薬剤師の取組

地元の魅力を発信!
温泉湧出量日本一の大分薬剤師会のオリジナルの取り組み

大分県薬剤師会 会長 安東哲也先生

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お話を伺った大分県薬剤師会・安東会長
(2021年8月取材)

大分県薬剤師会では、薬剤師会検査センターで分析した温泉成分をまとめた本「おおいたおんせんの顔」や「おんせん県おおいたの飲泉スポット30」を発刊しています。会長の安東哲也さんは、「地域に根差すためには、薬剤師業務の枠を超えて地元と連携することが重要」と語ります。さまざまな独自の取り組みを続ける大分県薬剤師会会長の安東哲也さんに、地元へ密着した薬剤師会の在り方についてお話を伺いました。

 

人口流出とともに引きおこる薬剤師不足を食い止めたい

―大分県内の薬局、薬剤師を取り巻く環境について教えてください。

大分県は、九州の中でも陸の孤島と言われてしまうほど交通の便が良くありません。お隣の福岡県と比較して就職先も多くなく、若年層の人口流出が課題となっています。福岡は住みやすく、大分県からも電車で2時間以内で行けてしまいますから若い人にとっては魅力的なのでしょう。薬剤師も同様で、若手薬剤師は県内よりも福岡県などの都市圏に出て行ってしまう傾向があり、薬剤師不足は深刻です。県内でも、特に地方部には若い人がおらず、薬剤師が足りていない状況です。こうした課題があるなか、我々としてはさまざまな取り組みを通して、薬局、薬剤師の地域密着を根強くやっていこうと取り組んでおります。

―薬剤師会独自で「おおいたのおんせんの顔」(2013年刊)や「おんせん県おおいたの飲泉スポット30」(2017年刊)を発刊されていますが、どのような経緯で作られたのでしょうか。

昭和56年に設立された大分県薬剤師会検査センターでは、空気、食品、水、温泉、土壌、河川、放射線といったさまざまな検査を行っています。日々、公衆衛生の向上と生活環境の改善に寄与することを目的に検査を行っていますが、せっかく温泉の検査分析をやっているわけですから、これを活かして何かできないかと考えました。大分県は温泉の湧出量日本一を誇っています。大分県民、特に子どもたちに温泉について知ってもらう、大分の魅力について学んでほしいという思いで本を作成しました。

「おおいたのおんせんの顔」では、温泉に含まれる成分を顔のパーツに例えてデザインし、各温泉の特徴を表しています。例えば、温度が高い温泉は真っ赤な顔、温度が低い冷鉱泉は水色の大きな顔で描いています。

「おんせん県おおいたの飲泉スポット30」では、県内の飲泉許可施設から30カ所を選び、泉質や味、適応症と禁忌症などを写真付きで紹介しています。含有成分によっては、この量以上は飲まない方が良いということも記しています。皆さんが良く知っている温泉の概念だけではない、薬剤師会だから伝えられる温泉の魅力を見せられたらという思いで作成しました。 いずれも図書館や学校などへ寄贈しています。子どもたちからは「温泉ってこうなんだ!」と驚きの声があがっていて、評判も良いようです。一見、薬局や薬剤師の業務から遠いようにも思えますが、より広い意味での地域への密着も重要だと考えています。多くの人、特に若い子どもたちに大分県の魅力を感じてもらい、将来は地元で活躍してほしいという思いがあります。

*「おんせん県おおいたの飲泉スポット30」紹介
2017年発行。泉質や味、適応症と禁忌症のほか、1日の飲用許容量や衛生面での留意点も紹介。
「おおいたおんせんの顔」同様に、顔の色やパーツで泉質の特徴が表現されています。

 

県独自の認定薬剤師研修会や警察・行政との連携を通し地域に必要とされる薬剤師を育成

―薬剤師会会員向けにも独自施策を行っているそうですね。

薬剤師会としては、癌、小児、精神科において大分県独自の認定薬剤師の研修会を行っています。また、今後高齢者が増えていくなかで認知症を患う方も増えてきますから、日本薬剤師研修センターが行っているものと併せて、独自研修を行い、会員に知識を深めてもらっています。大分県独自というところで研修センターからの認定にはなりませんが、会員の意識を高め知識を持ってもらうことには大きな意味があると思っています。参加者の総数が多くなるほど、大分県の薬剤師の知識も増えるということ。コロナ禍ということもあり少人数での開催になったとしても、続けていきたいと考えています。
小児領域では、県内の小児科医会、産婦人科医会、薬剤師会が一緒になって「母乳と薬ハンドブック」を発行しています。本書は、医療従事者間の授乳と薬剤に関する意見の相違から、授乳を希望するお母さんたちの混乱を招き、不必要に授乳を中断してしまうことがないようにするために作られました。授乳婦が服用する機会の多い医薬品、慢性疾患のある授乳婦が治療するために使用する可能性のある医薬品を、治療薬マニュアル2009に準じてまとめています。第3版まで作成しましたが、他県の薬局の方からも問い合わせをいただきます。

―今後の会の運営や、理想とする薬剤師の在り方について教えてください。

薬剤師会は県内の警察と一緒になって、高齢者の交通事故防止のためのグッズをつくるなどの活動も行っています。地方都市だからできることなのかもしれませんが、我々としては常に地元経済界や行政、警察と一緒になってひとりの人をちゃんと見るということをやっていきたいですし、それこそが我々の仕事だと考えています。薬剤師業務の枠を超えた活動を継続することで、地域に認識され、薬剤師の地域密着にも繋がっていくのではないでしょうか。

なかには、異業種と連携するのは面倒だ、薬剤師は調剤をしていれば良いのではという思考の方もいるとは思うのですが、薬剤師会だけの狭い世界で物事を見るのではなく、異業種と交流して視野を広げていくことは重要だと思っています。地域を大事にするということは、その地区を大事にするということ。地区があって、地域があって大分県全体に広がっていくというつもりで活動しています。

 

【取材協力】

<公益社団法人 大分県薬剤師会>

大分県大分市豊饒二丁目11番3号
☎097-544-4405

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