薬剤師取材

第一線で活躍する認定薬剤師に聞く①
〜スポーツファーマシストとしてアンチドーピングと接する〜

株式会社アトラク 代表取締役社長 遠藤 敦 先生

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東京薬科大学卒業後、国立精神・神経医療研究センター病院に勤務。
その後、独立を目指して調剤薬局に転職。
趣味であるロードバイクをきっかけにスポーツファーマシストに興味を持ち資格を取得。
2011年、日本初のアンチ・ドーピング専門の会社、株式会社アトラクを設立。
(2018年11月取材)

まだまだ聞きなれない「スポーツファーマシスト」という職業。実際にどのようなお仕事をされているのでしょうか? 資格取得のきっかけややりがい、そしてこれからの展望などについて、スポーツファーマシストの資格を有し、日本初のアンチ・ドーピング専門会社を立ち上げた遠藤先生にお話を伺いました。

活躍の場はまだまだ少ないが、
可能性は満ちている!

趣味のロードバイクをきっかけにドーピング問題に触れ、薬剤師として、薬物使用疑惑に関心をもっていたのですが、ちょうどそのタイミングでスポーツファーマシストのことを知り、資格を取得しました。
スポーツファーマシストの認定制度ができたのは2009年で、まだその存在は広く知られていません。私が資格を取得したのは2011年でしたが、その時点ではスポーツ選手でもスポーツファーマシストという言葉を知らない人がほとんど。世界的に見ても珍しい取り組みのようで、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)でも取り上げられたのですが、スポーツ界に浸透してないこともありスポーツファーマシストの活躍の場は少なく、だからこそ自分で会社を立ち上げることにしたんです。
スポーツ界は今まで薬剤師がいなかった分野だからこそ、そこで新しいイノベーションを起こせると思っています。薬剤師の知識は必ず役に立つと考えていましたし、実際にスポーツの現場に出て、よく見回してみると薬剤師としてお手伝いできる可能性がたくさんあることに気付きました。

待っているだけではなく、
自分から情報発信することが大切。

現在の活動として、事業のメインになっているのがサプリメントメーカーのドーピングに関する成分の分析・認証のお手伝いです。また、自社の調剤薬局、神楽坂にある「ラクトファーマシー」には週に1回ほど出勤しつつ、スポーツ選手からの相談についてはLINEで24時間受け付けています。ただ、スポーツファーマシストの認知度が低いので、待っているだけでは誰も寄ってきてくれません。「専門家がここにいるよ」「サポートをしますよ」と自分から情報発信することが大切だと思っています。今の時代、SNSの発展もあって情報発信がしやすいのは有難いですね。その他の業務としては、スポーツチームへの講演でのアスリートに向けた健康指導だったり、公共の体育施設での健康講座、日本薬剤師会からの依頼でのスポーツファーマシストの方々に向けた講習などです。(下図参照)
東京オリンピックでスポーツに注目が集まり、ドーピングの話題も多くなっていることもあって、以前よりもスポーツファーマシストの存在が知られてきているように感じています。でもまだまだ、これからです。

アスリートからの信頼。
それを裏付ける専門知識が大切。

この仕事をしていて一番うれしいのは、やはりアスリートから頼られたり感謝されたりしたときですね。サポート体制を整えることができていない方が“うっかりドーピング”を起こしてしまうのが現実です。そこをサポートできるのが私たちスポーツファーマシストです。私が大切にしているのは、目の前のアスリートの気持ちを受け止めてしっかり寄り添うこと。アスリートの信頼を得られなければ、この仕事は成り立たないのです。
そのためには、人間性もそうですが、しっかりとした専門知識も重要。ドーピングの規則は競技によって異なりますし、禁止薬物も変更されますので、常に最新の情報を叩き込んでおく必要があります。私の場合は海外のドーピング情報やアンチ・ドーピングに関する動向、また、“うっかりドーピング”の逆にある“悪意のあるドーピング”についても、どのような情報が流れているのか、常にアンテナを張ってキャッチして、業務に生かすようにしています。
そういった意味では、スポーツファーマシストは資格を取るよりも、その後の精進の方が大切なんだと思っています。「信じられるものとは何か?」と問われたときに、「自分の専門知識だ」と言えること。それが専門家だと思っています。

「スポーツ」=「体を動かすこと」もっと身近に。

スポーツファーマシストの活動としてアンチ・ドーピングはとても重要なものです。しかし、スポーツファーマシストは“スポーツ”ファーマシストであり、アンチ・ドーピングファーマシストではありません。私は、スポーツファーマシストの本質はスポーツにあると考えています。そしてスポーツとは、アスリートのためだけのものではなく、みなさんが日常的に体を動かすこともスポーツの一部だと私は考えています。
これからさらに高齢化が進行し、お年寄りが増えていく世の中で「スポーツ」=「体を動かすこと」は健康維持の重要なキーワードとなります。例えば、日常の中に、体を動かすことを気軽に楽しめたり、上手な休息方法を学べたり、食事の改善について教えてくれる場所があったら……。みなさんの暮らしは今よりも健やかで豊かなものになるのではないでしょうか。将来的には、そんな場所をつくっていけたらと考えています。

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