薬剤師取材

5大疾病の現状と薬剤師の関わり方①
〜外来がん治療認定薬剤師に聞くがん患者支援〜

日本調剤 柏の葉公園薬局 管理薬剤師 外来がん治療認定薬剤師 下村直樹先生

  • この記事をシェアする
  • この記事をツイートする
  • LINEでこの記事を送る
日本調剤 柏の葉公園薬局 管理薬剤師 外来がん治療認定薬剤師
下村 直樹 先生
2017年に国立がん研究センター東病院で薬局薬剤師向けに実施された研修プログラムに参加。2018年3月に外来がん治療認定薬剤師を取得しがん薬物療法に貢献するとともに、学会やシンポジウムでの発表を重ねている。
(2020年9月取材)

1981年以来、日本人の死因トップであるがん。生涯で2人に1人ががんにかかると言われる中、経口抗がん剤の進歩もあり、今後、薬局薬剤師ががん患者さんへ投薬する機会もますます増えると予想されます。
がん治療薬の投薬・服薬指導の注意点や患者さんのサポートなどについて、日本調剤 柏の葉公園薬局の外来がん治療認定薬剤師・下村先生にお話を伺いました。

(本記事は医薬情報おまとめ便内、特集企画「5大疾病の現状と薬剤師の関わり方」にて掲載した記事です。 )

 

がんに特化した薬局で認定薬剤師として
勤務するということ

日本調剤 柏の葉公園薬局は、国立がん研究センター東病院の門前に構えていますので、応需している処方箋の98%くらいはそちらからのものです。「がんの疑い」などで精密検査に来られる方もいますが、基本的にはがん患者さまですので、処方内容もがん治療がほとんどとなっています。
現在、外来がん治療認定薬剤師は私も含め3名在籍しています。病院との連携も強く、おくすり手帳にレジメンが貼ってあったり、トレーシングレポートでやり取りをするだけでなく、電話やメールでリアルタイムにやり取りができているのは特徴的かと思います。
患者さまへの対応の変化に関しては、認定薬剤師を取得したタイミングというよりは、取得に向けて勉強を重ねるたび深い部分にまで対応できるようになったと思います。また、3ヵ月間の病院内研修で病院の実情を知ることができたこと、何より病院のスタッフと懇意になったことで、連携がスムーズにできるようになりました。あとは病院薬剤師の仕事を実際に見ることで、薬局薬剤師が補うべき部分を見つけられたことが、変化としては一番大きいところかなと思います。

経口抗がん剤は添付文書と適正使用ガイドを活用して
副作用のサポートをしっかりと

経口抗がん剤というと少し身構えてしまうかもしれないのですが、基本は他の薬と変わらなくて、まずは患者さまが正しく薬を飲めることが大事です。一般的な保険薬局であれば、レジメンが共有されない状態での対応も多いかと思うのですが、レジメンが把握できなくても添付文書で副作用の頻度は確認できますし、各製薬会社から出されている適正使用ガイドで重点的に指導すべきことも分かると思います。とはいえ、あまりがん患者さまの来ない薬局の場合は、不明点があれば疑義照会をして理解をするとか相談できる人を決めておくなど、あらかじめどう対応するのかを決めておくことが大事かなと思います。

レジメンがある程度載っているようなハンドブックを持っていると指導しやすくなることはあるでしょうが、経口抗がん剤も副作用の薬も多岐にわたりますので、全てを把握するのは難しいと思います。ただ、例えば吐き気であれば抗がん剤に関わらず対応が大きく変わらないので、日本癌治療学会の「制吐薬適正使用ガイドライン」(*)などを参考に、まずは副作用対策について勉強するのが、効率的にも一番患者さまのためになるのではないかという気がします。
ちなみに、免疫力の低下で普段はかからないような感染症にかかってしまうことがあり、副作用による死亡としては発熱性好中球減少症が一番多くなっています。少し熱が出たくらいだと風邪薬などを飲んで様子見してしまいがちですが、脳の感染症や敗血症で手遅れになってしまうこともありますので、熱が出たらまず病院に連絡を入れるよう指導してください。
(*)日本癌治療学会の「制吐薬適正使用ガイドライン」

薬剤のプロとして患者さまに向き合いつつ
答えのない不安にも寄り添えるように

抗がん剤が処方されていなかった場合、治療を打ち切って緩和治療に移行した日かもしれないというように、患者さまは常に生死にかかわるやり取りをしています。服薬指導の記録を書くためにいろいろと話をするかとは思うのですが、会話をつなぐためだけに服薬指導に関連しない情報をがん患者さまに強いるのは、できればやってほしくないかなと思います。ただ、「がん患者さまの聞き取りは気を使うし難しい」ということではなく、私たち薬剤師が「薬剤のプロとして、患者さまからの情報をこう活用するために聞いています」ということが明確であれば、患者さまはそれに応えてくれるものだと思います。
逆に積極的にしてほしいことは、患者さまが不安に思っていることを聞くということ。患者さまは病気や治療についてさまざまな不安を抱えているものですが、意外と医師やご家族と共有できていないこともあります。もし患者さまから相談されることがあればその時点で信頼されている証拠です。はっきりと答えの出せない悩みを投げかけられるのが得意ではない方もいるかもしれませんが、まずは真摯に受け止めてあげてほしいと思います。そして、ただ受け止めてあげるだけでもいいのですが、不安なり悩みなりをかみ砕いて整理して「先生にこういうことを聞いたらいいんじゃないですか」など、患者さまが各職種と相談できる橋渡しになる役割も担えるようになると、尚いいですね。

 

日本調剤 柏の葉公園薬局
千葉県柏市柏の葉5丁目4-18
☎04-7137-2115
国立がん研究センター東病院の門前に店舗を構え、全国から多くのがん患者が来局する薬局。日本臨床腫瘍薬学会が定める「外来がん治療認定薬剤師」で薬局所属の86名のうち21名(2020年4月時点)を日本調剤グループの薬剤師が占め、そのうちの3名が在籍。在宅医療、かかりつけ薬剤師にも積極的に取り組み、がん患者とその家族のサポートについて高いレベルで提供している。

  • この記事をシェアする
  • この記事をツイートする
  • LINEでこの記事を送る

その他の「薬剤師取材」

この記事を読んだ方におすすめの記事

ページトップへ戻る