薬剤師取材

薬局エリアマネージャーの心構え
~管理薬剤師からの視点の変化~

株式会社サンキュードラッグ 古賀俊彦先生

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北九州、下関エリアで地域密着型の調剤薬局・ドラッグストアを展開する株式会社サンキュードラッグ。管理薬剤師、エリアマネジャーとキャリアを歩んできて、薬剤師として11年目を迎える古賀俊彦先生に、さまざまなポジションを経験したからこそ得られたもの、そしてエリアマネジャーとしての心構えなどをうかがいました。

ドミナント方式を採用して地域に展開

私が薬剤師になって今年でちょうど11年目を迎えます。薬局薬剤師の道を選んだのは、より患者さまの生活に近いところで、じっくり一人ひとりと向き合いたいという思いがあったからです。当社に入社したのは国家資格予備校時代に信頼していた、講師の先生に紹介されたのがきっかけです。北九州、下関エリアでは名が知られた地域密着型の薬局であり、近隣エリアに多店舗を展開するドミナント方式を採用している点に興味を持って入社を決めました。

入社後は3年目に管理薬剤師になり、8年目にエリアマネジャーに抜擢されました。本来であればエリアマネジャーになると同時に管理薬剤師を外れる場合が多いのですが、現在は近隣クリニック医師との連携を維持するため、管理薬剤師とエリアマネジャーを兼務しています。

担当エリアの薬局は8店舗です。当社は調剤併設ドラッグストアや総合病院前の店舗、地域密着で診療するクリニックと連携する店舗までさまざまな規模の薬局がありますが、はドミナント展開され半径500m圏内に出店されるような地域密着型のエリアで規模が薬剤師1、2名の小さい薬局から大きいところでは薬剤師6人というエリアを担当しています。

専門知識を発揮するには、チームワークが重要

薬局内では少人数で、密度の濃い人間関係の中で働くことが求められます。そうした中で、薬剤師も事務もすべてのスタッフが気持ちよく働けるように、人間関係やコミュニケーションには自分なりに努力してきました。薬剤師がどれほど専門知識を持っていても、それを発揮するにはチームで活動することが欠かせないからです。

また、新人時代から特に気をつけていたのは「社会人としての最低限のマナーを身につける」こと。薬剤師は大学を卒業してすぐの20歳代前半であっても、薬局内では「先生」と呼ばれたり、自分よりも年齢が上の事務の方やパートナーの方から敬語で話しかけられたりします。確かに薬剤師は国家資格を持っていますが、人生経験は事務の方がはるかに長いはず。そこを勘違いせずに、常に謙虚な気持ちを忘れなかったことが、今のキャリアに大きく生きていると感じます。

3年目に管理薬剤師を任され、新規開業の医師と連携して地域に根差してきたことや、店舗での人財育成が認められ、8年目を迎える時にエリアマネジャーに抜擢されました。打診を受けた時は驚きましたが「自分にとって勉強になるかもしれないし、何よりもやってみたい」と思い、思い切って引き受けました。抜擢してくれた上司になぜ、私が選ばれたのか理由を聞いたところ「薬剤師、事務、パートも含めたすべてのスタッフをチームとして取りまとめ、みんなで一緒に理想の店舗を作っていこうという姿勢を感じたから。また、店舗スタッフの成長にも貢献してくれた」といってもらうことができました。

専門知識を発揮するには、チームワークが重要

薬局長の育成、勤務環境の整備などが役割

エリアマネジャーの業務は薬局長を始めとする人財の育成、適正な人財配置、働く環境の整備、その他、売り上げの管理など多岐にわたります。この中でもっとも重要なのは人財育成、特に、薬局長の育成です。また働くスタッフが気持ちよく仕事ができるように環境を整えることも重要です。例えば店舗が忙しくてスタッフが疲弊していたら、なるべくすぐに現場へ行って状況を把握し、人財を配置するのかシステムを導入すべきかなど、適切な判断を下して状況を改善させます。

私がエリアマネジャーとして特に強く意識しているのは、問題が発生した時のスピーディな対応です。私自身が対応できる問題はすぐに対応し、そうでない場合は周囲に意見を求め、細かい点まで対応するように心がけています。

一方で、人財育成の観点からは、何から何まで私が対応すべきではないこともあります。現場に任せることで、薬局長など管理者の成長につながるからです。そのために例えば、店舗運営に関する改善点の話し合いでは、私からは積極的に発言せず、あえてオブザーバーに回ります。自分達の店舗を自分達で改善していく姿勢を学んでほしいからです。ミーティングでは薬局長が主体になってスタッフ全員が意見を出し合ってもらい、私は必要なタイミングで、他店舗の事例を紹介するなどの対応を心がけています。

「自分自身の言葉」で伝えるように意識

すべての企業において同様だと思いますが、まず企業全体の経営方針があり、各部署がそれに沿った戦略を考えて行動します。エリアマネジャーの役割は、そうした戦略を戦術としてどのように現場に落とし込むか、会社の理念をいかにして現場に伝えていくかが重要です。

どのように伝えるかについては、私自身「こうありたい」と願う理想のエリアマネジャーの先輩がいました。その先輩が話す言葉は非常に説得力があり、「同じ内容であっても、伝え方でこれほどまでに違うのか」と衝撃を受けたのを覚えています。私自身も現場の薬局長が具体的に行動するために、できるだけ「自分の言葉」で伝えるように心がけています。エリアマネジャーが自分の言葉で伝えてこそ、初めてそれぞれのスタッフが「自分ごと」として捉えてくれるようになると信じているからです。

自分の言葉で伝えるという意味では、管理薬剤師でありながら同時にエリアマネジャーであるという私のポジションは強みになっていると感じます。私自身が実際に店舗で実務に携わっているからこそ伝えられることがあるからです。自分自身の経験を踏まえて語ることができるのは、言葉に大きな説得力が生まれます。

いずれは、「こういう患者さまの時は、こういうレポートを医師に提出するといい」など、私自身が実際に取り組んできた経験を、直接やってみせることで伝えられればと思います。

地域ニーズを俯瞰して考える

新人薬剤師から3年目に管理薬剤師、そしてエリアマネジャーへとステップアップする中で、私自身が一番、大きく変わったことは、地域全体を見渡しながら、医師や他職種の方々と協力して患者さまに貢献する、という思いが強くなったことです。現場の薬剤師として働く時は、目の前の患者さまに注力することで精一杯でした。ですが1歩ずつステップアップするごとに、他職種の方々と連携して互いの力を発揮しながら、いかに地域ニーズに応えるか、より俯瞰して考えられるようになりました。

薬剤師に求められる役割が“対物”から“対人”へ変化する中で、最近ではいかにかかりつけ薬剤師として患者さまに貢献できているかが、各種加算の算定状況などによってはっきりと数字で出るようになりました。各店舗の努力がはっきりと数字で把握できるようになる一方で、取り組みが進まない店舗も明確になります。

「0を1にする」ための第一歩をサポートしたい

店舗ごとに環境は異なりますので一概にはいえませんが、やはりそうした業務に取り組めないのは何かしらの事情があるはずです。注意すべきは「0を1にする」ところが一番、肝心だということ。初めの一歩を踏み出せるかどうかが、非常に大きいと私は考えます。

今後の薬局、薬剤師のあり方として、「対人業務」へのシフトはさらに進むでしょう。単に「調剤する機械」になっては、患者さまから選ばれることは難しくなっていきます。そのため、かかりつけ薬剤師としての成果が数字としてまだ出てこない店舗については、「0を1にする」ところからまずはサポートしたいと思っています。

管理薬剤師、エリアマネジャーとステップアップしてきて、さまざまな経験がすべて今日の自分の糧になっていると感じます。ひとつステージを上がるごとに、またひとつ上の視点で、患者さまへの貢献について考えられるようになりました。今後も当社の理念である”より健康でより豊かな生活を実現”するために、私自身がスタッフとともに成長し、それを地域に還元できればいいと願っています。

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