薬剤師こだわり図鑑

在宅医療にこだわり vol.5

多職種連携による在宅褥瘡治療で
患者さんを笑顔に

神奈川県 サン薬局 森麻美子先生

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学生時代、薬局実務実習で在宅医療を経験した森先生。患者さんが自分らしく、大切な家族との時間を穏やかに生きる為の在宅医療の重要性を感じ、在宅患者さんをサポートする薬剤師になることを決意。在宅医療に特化した薬局で経験を積んだ後、サン薬局へ入社。2016年から「在宅褥瘡治療」に介入し、積極的に多職種連携を行っている。

褥瘡の患者さんを目の当たりにしてショックを受けた

私が在宅褥瘡治療に介入したきっかけは、3年前に出会った癌末期の患者さんです。訪問看護師さんから「なかなか褥瘡が治らない患者さんがいる」と外用剤等についての相談を受け、現状を把握するために同行訪問させていただきました。高齢でやせ細った患者さんの身体にできた痛々しい褥瘡の数々、処置の間ベッド柵に必死でつかまり苦痛に耐える姿、そして懸命に介護をする高齢のご家族。今まで外用剤を調剤・服薬指導することは何度も経験していたはずなのに、私は初めて実際の褥瘡や外用薬がどのように使われているのかを目の当たりにし、大きなショックを受けました。しかし、当時は知識や経験もなく、適切な処方提案ができないまま患者さんが亡くなってしまったので、とても後悔しました。
その後、同じように褥瘡で苦しむ患者さんのお役に立ちたいと考え、褥瘡治療の第一人者である古田勝経先生が行なっている勉強会や書籍で懸命に学びました。

薬を届けた後も責任を持つ。看護師に同行。医師には積極的な処方提案を行う

褥瘡は適切な外用薬を適切に使用することで治る疾患です。しかし、在宅では病院と異なり、褥瘡対策チームのような褥瘡に特化した多職種連携は普及していません。医師や訪問看護師の褥瘡治療経験も様々なので、薬の専門家である薬剤師の介入は必須だと考えます。薬をお届けするだけではなく、届けた後にも責任を持つべきだと考えており、当薬局では極力、医師や訪問看護師と同行し、薬剤師が褥瘡の状態を直接見て触って、経過確認を行っています。また、変化する褥瘡に対し、経過に合わせた外用薬を処方してもらうため、SNS等も活用して、医師・看護師さんと情報共有を行い、積極的に医師への処方提案を行なっています。

最初は医師に処方提案を受け入れていただけるのか不安がありましたが、今では柔軟に対応していただけるようになり、医師の方からご相談いただく機会も増えました。更に、適切な外用剤を処方して頂いても、使用方法が不適切では治らないため、看護師さんやご家族に外用剤の使用方法を実技指導し、写真付きの使用方法説明書も作成しています。看護師さんは随時、写真を送ってくださったり、気軽に相談してくださるようになりました。
医師・看護師向けに褥瘡勉強会も開催しています。薬剤師が在宅褥瘡治療に介入することで、多職種との信頼関係が明らかに強くなったと感じています。最初は多職種との壁を感じると思いますが、「患者さんを褥瘡の苦しみから救ってあげたい」と思う気持ちは皆一緒なので、恐れず、積極的に医師や看護師さんに声をかけて頂きたいと思います。

薬剤師介入の効果を証明し、褥瘡治療の輪を拡げたい

今取り組んでいるのは、在宅褥瘡治療に薬局薬剤師が介入する効果についてのエビデンス証明・論文化です。古田先生や大学の先生、全国の薬局薬剤師の先生方にご協力いただき、在宅褥瘡患者のみの薬剤師介入データを収集し、解析を行っています。また、様々な媒体や学会、勉強会で発信する機会を与えていただき、普通の薬剤師である私の実体験や取り組みを知っていただくことで、もっと経験豊富な薬剤師の皆様に「私も取り組んでみよう」と患者さんの為に一歩踏み出すきっかけになってもらえたらと考えています。
エビデンスを示し、薬局薬剤師の取り組みが普及していくことで、全国に褥瘡治療の輪が拡がり、在宅での多職種連携を活かした治療によって、褥瘡で苦しんでいる患者さんやご家族が笑顔になれるよう願っています。

在宅褥瘡治療を学びたい方におすすめ

書籍

古田勝経先生(医療法人愛生館 小林記念病院 褥瘡アケセンター長)の書籍。医師・看護師向けの勉強会でもおすすめしています。

学会で情報収集

「皮膚褥瘡外用薬学会」
・主要メンバーが薬剤師である皮膚褥瘡外用薬学会。
・学術大会…年1回開催。
・褥瘡サミット…古田先生が講師を務める勉強会。座学・実技ともに充実、全国で開催されており気軽に参加可能です。
・decunet…薬学生・薬剤師限定メーリングリストによる症例相談。経験豊富な薬剤師の皆様からアドバイスして頂き、様々な症例を学ぶ事ができます。

 

「日本褥瘡学会学術集会」
・在宅褥瘡予防・管理師の資格を取得。今後は所属年数が達したら、褥瘡学会認定師の資格取得予定です。
・学術集会…年1回開催。毎年、薬局薬剤師の取り組みを発表しております。

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