薬剤師取材

調剤過誤対策から薬剤師業務の効率化まで ~調剤ロボット導入事例~

株式会社メディカルユアーズ 梅田薬局

  • この記事をシェアする
  • この記事をツイートする
  • LINEでこの記事を送る
お話を伺った、株式会社メディカルユアーズ 社長 渡部正之さん(左)・メディカルユアーズ梅田薬局 管理薬剤師 松本和季先生(右)(2019年9月取材)

日本版自動入庫払出装置をメーカーと共同開発し、国内初の医療モール共有EHR*システムも実現。日本初のロボット薬局の開発に成功。

*EHR:Electronic Health Record(エレクトロニック・ヘルス・レコード/電子健康記録)
……個人情報の取り扱いに関して患者さんの同意を得ることでモール内での情報連携を実現。

 

薬局の業務効率化の取り組みについて、薬局本部と現場それぞれの声をお聞きしました。
[調剤ロボット]の取材でお伺いしたのは、ロボット技術や医療ICTの導入により、薬局における業務効率化に取り組むメディカルユアーズ梅田薬局。その実態について株式会社メディカルユアーズの渡部社長と管理薬剤師の松本先生にお話を伺いました。

投薬ミス防止や業務の効率化を徹底。
待ち時間削減で潜在的なニーズに応えます。

何より投薬ミスによる事故をなくしたいという思いがありました。日本では年間約3,500人の方が投薬ミスで亡くなっている可能性があります、医療安全の確保という意味では日本はいまだ後進国なのです。加えて、少子高齢化、労働人口の減少といった社会的背景もあり、もはやテクノロジーの力を借りずに健全な薬局経営は難しい状況になっています。それを大義名分とした上で、より安定的な経済基盤を確立した薬局経営をしていきたいというのが創業の理由です。
とはいえ通常の医療モール内の薬局では、今後はオンラインビジネスにシェアを奪われるだけだろうと考え、医療ICTとロボティクスを組み合わせることにより、待ち時間ゼロを目指す店舗経営に活路を見出しました。
機械化によりミスをなくし、安全かつ効率的で高い生産性を実現できれば当初の大義も果たせます。関西一円からアクセスしやすい駅前の立地にこだわったのもポイントです。

ミドルウェア開発で計数調剤を可能にし、
EHRの共有という未知の挑戦を形にしました。

当薬局で採用したのは、アメリカBD社(ベクトン・ディッキンソン・アンド・カンパニー)による世界トップシェアの「BD Rowa TMシステム」です。販売実績に加え、地震の多いイタリアで10年以上事故報告がないという安全性も導入の決め手でした。
ただ海外製のため薬を箱ごと提供する想定で製造されており、計数調剤に対応していないという問題がありました。そこで計数調剤は人間が行う代わりに、ピッキングまでを完全自動化するという発想に切り替えたのです。そのために必要なミドルウェアを日本BD社(ベクトン・ディッキンソン株式会社)と弊社で共同開発し、箱の中の錠数が減るたびに、その都度残りの錠数を書き換えてラベリングができるようにしました。
さらに、当医療モール全体でEHR※(エレクトロニック・ヘルス・レコード)を共有できるICTシステムも導入。患者情報を医療モール単位で共有した事例は国内初ですので、ここがモデルケースとなり普及促進されることを期待しています。

箱のラベルを読み込み自動的に装置内へ入庫、ロボットアームが棚への整列とピックアップを行います。

待ち時間ゼロを目指し対物業務を不要に。
ICTで病院との情報連携の拡大へ。

患者さんの待ち時間を大幅に削減し、ピッキングなどの対物業務もゼロに近づいています。また、薬局内の薬の情報もリアルタイムに錠数単位で把握でき棚卸しも不要になりました。その分、薬剤師は鑑査、服薬指導など薬剤師にしかできない仕事に専念できます。機械の力を借りて薬剤師の職能を拡大し、タスク・シフティングを推進すれば、医師たちの負担軽減にもつながるはずですし、EHRシステムの活用で医療モール単位でのフォーミュラリーの構築も可能になると思います。
一方で、まだ試験的段階ですが、受付時に患者さんにお渡ししたQRコードをかざすだけで、薬局営業時間後(ビル閉館時刻の23時まで)の無人状態でも、調剤済みの薬を自動で受け取れるピックアップターミナルも実装しています。
事前に服薬指導がなされ、正確に患者さんと薬を紐付けられれば実施可能なところまで法整備も進んでいますので、将来的には昼間にも活用できるようにしたいと考えています。OTCではなく調剤済みの薬が自動でオペレーションできたら世界初の事例となりますね。

 

機械化により対人業務の強化が求められ
管理薬剤師としての実績を活かせる環境へ。

今までは弊社東梅田薬局の管理薬剤師として勤務していましたが、当薬局オープンに合わせて同じ管理薬剤師として異動してきました。こちらでは、薬のピッキング作業を完全オートメーション化し、対物業務を大幅に削減するため、より対人業務に注力していくということで、これまでのキャリアを見込まれてお声がけをいただいたのかなと受け止めています。
現在は新たに採用された薬剤師2名と事務員1名に支えられながら新体制で業務にあたっています。正直、最初はどんな機械か分からなかったので不安はありましたね。

対物業務の負担や時間が大幅に削減され
服薬指導などに注力できるようになりました。

これまでは処方箋を確認してから入力作業や調剤業務を経て投薬という流れでしたが、機械の場合は処方箋を受け付けてから投薬までのタイムラグが少なく、大幅な時間短縮が可能なので、対物業務の効率は大きく変わりました。
メリットとしては、EHRサービスに同意している患者さんの情報はご来店前に届くため事前準備ができ、処方箋の入力作業も省けること。在庫管理や棚卸しの負担がないのも魅力です。利用頻度の低い薬の使用期限なども分かりやすくグラフ化でき、非常に助かります。特に機械の操作が簡単なためキャリアに左右されず、取り間違いがないので安心です。削減された対物業務の時間を服薬指導やコミュニケーションの充実に活用していきたいと考えています。
現状では、お仕事帰りの時間帯など混雑時にはお待たせしてしまうこともありますので、今後はピックアップターミナルも有効活用して待ち時間ゼロに近づけるのが課題です。

発行されたQRコードを読み込ませると薬が出てくる「自動薬剤受取機」。

 

<メディカルユアーズ梅田薬局>

大阪府大阪市北区梅田1-8-16
ヒルトンプラザイースト5F
☎06-6341-8181
※ロボット薬局見学のご希望はメディカルユアーズホームページよりお申し込みください。

  • この記事をシェアする
  • この記事をツイートする
  • LINEでこの記事を送る
アスヤクLABOの仲間になりませんか?

ご登録いただくと、すべてのコンテンツの閲覧・座談会の参加ができるほか、最新情報をメルマガでお届けします。

アスヤク仲間に登録する

その他の「薬剤師取材」

この記事を読んだ方におすすめの記事

ページトップへ戻る