薬剤師取材

5大疾病の現状と薬剤師の関わり方②
~糖尿病患者をエンパワーメントアプローチで支援~

I&H株式会社 阪神調剤グループ 薬剤師 野村洋介先生

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I&H株式会社 阪神調剤グループ 薬剤師
野村 洋介 先生
阪神調剤薬局ではブロック長として関東第四ブロックを統括し、研修リーダーとして社員教育に携わっている。また、「スリースター(3☆)ファーマシスト」では講師として勉強会を開催。「エンパワーメント・アプローチ」の概念を中心に、薬剤師と患者さんの関係性向上に尽力している。
(2020年8月取材)

治療が長期にわたる糖尿病では、運動や食事などを含め、患者さん全体を見ることが大事だという、I&H株式会社阪神調剤グループの野村先生。
糖尿病患者さんの治療に取り組む姿勢を支援する「エンパワーメント・アプローチ」について、その基本的な考えと手法をお伺いしました。

(本記事は医薬情報おまとめ便内、特集企画「5大疾病の現状と薬剤師の関わり方」にて掲載した記事です。 )

 

はじめに

「エンパワーメント・アプローチ」というのは、簡潔に言いますと患者さんが自分で自分の問題を発見し、自分で対応することへの支援になります。薬剤師が指導したり提案したりせず、患者さん自らの気づきを促し、行動へとつなげていってもらうための働きです。ただ、この手法が先にある訳ではなく、患者さんとの関係性が築けていることもやはり大事ではあります。
私自身、Do処方の多い薬局で勤務していたとき、服薬指導をしてもなかなか患者さんの症状が変わらないことに悩んでいました。ですが「エンパワーメント・アプローチ」を学んだことにより、薬剤師が聞き出したいことを聞くのではなく、患者さんが話したいことを掘り下げていく、また、ただ共感するだけで終わらせずポジティブな面を強調していくことで、患者さんの行動が変わり、改善へとつなげることができるようになりました。

Step.1 声をかけて反応を見る

できるだけ“ぼんやり”と“やさしく”、オープンクエスチョンで。

特に初回であれば、すぐに服薬指導に入らずに、まずは「今日はどうでした?」というような、何でも自由に話せる雰囲気で聞いてみましょう。ぼんやりとした質問だと、意外と患者さんがそのとき一番気にしていることを答えてくれるものです。その答えが糖尿病に関わらないことだとしても、そこで患者さんのニーズを把握することができます。
まだ関係性ができていないと反応が薄いこともあるかと思いますが、焦る必要はありません。例えば30日処方の患者さんであれば、年に12回来局する機会があるので、毎回少しずつ関係性をつくっていけばよいと思います。2回目以降であれば「あれからどうですか?」などで、どんな反応が返ってくるか様子を見てみましょう。

Step.2 現状を聞いてみる

患者さんができていること、困っていることを聞いてみましょう。

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