薬剤師取材

[0402通知事例]
非薬剤師の活躍で薬剤師の業務をフォロー ~専門業務により注力を~

株式会社フォーラル すずかぜ薬局 (管理薬剤師)後藤敦子先生  (MP)平朋美さん

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株式会社フォーラルではメディカルパートナー(MP)が薬剤師業務をフォローすることによって、薬剤師が服用期間中フォローや服薬情報提供など、専門性の高い業務に専念できる環境を整えています。中でもすずかぜ薬局は、薬剤師と相談しながらMPが在庫管理などを積極的に担い、廃棄医薬品による損失の防止にも取り組んでいます。互いを「さん」付けする社風など、風通しのよいコミュニケーションで薬剤師とMPの連携を進める同薬局にお話を伺いました。

【非薬剤師の業務範囲】
薬剤師が専門業務に専念できるようMPが積極的にフォローを実施 ―錠剤の取り揃えや在庫管理、鑑査の前準備を―

――初めに薬局の概要を教えてください。

後藤 薬剤師は常勤が4人、パートが1人。非薬剤師の事務は7人いて、1日5~6人で回しています。処方せん枚数は、今は新型コロナウイルスの影響によって2割程度減っていて、1日当たり約100枚。通常であれば1日120枚程度です。非常に内容の重い処方せんが多い傾向にあり、3枚や4枚つづりはざら。1枚単価は約2万4000円で、患者様ごとの薬を入れるためにはスーパーの買い物で使うような大きなカゴも使っています。


――平さんの経歴や、メディカルパートナー(MP)と呼ばれる事務スタッフの、具体的な業務内容を教えてください。


 2007年に入社し、当店に勤務して4年目です。入社前はクリニックの医療事務をしていました。当社は以前から管理栄養士の採用を進めていて、管理栄養士ではない事務職の採用は、私の頃で最後だったように記憶しています。 MPの業務内容や目的ですが薬剤師が対人業務や専門業務に専念できるよう、周辺業務をフォローするのが役割です。具体的には錠剤の取り揃えや発注業務などを含めた在庫管理、調剤薬鑑査の前段階の準備などを担っています。例えば薬袋のシールを貼って、そこに入れる薬を隣に並べておき、薬剤師がスムーズに鑑査を行えるように準備することもMPの役割です。作業としては細かいものもありますが、そうしたものの積み重ねによって、薬剤師が鑑査に集中し、また鑑査時間を短縮できるように配慮しています。


【業務上の工夫】
非薬剤師が薬局を俯瞰して見ることで、医薬品や患者情報を管理

――どのように在庫管理をしているのですか?


 例えば高額医薬品は、数十人分をまとめて管理するとどうしても漏れが出てしまうため、患者様1人ずつの管理をしています。服薬指導時に必ず次回予約日を確認し、予約日の2週間前にオーダーしてその人の分を袋に入れて管理。もしも予約日に来局がなければ1、2週間後に薬剤師がフォローの電話を入れています。

その他にも返品のきかない冷所保管の医薬品については、患者様のご了承を得た上で、必要最低数だけお渡しし、残りは薬局負担で送付させていただいています。さらに、処方されなくなった医薬品を店舗間で融通し合うシステムをスムーズに活用するための申し送りも徹底しています。こうしたシステムで不要な薬を他店舗に移動するためには細かいルールがあるため、そのルールを目に付くところに記載して注意を促します。 在庫管理はMPのみでできるものでは決してありません。直接患者様と接する薬剤師と連携をしっかりとることで、より確実な在庫管理ができていると思います。

後藤 MPから薬剤師にレセプトコンピュータ上の伝言を通じて申し送りが行われるため、デッドストックや使わなかった医薬品を返品できないというリスクを減らすことができます。例えば高額医薬品なら「次回の予約日を必ず確認してください」や「この薬はこの患者さんにしか使われていないので、処方されなくなったらMPに声をかけて下さい」などとコメントがあり、投薬前には必ず気づくことができます。当店は高額医薬品が多く処方されるため、このような在庫管理を任せられるのは非常にありがたいですね。



――ほかにメリットを感じることはありますか?


後藤  MPが薬剤師の業務をフォローしてくれることで、患者様の待ち時間短縮、対人業務へのシフト、薬剤師の負担軽減など様々な効果が期待できると感じています。12月単月で68枚の服薬情報提供書の提出、11件の外来服薬支援ができたのはMPの協力のおかげです。また、調剤薬鑑査に集中している時など、薬剤師はどうしても店舗全体の様子を把握できないことがあります。その点、MPが全体を見渡しながら次に鑑査して欲しい患者様の薬をテーブルに広げて準備してくれるなど、業務が円滑になるのがありがたいですね。

【コミュニケーション上の工夫】
スタッフ同士の信頼関係を構築し、円滑な連携を実現。
―新人から社長まで、互いを「さん」付けする社風-

――薬剤師とMPが上手にコミュニケーションを取るコツはありますか?


後藤 当社の方針としてすべての人を「さん」付けするというルールがあり、 それが活きているのだと感じます。新人から薬局長、社長まで、互いを「さん」付けで呼ぶことでフラットな関係性が知らず知らずのうちに構築されます。 個人的には薬剤師を「先生」と呼ぶことには違和感を覚えます。 「先生」と呼ばれるとどうしても壁ができてしまいますから。

 また、これも全社的な取り組みとして、毎日業務後のミーティングで必ずその日に感じた感謝の気持ちを伝えるようにしています。「雨の中、薬を取りに行ってくれてありがとう」など些細なことですが、あえて言葉にすることで互いの距離感が縮まります。さらに店舗やスタッフのよい行い、好ましい姿勢、患者様から頂いたお褒めの言葉や、励ましの言葉などを日報に共有する「フォーラル宝箱」という取り組みもあります。これもよい行いはどんどん共有することで、スタッフ間の信頼関係につながります。また他の店舗の情報もフィードバックされるので、とてもいい刺激になります。


――非薬剤師がレセプト入力以外の業務をすることに不安はないのでしょうか?


 コンプライアンスを担当するシニアマネジャーがいて、不安な点はいつでも管理薬剤師の後藤を通じて相談できます。シニアマネジャーからの回答は必ずMPにフィードバックされて「これはやってはいけない」「これは大丈夫」ということを明確に示していただけるため、不安を感じることなく業務に専念することができます。
例えば、一包化をMPが行うにあたって、安全性が担保された手順を策定し、薬剤師の指示のもとそれを確実に行えば問題ないとコンプライアンス担当シニアマネジャーから言っていただいた点は安心材料として大きかったです。
とはいえ、MPが一包化を行うことに不安が一切ないわけではありません。しかし、薬剤師が処方内容を確認し、薬剤ごとに一包化の可否や、そもそも一包化すべき薬かどうかなどの薬学的判断を行い、その判断をもとに指示書を作成。それに基づいて、一包化を行う。さらに最終鑑査を薬剤師がしっかりと行ってくれることで、不安は取り除かれました。あくまでも薬剤師の指示・判断のもとに行うという点を大切にしています。また、患者様個々によって一包化に対して要望等がある際も、薬剤師から細かな指示を出してくれるので、信頼し業務にあたれます。
錠剤の取り揃えをするにしても、薬には複数の規格、似たような名前の商品等あります。一歩間違えば大事故につながります。初めて薬に触れ調剤に携わるとなれば不安があります。しかし、その点をカバーしてくれているのは取り揃えの際に使用しているPDAです。処方入力した内容を薬剤師が確認し、指示書という形で印刷されたものをもとにMPがPDAを使って取り揃えをしていくことで、異なる薬、規格、包装を調剤することがありません。 レセプトのことにはなってしまいますが、調剤報酬改定があった際や新規加算算定があった際も、記述があいまいで算定に迷った時など、直接スタッフからコンプライアンス担当シニアマネジャーに質問することが出来るので、レセプト業務においても相談しやすい環境です。

後藤 定期的な社内試験があることも知識やスキルの向上、モチベーションの維持に役立ちます。薬剤師、栄養士、非栄養士の3パターンが用意されていて、いずれも採点結果や社内の順位がフィードバックされるので、自分の知識の不足部分などを理解するのに役立ちます。MPの社内試験では病態、薬の分類、規格、副作用等々が出題されています。そこで得た知識もしっかり業務で役に立っています。全く知識のない方がフォローするのとは安心感が違うと思います。

【今後の展望】
今後は処方提案や減薬など、対人業務により一層注力


――最後に今後の展望を教えてください。


後藤 MPが捻出してくれた時間を使って、対人業務をより一層、手厚くしていきたいです。例えば医師への処方提案や減薬、ジェネリックの導入による医療費削減など、より一歩踏み込んだ取り組みにはすべて時間がかかります。そうしたことに業務をシフトしていくことでより患者様の薬物療法に貢献できる薬剤師を目指したいと思います。

 私達が周辺業務をフォローすることで生まれた時間で、薬剤師には少しでも服用期間中のフォローや服薬情報提供書など、対人業務に専念してもらえたらうれしいです。そのため私自身はさらにスキルや知識、正確性などに磨きをかけていきたいと考えています。非薬剤師が薬剤師業務をフォローすることは簡単ではありませんし、在庫管理、レセプト作成などには責任も伴います。しかし挑戦することで確実に自分の経験値は高まっていき、スキルアップに役立ちます。ですからこれからも努力を継続していきたいですね。




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