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~薬剤師メディカルラリーとは~ Interview編

NPO法人 薬剤師緊急対応研修機構 理事長
山口 勉

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一般的なメディカルラリーは、医師や看護師、救急救命士などが病院前救護の知識や技術を競う競技会ですが、そのメディカルラリーを薬剤師向けにカスタマイズして実施されているのが「薬剤師メディカルラリー」です。
薬剤師メディカルラリーでは一体どんなことが体得できるのでしょうか? 2018年5月27日(日)に開催されたこのイベントにお邪魔するとともに、イベントの創設者である山口勉先生にお話を伺いました。

街にいるすべての薬剤師が救命処置をできれば、
救命率、社会復帰率は上がり、緊急時にも安心な、心強い街ができるー

以前は、私自身「薬剤師も医療従事者である」という自負を持ちながらも、心肺蘇生すらできないことに不安を感じている時期がありました。医療従事者でありながら目の前で誰かが倒れたとして、救急隊員が駆けつけるまで何もできない自分でよいのかーとそんなとき、知人の紹介で日本救急医学会が主催するICLSコース(医療従事者のための蘇生トレーニングコース)に参加したのが、現在に繋がるきっかけとなりました。やる気を育てる指導をしてくださるインストラクターの方々に触れ、自分でも教えることへの興味が湧いてきて、9年前にはインストラクターにもなりました。ただ、心肺蘇生はできても、それだけではいざという時に足りないとも思うようになったんです。とはいえ、救急救命を学べるプログラムは薬剤師には門戸が開かれていないことが多いんですよね。無理言って伝手を頼りに学ばせていただいていたんですが、やはり自分たちでも何とかしたいということで、緊急時に救命対応ができる薬剤師を育成することを目指して「薬剤師メディカルラリー」を始めたのが5年前になります。

患者さんが暴れている、オーバードースで倒れた…など、薬剤師を取り巻く環境の中でもさまざまなトラブルは発生します。薬剤師メディカルラリーは、そんな薬剤師ならではのシナリオを反映した体験型セミナーです。他にも、ある特定の薬を服用している患者さんが目の前で倒れたとき、救急隊員にきちんと情報を伝えることで患者さんは適切な治療を受けることができたりします。混乱する緊急の現場であっても慌てずに適切な対応ができるかどうかは、いかに日頃から意識するかどうかではないでしょうか。また、医療従事者であるからにはBLS(一次救命処置)も行うべきだと思っていますので、薬剤師メディカルラリーのプログラムには毎回組み込んでいます。
薬剤師メディカルラリーは『学びの場』ではなく、『体験の場』だと思って開催しています。ここでの体験をきっかけとして、私たちPERT(※)が開催している講習会で学んだり、また他の場でも様々なことにチャレンジして、沢山のことを得ていく薬剤師が1人でも増えて欲しいと思います。幸い、考えに共感してくれる方も増えてきて、参加者はもちろんですが、医師、看護師、救急救命士など、インストラクターとして携わっていただける仲間も少しずつ増えてきましたので、薬剤師メディカルラリーをこれからもっともっと発展させていきたいと考えています。そして、緊急時にも対応できる『強い薬剤師』が増えてくれたら、きっと救命率、そして社会復帰率が上がる『心強い街』ができるーそんな未来を思い描いています。

※PERT (Pharmacist Emergency Response Training)

「薬局はafter hospitalの施設であると同時に、救命の連鎖の始まりも担っているpre-hospital施設でもある」、そして、「薬局が力を発揮すれば救命の連鎖ではなく、救命のサークルが出来上がる」という理念をもとに、薬剤師メディカルラリーをはじめとするNPO法人薬剤師緊急対応研修機構が運営する講習会。

山口 勉 先生

NPO法人 薬剤師緊急対応研修機構 理事長
明治薬科大学薬学部卒業後、株式会社ファーマテック 人材育成担当
平成21年に日本救急医学会認定ICLSコース・インストラクターに認定
平成25年より薬剤師メディカルラリーを開催

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