薬剤師取材

患者さんの日常に着目し
フレイルを知るきっかけづくり

株式会社 富永調剤薬局 薬局事業部 Bブロック(副ブロック長)  栗原直和先生

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お話を伺った、株式会社 富永調剤薬局 薬局事業部 Bブロック(副ブロック長) 栗原直和先生
(2021年3月取材)

年齢を重ねるごとに上昇するフレイル、要介護リスク。
薬局、薬剤師としてできるフレイル対策にはどのようなものがあるのでしょうか。
岡山県内で積極的にフレイル対策に取り組んできた富永調剤薬局にお話を伺いました。

(本記事は医薬情報おまとめ便内、特集企画「〜アクティブシニアのススメ〜 はじめよう!薬局でのフレイル対策」にて掲載した記事です。 )

フレイル対策に取り組まれるようになったきっかけは何だったのでしょうか?

平成28年に厚生労働省から出された「地域包括ケアシステム」に関する報告書を受け、同年に社内で「健康サポート推進委員会」が立ち上げられました。その中で、薬局の役割として何から手をつけたらよいかを考えてフレイルへの取り組みが始められ、就実大学薬学部に協力していただいてフレイルチェックシートなどのツールが作成されるとともに、全薬剤師に向けて各測定器の使い方やヒアリングに関する研修が開かれました。
フレイルチェックの機器はセットで全店舗に配置され(*)、来局した方が自由にセルフチェックできるコーナーを設けていました(コロナ禍の現在は希望者のみに貸し出し)。まずは測定することに興味を持っていただくことで、フレイルの話へと繋げやすくするねらいもあります。

測定結果はA4のチェックシートに記入してお渡しします。店舗によってはその後も来局の際の測定を続けてもらい、シールに数値を記入し、おくすり手帳に貼付しています。フレイル予防は、継続的にフォローアップすることが重要です。薬歴やおくすり手帳に記録しておくことで、薬剤師と患者さん双方が意識を持って変化を見ていけるのではないかと考えています。

 

「フレイル」をあまり知らない患者さんには、どのようにアプローチしていますか?

まずは薬をお渡しするタイミングで「薬がしっかりと飲めているか、食事の際にむせることがないか」を必ずおたずねするようにしています。また、見た目判断にはなりますが、標準よりだいぶ痩せている方、また疲れているように見受けられる方はお声掛けの対象になりますね。
運動や食事についておたずねすると、何かしら不足している方が多く、そういった方に「実はフレイルというものがあるんですよ」とアプローチすることでフレイルに興味を持っていただけます。入り口として普段の生活の中から知ってもらうことがポイントです。そして、フレイルは「早い段階で気づいて対応すれば健康な状態に戻ることができる」ということをお伝えすると、患者さんにも前向きに捉えてもらえます。その後は、フレイルチェックシートも使いながら現状を把握して、簡単な体操や、オーラルフレイル対策、高栄養食品のご紹介などをしています。

 

フレイル予防や啓発のために、どのようなイベントを開催していますか?

店舗での測定会はもちろんのこと、地域包括支援センターや近隣医療機関などと連携した「フレイルチェック&相談会」や、薬局専売品の高栄養食品の試食・試飲イベントも行っています。フレイルは、「運動量が減る→食事量が減る→虚弱状態へ」という悪循環がありますので、栄養面についても関心を持っていただくことが重要で、特にたんぱく質強化に関してはフレイルとセットでご案内するようにしています。また当社には介護事業部もあるため、看護師、介護士、理学療法士と共同で取り組めるのもポイントで、フレイルチェックの後には、簡単にできる運動のアドバイスも行っています。

コロナ禍で、活動量が減ってしまった高齢者も多くいると聞きます。今はまだイベントを開催できないのがもどかしいのですが、来局された患者さんへは舌回し体操などを紹介したオーラルフレイル予防の資料や自宅でできる簡単な体操の資料などを、積極的に配布していけたらと思っています。

フレイルチェックについて、ポスターなどで目立つように告知。

店舗イベントの様子。イベントは定休日や外来の少ない時間帯に開催。

 

薬剤師や薬局がフレイル対策に取り組む意義とは何でしょうか?

まずは服用している薬から、フレイル予備軍の患者さんを見逃さないようにしないといけません。例えば、生活習慣病の薬を飲んでいる方は、そもそも食事や運動が偏っている可能性が高い。睡眠薬、痛み止めを処方されている方は、めまい・ふらつきからの転倒リスクや活動量自体が落ち、フレイルに進んでしまう可能性もあります。
薬局は、病院と比べると病気にかかわらず通いやすい場所で、さらに薬剤師は医師よりも患者さんの本音に近い位置にいると思います。そのアドバンテージを生かしてフレイル対策に取り組めるというのは、薬剤師ならではと言えるのではないでしょうか。来局される方は病気を治療している「患者さん」がほとんどですが、「今後介護を必要とするようになるかもしれない、ちょっと弱っている人」という意識で向き合えるかどうかがポイントだと思っています。比較的元気そうに見える方でもよくよく話をしてみると「この方もフレイルじゃないかな」と気づくことが意外と多くあります。
コロナ禍で、さまざまな職種で社会的な役割を見直す機会が生じていると思います。薬局・薬剤師は「フレイル・介護予防」という部分で関わっていくことで地域の活性化に貢献し、「薬剤師がいてよかった」と思われる存在になれるとよいですね。

 

株式会社 富永調剤薬局

岡山本部(本社)
岡山県岡山市南区築港緑町1丁目15-26 2F
☎︎086-262-5490(代表)
岡山市、倉敷市、玉野市に20店舗以上の調剤薬局を開設し、岡山県下トップクラスの店舗網を展開。介護事業部「アミューズ富永」も展開し、地域のトータルケアの拠点を担う。フレイル対策については、就実大学薬学部や各メーカーとも連携。


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