取材記事

病院からの期待を受けて地域薬剤師会と連携しフォローアップをスタート
薬局にできることを一つ一つ丁寧に・・

グリーン薬局中央店(たんぽぽ薬局グループ) 朝田かおり先生 長塚真美先生

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グリーン薬局中央店は、高山赤十字病院から地域薬剤師会に対して「薬剤師にフォローアップをして欲しい」という要望が寄せられたことを受けて、早くからフォローアップに取り組んでいます。地域の薬物療法向上のため、受診と受診の間の空白を埋めるべく奮闘する管理薬剤師の朝田先生と長塚先生に、フォローアップを上手に始めるコツをうかがいました。

地域の医療機関、薬剤師会と協力して
フォローアップを開始

岐阜県高山市にあるグリーン薬局中央店は、飛騨地域の中核病院のひとつである高山赤十字病院をはじめとして、近隣医療機関から幅広く処方せんを受け付けています。処方せん枚数は1日あたり50~70枚、診療科は内科を中心に外科、整形外科、脳神経外科、呼吸器科など多岐にわたり、新生児から高齢者まであらゆる年齢の患者さんが来局します。薬剤師数は常勤3名、パート1名、その他事務員2名が勤務しています。


同薬局では、薬剤師による服薬期間中のフォローアップが義務化される前から、電話によるフォローアップと処方医へのフィードバックに取り組んできました。患者さんの服薬後の状態を常に把握しておきたいという思いはもちろんありましたが、一番のきっかけは高山赤十字病院から地域薬剤師会に対して「次回受診時までのフォローアップをして欲しい」という期待があったことです。

トレーシングレポートの書式の統一などは、高山市薬剤師会と病院薬剤部が連携し、フォローアップのための環境整備を行ってくださいました。 トレーシングレポートではチェックすべき項目が整理され、薬剤師が患者さんから聞き取った内容をチェックした上で、コメントを記入して送付できるようになっています。

実際の流れとしては、フォローアップが必要な患者さんに対して服薬指導時にその旨を伝えた上で、都合のよい日時を確認します。連絡時間帯は患者さんの都合を優先し、働いている人に対しては夕方5時以降にかけることもあります。
適切な薬物療法を実現するには、服用期間中の様子を把握することは欠かせません。 しかし、どれほどメリットがあるとわかっていても、病院ではそこまで人手と時間を割くことが難しいと思います。
そうした中で薬局薬剤師が積極的にフォローアップすることは、病院薬剤部や医師の負担を減らせるとともに、なにより患者さんの為になると思っています。
医療機関からの期待もありますが、こうした患者さんへの思いから、グリーン薬局中央店では、服薬期間中のフォローアップを開始しました。


※調剤後薬剤管理指導報告書(高山市)


外来化学療法患者と糖尿病患者を中心にフォローアップ

グリーン薬局中央店では患者さんのフォローアップは正社員、パートに関わらず服薬指導を担当した薬剤師が行います。 自分自身がフォローアップすべき患者さんをうっかり忘れてしまわないよう、レセコンにフォローアップ予定を登録したり、一覧表にしてすぐ確認できるようにしたり、見えるところに貼っておいたりと様々な工夫をして、一人ひとりが責任をもって取り組んでいます。


飛騨地域は、糖尿病患者が多い傾向にあります。それに対して医療資源は乏しく、糖尿病の専門医は地域に3名しかいません。
そのため、低血糖が出ているのに処方内容がそのままだったりと、適正処方が行われていないケースもありました。
薬剤師として地域に貢献し患者さんに適切な医療を提供したいとの思いから、岐阜県糖尿病療養指導士認定を取得し、現在は、糖尿病患者や外来化学療法患者を中心に、週に1、2件はフォローアップを行っております。

糖尿病患者に対しては、単位が変更されたタイミングを中心に、正確に使えているかを確認します。また、インスリンを使用している患者さんで一番、怖いのは低血糖を起こすことです。そのため低血糖の兆候がないかは、必ず聞き取るようにしています。 抗がん剤であればレジメンを確認し、3週間に1回なら1、2週間後に、2週間に1回なら1週間後にフォローアップしています。


医師へのフィードバックで処方変更に

フォローアップのメリットのひとつは、患者さんが実際に薬を飲んだ後の様子を把握できることです。服薬後の様子を把握して次の受診へつなげることは、薬局薬剤師にしかできない重要な役割だと思っています。

フォローアップ時に得た情報を元に、薬局から医師に患者状態をフィードバックし、処方変更につながった例もあります。
化学療法を受けており、大腸刺激性の下剤が処方されている患者さんでした。投薬時には、特に不具合はないと仰っていましたが、フォローアップ時に『トイレには1日4~5回行っているが薬が効かず、便秘気味』という訴えがあり、掘り下げて聞くと、便が固くて何度トイレに行ってもスッキリ出ずにお腹が張っているという事が判明しました。このことを医師へ相談したところ、次回より別の下剤が処方され患者さんの体調改善につながりました。
また、フォローアップの目的は適切な服薬管理のためだけではありません。 例えば、糖尿病の血糖値をコントロールするには、体調不良で食事が食べられないなどシックデイの対処が重要です。フォローアップ時に基本的なシックデイルールについて説明し、対処法を知らない患者さんがいたため『次回受診時に、シックデイの対処法を医師に確認してください』とお伝えして、知識不足を埋めるお手伝いをすることもあります。

「断られても構わない」というスタンスで

より適切な薬物療法が求められる中で、薬剤師によるフォローアップの重要性が高まることは間違いありません。その一方で、薬剤師が患者宅に電話をかけることはこれまでなじみがなかったため、薬剤師自身にも患者さんにとっても心理的なハードルがあります。

その中で大事なのは『もし、断られてもそれはそれで構わない』というスタンスでやっていくことです。 それは、患者さんには患者さんの都合があると思うからです。今までは電話を断られたことはありませんが、もしも断られても『何かあったらいつでも電話してくださいね』といって次につなげていくことができればよいと思っています。

―『あなたの体調が心配なので、電話してもいいですか?』
という風に、薬学的管理云々というよりも、あくまで『心配だから』とか『気になるから』という気持ちですね。あまり肩ひじ張らずに、自分の家族や親せきに『最近、体調どう?』と聞くくらいのつもりで始めています。

また、フォローアップにかかる時間や手間も、始めるまでは大変というイメージがあるかもしれませんが、実際にやってみると電話自体はそれほど時間もかかりませんし、報告書も要点を絞れば15分程度で書きあがります。今のところはそれほど負担を感じたことはありません。

次なる目標は、フォローアップを活かし
地域の他職種へ情報をつなげていきたい

訪問看護ステーションやデイサービス、ショートステイ、地域包括ケアセンターなどで地域には様々な職種が活躍していて、それぞれの立場から患者さんを支えています。 薬剤師がフォローアップで得た情報を病院だけではなく、適切な職種につなげていけるようにもっと取り組みを広げたいと思っています。

また、薬剤師がフォローアップすることで医療者と患者さんのギャップを埋めることに貢献したいです。
できることから少しずつ、薬局薬剤師にしかできない取り組みにチャレンジしたいと思っています。すでに、処方せんやお薬手帳から、検査値に対して薬の量が多いと感じた患者さんに対して、地域の処方医へトレーシングレポートを書くことも始めています。それを読んだ医師から電話がかかって来て、適切な処方につながるケースもあるなど、一歩ずつですが、地域の薬物療法の質を上げるための取り組みを続けていきたいと思っています。

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