1981年以来、日本人の死因トップであるがん。生涯で2人に1人ががんにかかると言われる中、経口抗がん剤の進歩もあり、今後、薬局薬剤師ががん患者さんへ投薬する機会もますます増えると予想されます。
がん治療薬の投薬・服薬指導の注意点や患者さんのサポートなどについて、日本調剤 柏の葉公園薬局の外来がん治療認定薬剤師・下村先生にお話を伺いました。
(本記事は医薬情報おまとめ便内、特集企画「5大疾病の現状と薬剤師の関わり方」にて掲載した記事です。 )
がんに特化した薬局で認定薬剤師として
勤務するということ
日本調剤 柏の葉公園薬局は、国立がん研究センター東病院の門前に構えていますので、応需している処方箋の98%くらいはそちらからのものです。「がんの疑い」などで精密検査に来られる方もいますが、基本的にはがん患者さまですので、処方内容もがん治療がほとんどとなっています。
現在、外来がん治療認定薬剤師は私も含め3名在籍しています。病院との連携も強く、おくすり手帳にレジメンが貼ってあったり、トレーシングレポートでやり取りをするだけでなく、電話やメールでリアルタイムにやり取りができているのは特徴的かと思います。
患者さまへの対応の変化に関しては、認定薬剤師を取得したタイミングというよりは、取得に向けて勉強を重ねるたび深い部分にまで対応できるようになったと思います。また、3ヵ月間の病院内研修で病院の実情を知ることができたこと、何より病院のスタッフと懇意になったことで、連携がスムーズにできるようになりました。あとは病院薬剤師の仕事を実際に見ることで、薬局薬剤師が補うべき部分を見つけられたことが、変化としては一番大きいところかなと思います。
経口抗がん剤は添付文書と適正使用ガイドを活用して
副作用のサポートをしっかりと
経口抗がん剤というと少し身構えてしまうかもしれないのですが、基本は他の薬と変わらなくて、まずは患者さまが正しく薬を飲めることが大事です。一般的な保険薬局であれば、レジメンが共有されない状態での対応も多いかと思うのですが、レジメンが把握できなくても添付文書で副作用の頻度は確認できますし、各製薬会社から出されている適正使用ガイドで重点的に指導すべきことも分かると思います。とはいえ、あまりがん患者さまの来ない薬局の場合は、不明点があれば疑義照会をして理解をするとか相談できる人を決めておくなど、あらかじめどう対応するのかを決めておくことが大事かなと思います。