経験の少ない疾病の介入へ
まずは自身のスキルアップから
ファーマシィ薬局益田センターは2017年6月、全国初の敷地内薬局として、益田赤十字病院敷地内に開局しました。薬剤師6人、医療事務5人、管理栄養士1人を配し、365日年中無休で処方せんに対応しています。処方せん受付枚数は月間平均2200枚、平日は1日平均約100枚に上ります。
主たる応需先の益田赤十字病院は、島根西部で数少ない基幹病院です。
そのため県内はもちろん広島北部や山口東部まで、広い地域から、幅広い疾患を持つ患者さまが受診します。これまでいた都内の薬局では、抗がん剤の服薬指導をすることはせいぜい月に1回あるかどうか。しかし益田センターに来てからは、医療資源に乏しい地域での基幹病院の門前ということで、地域のがん患者さまが集中し、多い日は1日10~20人の抗がん剤の服薬指導を行うようになりました。
基幹病院とがん治療について連携をスタートしたとき、正直に言うと不安を覚えました。
それまで生活習慣病などの薬は日常的に扱っていましたが、抗がん剤となるとまるで経験が足りません。実際の服薬指導でも、最初は添付文書に沿った型通りの説明しかできず、患者さまの副作用を適切にフォローできないことで悔しい思いをしました。
そこでまずは自分がしっかり知識を身につけようと、日本臨床腫瘍薬学会などの学会に参加しました。今のようにオンライン研修はなかったので、土日を利用して近くは広島や福岡、遠くは東京、札幌などの学術大会、勉強会に足を運びました。同時に、連携先の病院で採用されているレジメン1つ1つについて調べ、専門書を何冊も読んで勉強しました。