、直接話を聞く機会も設けています。


患者様に貢献できる薬局を目指すのに、期限はない

―地域連携薬局の取得時期の目標を教えて下さい。

明確な時期は決めていません。取得を目指す中で、店舗数の多さにより、ある程度人事異動が発生するため常勤薬剤師の配備に関する要件や店舗の構造設備など対応が難しい要件もありますが、試行錯誤しながら患者様のためとなる薬局を目指して努力を続けています。

認定を取得すること自体を目標とするのではなく、現在の取り組みの結果、求められる要件に到達し、継続できるようにしていきたいです。地域連携薬局の認定の取得は通過点であり、積極的に地域に貢献できる薬局・薬剤師を目指すことに、期限はないと思っています。


―店舗独自の取り組みがあれば教えて下さい。

健康サポート薬局として、地域の健康をサポートするためのイベントを開催していて、コロナ禍でも細々と取り組みを継続してきました。しかし、薬局に足を運んで健康相談しようという人は、そもそも健康への意識が高い人であり、本当にターゲットにしたいのは、そのような健康イベントにも参加ができない人たちです。このことに気づいてからさらに活動を深め、最近では出前講座や出張講座の形で、公民館など薬局の外でのイベントにまで活動を広げることができるようになりました。


実は、薬局の外で活動したいと思っても、すぐに公民館などで活動できたわけではありません。一企業がそのような希望を持っていても、すぐに叶うわけではないからです。しかし機会あるたびに発信することで、少しずつ行政や地域包括支援センターなどとつながることができ、イベントの中に薬剤師が話す場を設けてくれるなど実を結んでいきました。

管理栄養士や医療福祉従事者など多職種連携により、来局しない人へも働きかけを

―健康イベントを開催してよかったことはありますか?

仕事が楽しくなったことです。また、イベント参加者に笑顔になってもらったり「ありがとう」と言ってもらえることがとてもモチベーションにつながっています。

例えば最近では「太宰府居場所作りプロジェクト」というイベントに参加し、作業療法士と一緒に健康教室を開催しました。ここでは私が健康に関する話をした後に、作業療法士がリハビリの観点から、頭を使いながら体を動かす体操などを紹介しました。イベント終了後に参加者が「これほど笑ったのは久しぶりだ」「ありがとう」などと言って帰るのを見ると、私自身も元気がもらえます。


―最後に、今後の展望やメッセージをお願いします。

地域の健康を守るには、薬局で待っているだけでは不十分です。そのため、来局しない人への積極的な介入を今後も続けていきたいと考えています。さらに、薬以外の部分については、適切な専門職へとつなげていくなど、運動や栄養の専門職と協力して地域の健康を守っていきたいです。

以前、外部の勉強会で医療や介護、福祉の連携を進めるための「ケアカフェ」を主催する薬剤師に出会いました。その薬剤師の熱い思いが私自身の燃料になり「自分も地域に役立つようになりたい」と思って、これまで突き進んできました。今後も同じ思いがある人たちとつながりながら、それぞれの地域を盛り上げていくことができれば良いと思っています。



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