薬剤師取材

薬剤師のスキンケア相談を当たり前に
受診勧奨も視野に入れたスキンケア専任薬剤師が“お肌の悩み”に対応

株式会社 メディカルファーマシィー (ミキ薬局田端店)江黒ひろ美先生、北山ゆりの先生

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東京都内を中心に「ミキ薬局」を展開する株式会社メディカルファーマシィーは、2020年11月より、新たにスキンケア商品の相談・販売に特化した「Miki Skin Careミキスキンケア」を東京・JR田端駅前の田端店に併設しています。
同店舗では日本コスメティック協会認定のスキンケアマイスター、コスメマイスターの資格も持つ薬剤師2人を専任で配置しており、スキンケア専用の相談カウンターで日々“お肌の悩み”にお応えしています。スキンケアへの取り組みについて、そのキッカケ、薬剤師が介入することのメリット、今後の展開などうかがいました。

【スキンケアへ注力したキッカケ】
スキンケアは赤ちゃんからお年寄りまで
全ての年代のテーマ  先進諸国と同様に「薬剤師がスキンケアに関わる未来」めざし

――初めに薬局の概要を教えてください。

江黒 薬剤師は調剤部門に常勤が3人とスキンケア部門の私たち2人、医療事務が1人います。駅前ですので地域に根差し、面で処方箋を応需しています。店舗自体は以前からありましたが、2020年5月、スキンケア部門併設を前提に、店内を全面リニューアルし、7月からの準備期間を経て、11月にオープンしました。スキンケア部門には、週2日間管理栄養士も勤務しています。


――お二人とも社内のスキンケアチームで活動されていたということですが、その発足経緯など教えてください。


江黒 日本では皮膚トラブルの際に病院を受診して解決することが殆どです。薬剤師は医薬品から化粧品まで幅広く取り扱うことができ、相談応需もできる存在ですが、現実にはそれほど認知されていません。そこで会社として「スキンケア」に力を入れることとなりました。また、スキンケアが全ての年代に関わるテーマだということから、希望者を募り、2018年10月にスキンケアチームが発足しました。 私も会社の方針に共感し「薬剤師が何でも気軽に相談できる存在だということを、地域の方々にアピールしたい」と考えチームに参加しました。


北山 私は発足後の入社ですが、学生時代からスキンケアに興味があり、スキンケアマイスター、コスメマイスターの資格をとっていました。 通常、患者様はご自身でスキンケアをしていますが、その適切な方法と商品選びに薬剤師が関われば、薬剤師全体の職能も、私自身の幅も広がると考え、入社と同時にチームに参加しました。


――スキンケアチームは、どのような研修や活動をされているのですか。


江黒 チームは男性も含めて現在は10人ほどです。月に1回、全員が集まりアドバイザーの皮膚科医師、アロマセラピーの先生方の指導の下、皮膚構造や経皮吸収など基礎的研修のほか、症例検討会も行っていました。皮膚科の先生から出題された模擬症例に対する対応策を、それぞれ提出、採点していただき、メンバーの資質維持・向上を図ってきました。現在は新型コロナの影響もあり、オンライン研修を模索中です。

【薬局・薬剤師ならではのスキンケアサポート】
相談者の生活に入り込んだ、根本的な解決を目指す長期的サポート

◆「スキンケア×薬局」で新たに生まれる価値とは 特定ブランドに偏らない薬剤師ならではのセレクト


――次にスキンケア×薬局で生まれる価値とはなんでしょうか。


江黒 スキンケア専門のカウンターが設置されたのは、この店舗が初めてです。他店舗とは違って、私たちが専任で常駐しています。兼任ですと、調剤の仕事を優先してしまいがちです。実際に業務をスタートした今は、専任でなければ時間が足りないなと感じています。


北山 この店舗では非常に多くのテスターをご用意しています。肌測定をして、いろいろな化粧品を比べたい方が多いので、人によっては20~30分時間がかかります。一人一人の方にじっくり時間をかけて、お客様に合ったご提案をしたいと思っています。


江黒 店内のアイテム数は約500品目で、このうち化粧品は266品目、スキンケア関連のOTC医薬品も45品目あります。特に化粧品関係は、昨年の7月以降、各社の化粧品の配合成分や特徴などを調べ、あらゆる方の肌悩みに対応できる商品ラインナップとなるように、沢山のメーカーさんにアプローチし集めました。例えばNOV、ラ ロッシュ ポゼ、ビオデルマ、ラ・プレシア、極潤などを取り揃えています。ある意味では、薬剤師と管理栄養士の目で厳選したセレクトショップです。お客さんにとって商品の選択肢が幅広いことはメリットだと思います。

 

◆「スキンケア×薬剤師」が生み出す最大のメリットとは 最適なアイテムとともに「医療人」による安心感を提供



――スキンケア×薬剤師が生み出すメリットを教えてください。


江黒  薬剤師はある程度の医学・医療知識があり、相談内容と症状・状態を見て、化粧品で間に合うのか、OTC医薬品が必要か、あるいは受診をお勧めすべきかと、いわゆるトリアージができます。その人に最適な商品をお勧めするだけでなく、必要に応じて医療につなぐことができる。そこが強みだと思います。


北山  具体的にはこういう事例がありました。投薬カウンターでの出来事です。赤ちゃんの湿疹のことでお母さんが相談されていました。弱いステロイドの塗り薬が出ていたのですが、ステロイドに不安をお持ちでした。その話が私にも聞こえてきたので、「しっかり保湿すると大人になってからも肌トラブルが少ない」という情報と共に、赤ちゃん用の乳液サンプルをお渡しし、ステロイドとの併用の仕方についてもお伝えしました。その後、リピーターにつながりました。総合的に情報を確認し、判断し、必要な情報とアイテムを提供したことで、お母さんの不安も解消された事例だと思います。特に、処方薬の情報も含めた話ができることは、薬局と薬剤師ならではのメリットだと思います。


江黒  同じ悩みでもその原因にあわせて様々な角度からアプローチできることが、薬剤師がスキンケアに介入する価値だと思います。例えば肌荒れのお悩みも原因は一つではありません。そのため現状のお手入れや食生活など、普段の生活を詳しくお聞きしています。そこでお肉が嫌いだとわかれば、タンパク質が不足がちになり皮膚再生に影響したことがお肌の悩みの原因の一つだと考えられます。一人一人の肌悩みを解決するために、食生活を含めた生活習慣やお薬など様々なヒアリングを行っています。

【取り組みの課題と解決】
不安を抱えたまま来局されるお客様へ
より良いアドバイスをするために学習や後進の育成を

◆ご相談へのアドバイスは責任重大だがやり甲斐も大きい


――ヒアリングの重要性は通常の服薬指導にも共通しているように思いますが、スキンケア指導ならではの難しさはありますか。


江黒 服薬指導の場合は、既に主治医による診察を受けているため、多くの人は来局される時点で治療方針が確定しています。しかし、私たちが接する方々の中には、お悩みに対する解決方法がわからず不安を抱えていらっしゃる方も少なくありません。調剤とは違った意味で責任は重大ですが、同時にやりがいも感じています。 また、弊社では、スキンケアチームが始まる約10年前から、社内の管理栄養士さんから栄養について定期的に学ぶ機会がありました。服薬指導の時にもその知識や知見を活かしていますが、スキンケアのお悩みにも活用しています。必要があれば管理栄養士さんとも連携しています。 逆に、スキンケアの相談から、お薬の相談に発展するケースもあります。薬局ですので、何でも相談していただければと思っています。

 


◆後進の育成も視野に「スキンケア専門の学生実習」を受託 一人一人への最適対応めざしてECサイト・肌カルテを模索


――今後の展望について教えてください。


江黒 実は今シーズン初めて3人の薬学生の実習を受け入れます。これは、ある大学研究室の独自プログラムの一環です。大学病院の皮膚科、調剤薬局において皮膚科に特化した実習をそれぞれ1週間、最後に私たちの店舗のスキンケア部門で1週間実習します。通常の実務実習を終えた後の、スキンケア部門のみの実習です。 また、今後ECサイトを構築する予定です。現在、一人のお客さんを長期的にサポートできるようなプログラムの作成を進めています。対面、非対面のいずれの場合でもある程度の見通しをもって、必要なご提案ができる仕組みを考えています。

【これから取り組む方へ】
最初の一歩は、まず自分自身のお肌に興味を持つことから
日頃からお肌に良い含有成分リサーチと勉強は欠かせない


――これからスキンケアに取り組もうと考えている薬剤師さんにアドバイスをお願いします。


江黒 私の場合は、基礎的な皮膚の構造や成分の知識を学んでいくにつれ、自分の肌に興味を持つようになり、そこからスキンケアの学びが深まっていきました。以前、管理栄養士さんによる研修のときに、自身の食事内容を書き出し、栄養状態を見直すことに取り組みました。その結果、上手に変えられれば、自信をもって患者様にも勧めることができます。同じようにまず、自分の肌を観察して、自分にはどういう商品が良いかを勉強することから始めてみてはいかがでしょうか。自分の肌について理解すると、他の人とも比較することができます。お客様は一人ひとり肌質が違いますので、毎日いろいろな方と接することが、自分たちの勉強、成長にもつながっていると思います。 また、日頃から肌に良い成分の勉強は欠かせません。商品選定のときも含有成分をとても重視しています。医療用医薬品には通常配合されない成分を使用している場合も多いので、基本から勉強することが重要です。


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