取材記事

新型コロナウイルス感染対策で店舗で独自の感染症対策マニュアルを作成
安心して来局できる薬局に

株式会社メディックス セサミ薬局泉町店 山本智久先生

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地域に根差した薬局運営で50年以上の歴史を持つ株式会社メディックスでは、新型コロナウイルス感染防止対策に関して大小様々な対策を講じています。こうした中、セサミ薬局泉町店ではエリア独自の感染防止マニュアルを策定。患者さんと従業員を感染から守ると同時に、地域に向けて「安心して薬局に来てください」という大きなメッセージを発信し続けています。

出来ることから1つずつ補助金を活用した感染症対策

新型コロナウイルス感染拡大の当初、患者さんだけでなく、薬局にも大きな混乱がありました。薬局に行ったら感染してしまうかもしれないという患者さんも多く、本当に薬が必要な人に行き届かない状態でした。そんな中、薬局では患者さんに安心して来ていただけるよう、早い段階からできることを1つずつ行い、対策してきました。


新型コロナウイルス感染防止対策では、全社的な対応と個々の店舗での対応それぞれで様々な取り組みを実施しています。全社的な対応の一例としては、感染拡大初期の頃、ビニールシートをパーテーションとして使用していました。ですが、設置に伴い会話が聞こえづらくなりました。そこで、会話が聞こえにくい患者さんに対して骨伝導イヤホンを配備し、会話のしにくさを解消しました。現在は、パーテーションを飛沫感染予防用に切り換えたことで聞こえづらさが改善し、ご希望の患者さんのみ骨伝導イヤホンのご紹介を行っています。


また、厚生労働省の感染拡大防止等支援事業の補助金を活用し、全店舗に空気清浄機を導入しました。全店舗共通の補助金活用法としては空気清浄機を購入し、残りは各店舗の判断で必要な備品の購入に充てています。当店舗ではディスポーザブル製品などの購入に充てて全額を利用しました。
感染拡大の初期は本当に物品が少ない中で、手に入る物品の範囲でどのように感染防止対策を充実させるかが課題でした。今は必要な物品は入手できるようになったため、次なるステップとして「より高いレベルで感染対策を講じ、また、そのことをきちんと地域の患者さんに伝えていく」姿勢が大切になっていると感じています。


分かりやすさを重視し、イラストなどを駆使した独自のマニュアルを策定

店舗個別の取り組みとして、独自の薬局向け感染防止対策マニュアルを策定しました。冬場にかけてインフルエンザが流行すると薬局業務も繁忙期に入ります。感染症の流行期には、様々な患者さんが訪れるので、より丁寧な対策を行います。
病院では感染症に関する専門の部署があったり、感染症専門の医師や薬剤師がいるなど対策が充実しています。これに対して薬局ではどうしても感染症に関する知識不足は否めません。もし、感染疑いの患者さんが来局しても慌てずに適切な対応を取ることができるよう、エリア独自のマニュアルをまとめました。


作成に当たっては、日本感染症学会日本環境感染学会などの新型コロナウイルスに関するガイドライン、その他、病院の資料や関連書籍から情報を収集し、薬局向けにアレンジしました。
病院の感染症対策は非常に参考になる反面、そのまま薬局にもってきても活用できるわけではありません。そこで病院などの感染症対策をベースにしつつ、実際の薬局業務フローに当てはめて、感染リスクが考えられるシーンごとに必要な対策を取りまとめたのが特徴です。
エリア独自に作成したものではありますが、どの店舗でも活用できるように情報は共有しています。

全体を通して配慮したことは、イラストや画像などを使いながら分かりやすくまとめたことです。薬剤師以外の他のスタッフが活用することも想定して、できるだけ平易な表現で作るように工夫しました。 例えば防護服の着脱方法については、できるだけ具体的に伝わるように画像を活用しています。初めは着る順番に矢印をつけて解説しただけでしたが、それだと「実際にやる時にうまくできるか不安」「着る時は手袋を最後に付けて、脱ぐ時は手袋を先に外すというのがわかりにくい」など様々な意見がありました。そこで、言葉だけではなく画像を駆使することで、より実践的に使えるように工夫しました。

このほかマニュアルでは、ディスポーザブルの衛生用品を処分する際に注意すべき点なども記載しています。例えばゴミ袋は2重にして使うことや、処分する際には外側のゴミ袋は消毒液で全体を消毒してから処分することなども盛り込みました。
また、患者さんとのやり取りではどうしても現金の受け渡しが発生してしまいます。そのため現金の清拭消毒のやり方や、その他、ディスポーザブルではないゴーグルやフェイスシールドの消毒方法についても記載しました。
マニュアルの作成過程では1回1回出来上がる度にスタッフに確認し、イメージがつかない部分、わかりにくい箇所を指摘してもらい、その都度、修正して完成させました。 作成したマニュアルを元にして実際に防護服を着脱する練習なども実施しています。やってみた感想としては、マニュアルを見ながらであれば問題なく着用できるものの、いざ感染した患者さんが来局した場合に、手順通りの着脱ができるかどうかは未知数だとも感じています。
さらに、実際に防護服を着用して薬局から出入りすることになれば、患者さんを驚かせてしまうことが想像できます。いたずらに患者さんを不安にさせないように、できるだけ患者さんの目につきにくい場所で着脱するなど、さらに配慮を加えていきたいと考えています。

なお防護服の入手に関しては、感染症対策専用のものでなければ現状では十分に流通していると感じています。ただし、防水仕様のものが望ましいといわれているので、防水仕様になっているものを揃えるように気をつけています。


「安心して薬局に来て欲しい」という地域へのメッセージ

薬局における感染症対策マニュアルは薬剤師会などからも発表されていますし、当社でもそうしたマニュアルを元にした全社的な対応は作成してあります。今回、店舗独自のものを作った大きな狙いは「当薬局ではこのように適切な対応を取っています。だから安心して薬局に来てください」という患者さんへのメッセージを伝えたかったということです。
マニュアルは患者さんを感染から守り、同時に働くスタッフ自身も感染から守るために必要なものです。しかしせっかく十分に対策を取っても、それが地域の患者さんにきちんと伝わっていなければ、あまり意味がありません。店舗独自のマニュアルを作るなど、様々な対策を講じることで「安心して薬局に来てください」と地域へ伝えることができれば、マニュアル作成の大きな目標のひとつは達成できたと考えています。 同時に、薬局で働くスタッフへのフォローにもなればいいと考えています。働くスタッフ自身も感染への不安は消すことができません。そこで「このマニュアルに沿って業務を行うことで、限りなく感染リスクをゼロに近づけることができる」というメッセージを送り、少しでもメンタル面のフォローができればいいと考えています。
マニュアルについては1回作って終わりではなく、随時、情報の改定を行い、必要な時に役立つように整備していきたいと考えています。今後の目標は、新型コロナウイルスの感染状況がどのようになっても、患者さんが安心して薬局に来られるように受け入れ体制を一層、整えていくことです。

どのような状態の患者さんがいらっしゃっても焦ることなく準備を行い、患者さんと従業員を守る対策を行うことが、結果的に地域への貢献につながると信じて、努力を続けていきたいと考えています。


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