薬剤師の取組

薬局薬剤師の地位向上のために
在宅訪問の強化に取り組む静岡県薬剤師会

静岡県薬剤師会 会長 石川幸伸先生

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お話を伺った静岡県薬剤師会・石川会長
(2021年8月取材)

全国的に大手チェーン薬局の台頭が目覚ましく、薬局薬剤師をめぐる環境は大きく変化しています。このような状況のなか、静岡県薬剤師会では薬剤師の在宅訪問の強化を進めています。この背景について、静岡県薬剤師会会長の石川幸伸氏は、「薬局薬剤師の地位向上を目指したい」と話します。薬剤師の在宅訪問の強化を進める理由や、地域に根差した薬局像について石川会長にお話を伺いました。

 

父親の薬局を事業継承して感じた 薬局運営の原点

―静岡県内の薬局、薬剤師を取り巻く環境について教えてください。

静岡の県域は東西に長いため、静岡県薬剤師会でも東部、中部、西部と3つの地区に分かれています。研修会1つ開催するにしても会員に集まってもらうのが大変で、伊豆方面の方などは研修会場まで出てくるとなると一日仕事になってしまいます。また同じ内容の研修を3地区で行って対応することもあります。ウェブ研修の環境も整いつつあり、講義型の研修には参加しやすくなってきていますが、参加型・体験型の研修も薬剤師にとっては重要ですので、人数を絞るなど県の基準を守り感染症対策を取りながら必要な研修はしっかりと続けています。

県内では、大手チェーン薬局の参入も多々ありますが、地方部には昔ながらの薬局が残っています。医薬分業が開始されてかなりの年数が経ちましたので、薬局を立ち上げた初期の頃の方々は引退の時期に入り、代替わりを迎えています。そこをスムーズに代替わりしてくれればよいですが、例えば、大手とM&Aで売却したりして薬剤師会の会員を辞めてしまうということもありますので、会員確保という点でも事業継承の問題については注視していかなければならないと思っています。

―石川会長ご自身も、お父様が経営していた薬局を継ぎ、当時の経験が原点となっているそうですね。

もともと私は病院に勤務していたのですが、父親が病気になったことを機に26歳のときに実家の薬局を引き継ぐことになりました。院内調剤で処方箋通りに薬を渡していればいいということに疑問を持ち始めたタイミングで初めて薬局を手伝うことになり、患者さんからの相談で薬を自分で選択し、次回に反応が返ってくるというOTCの世界に非常に魅力とやりがいを感じたというのが原点となっています。

OTCの場合は価格の安い方が強いという構造になりやすいので、大手チェーン店などに押されて昔ながらの薬局は少なくなってきてしまっていますが、私は地域住民に対して健康提案ができる薬局、患者さんが相談できる薬局というものを大事にしたいと思っています。誰もが病院に行く前にちょっと相談できる、門戸の広い薬局を目指しています。

―薬剤師会の取り組みを見ると、静岡新聞へのコラム掲載や「お薬出前講座」の開催など、積極的に地域へ出ている印象です。

新聞コラム「ちょっと得するクスリの知識」については平成25年度から続けているもので、担当の薬剤師が持ち回りで、月に1回自由に発信してもらっています。
出前講座に関しては、これまでは介護施設などの介護をする側の方に向けたものだけだったのですが、今年から保健所で担当されていた一般の方向けの講座についても薬剤師会で一手に引き受けることになりました。出前講座は薬局の窓口のように背後に薬が並んでいるわけではないので、「薬を買わないといけないのでは……」という余計な心配もかけないですし、薬剤師としても伸び伸びと楽しく活動できる良さがありますね。

また静岡県からの委託で開設している『高齢者くすりの相談室』も平成7年から続けており、寄せられた質問の中から広く役立つと思われるものをまとめて年に1回Q&Aの小冊子を発行もしています。

*高齢者くすりの相談室(小冊子)紹介
小冊子は静岡県薬剤師会のウェブサイトからもPDFでダウンロードができます。ぜひご活用ください。
https://www.shizuyaku.or.jp/soudan/

 

在宅訪問の強化――お試し在宅訪問を実施し、積極的に在宅を取り入れる薬局を募る

―そのほかに現在薬剤師会として力を入れている取り組みはありますか。

薬剤師が調剤だけを行う時代はほぼ終わりに近づいていると思います。そのため、いまは薬剤師の在宅訪問を薬局に浸透させなければならないと考えています。地域包括ケアシステムのなかに薬剤師が根差し、関わっていくことが大事だと思いますので、そのための研修は継続的に行っています。

静岡県薬剤師会では、各地域に在宅訪問推進委員を配置し、地域包括支援センターや訪問看護ステーション、介護事業所など多職種を訪問し、薬剤師の在宅訪問についてのPRや在宅訪問可能薬局マップを配布するなどの在宅訪問推進活動を実施しています。また、在宅訪問の経験がなかったり経験が少なかったりする薬剤師に対しては、在宅訪問を行っているベテランの薬剤師の在宅訪問に同行するという「在宅訪問ファーストステップ研修」を行っており、まずは在宅訪問がどのようなものかを体験してもらっています。地域の取り組みとしては、薬局薬剤師が患者さんのところにお試しで在宅訪問を行うモデル事業なども実施しました。

人手が取られるという理由から在宅訪問に積極的ではない薬局もありますが、まずは一度経験してみると意外と難しくないということが理解してもらえると思って取り組んでいます。

薬局薬剤師の地位向上のため地域貢献を積極的に

―薬局薬剤師へのメッセージをお願いします。

病院薬剤師の社会的地位はだいぶ上がってきたように思うのですが、薬局、そして薬局薬剤師の社会的地位はまだそこまで高くはないように感じます。そこを上げていくために、やはり薬局薬剤師は1歩でも前に出て、ただ薬局にいるだけの存在に留まらず、社会へ貢献していくことが必要になってくると思います。そのための全体的な底上げをするのが、我々薬剤師会の仕事だと思いますし、皆さんにもぜひ研修会などで研鑽を積んでいただけたらと思っております。

 

 

【取材協力】

<公益社団法人 静岡県薬剤師会>

静岡県静岡市駿河区馬淵2丁目16番32号 静岡県薬剤師会館
☎054-203-2023

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