薬剤師取材

第一線で活躍する認定薬剤師に聞く④
〜医薬品情報専門薬剤師の担うべき役割〜

株式会社 パスカルシステム パスカル薬局 代表取締役 横井正之先生

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1986年京都大学薬学部卒業。
積水化学工業株式会社メディカル事業部での勤務を経て、2002年にパスカル薬局(滋賀県草津市)を開局。
「科学技術庁長官発明奨励賞」「滋賀県薬剤師会会長表彰」など受賞歴も多数。
資格:医薬品情報専門薬剤師、漢方薬・生薬認定薬剤師、プライマリ・ケア認定薬剤師など。
(2019年9月取材)

医薬品情報専門薬剤師は、全国に73名*とまだまだ取得者が少ない資格です。
*2019年1月1日時点
これからの社会で医薬品情報専門薬剤師の資格を持つ意味、担うべき役割、そして医薬品情報の必要性について、パスカル薬局の横井先生にお話を伺いました。

薬局・薬剤師の専門性とは何か?
それはやはり医薬品情報なのです。

私は2002年に滋賀県草津市内に「パスカル薬局」を開局しました。開局以来ずっと考え続けて来たのが「薬局・薬剤師の専門性とは何なのか?」ということでした。どんな仕事にも専門性はあるものですが、薬局・薬剤師にとっての専門性とは何なのでしょうか? それはやはり「医薬品情報」というのが私の結論です。開局前に経験したドイツの医療現場と比べても日本の薬局・薬剤師には専門性=医薬品情報の知識が足りないと強く感じていました。
薬局薬剤師は、薬の飲み方や保存方法、飲み合わせ、効果や副作用の現れ方、健康食品やサプリメントなどの摂取方法を患者さんや他職種に指導する「薬の使い方の専門家」でなければなりません。また、医療機関や医師に医薬品情報を提供する役割についても、メーカーに頼るのではなく、本来地域の薬剤師が担うべきだと私は思います。また今日の薬剤師は、MRから情報を得るという姿勢が強いようですが、それは逆で彼らを指導する立場だと私は考えています。そのためには、薬局・薬剤師は医薬品情報の専門性を深める必要があるのです。

資格取得によってエビデンスを
精査する能力を身に付ける。

他の薬剤師の認定資格は臨床に寄ったものが多いですが、医薬品情報専門薬剤師は、例えば、統計の知識はあるのか? エビデンスの評価ができるのか? といった臨床面だけではなくユニバーサルな知識や技能に対する要求が強い面があります。私自身の資格取得後の変化としては、医師や他の薬剤師から医薬品全般について質問されることが多くなったことがあります。また、薬局現場に送られてくるさまざまな文書や医薬品の申請資料概要、審査報告書、RMPなどを今まで以上にしっかりと精査できるようになり、医薬品情報専門薬剤師の知識があることで、情報の取捨選択もしやすくなったと感じています。
目にしたすべての情報を鵜呑みにしてしまう、情報に踊らされる、といった傾向は現代のような情報化社会においては、特に医療では深刻な問題を引き起こします。噂や聞きかじりではなく情報の根拠やエビデンスを自分で取りに行くことが大切で、それがどのくらい信頼できるものなのか、信用度や正確さを見分ける力が必要になってきます。医薬品に関する情報を正しく見抜く力を備える上でも、医薬品情報専門薬剤師の資格取得は役に立つと思っています。

医薬品情報と臨床を結びつければ
医師や患者への説明力向上につながる。

また、昨今では、対物から対人へという流れの中で、世の中全体に昔に比べて医師や看護師、患者さんなどからの医薬品に関する問い合わせを薬局で受ける機会が多くなってきたと感じています。しかし、残念なことにこうした現状に対して、「エビデンスをもって医師に説明したことはなく、正直、わからない…」「インターネットで聞きかじった知識を持った患者への対応に戸惑う…」といった薬剤師の声を聞きます。そういった方々に医薬品情報専門薬剤師の資格はおすすめです。医薬品情報と臨床を結びつけ、高度な薬局業務をこなすためにとても役立ちますので、ぜひ多くのみなさんに取得していただきたいですね。

薬剤師の専門性、バックボーンを
見つめ直し、職能を発揮していく。

今後は、医薬品情報の活用を支援していく目的でのAI、ICTの活用についても取り組んでいきたいですね。また医療者として臨床を重視することはもちろんですが、それだけでは薬局は成り立ちません。私は、薬局の土台となっている医薬品の在庫管理や調剤のシステムも時代に合うように立て直すことが必要だと考えています。
私たちの仕事は日々の業務に流されがちですが、「薬剤師」というバックボーンがあってはじめて成り立つ仕事です。その薬剤師の専門性とは何なのか、原点回帰して考えてみることはとても大切だと思います。そして、その専門性を追求し、職能を発揮していただきたいですね。

 

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