薬剤師取材

”女性”の健康サポート薬局とは 〜鹿児島県の取組み②〜

鹿児島県「女性健康サポート薬局」あすなろ薬局 岩下弘美先生

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お話しを伺った岩下弘美先生。(2017年1月取材)

鹿児島県から「女性の健康サポート薬局」の指定を受けた『あすなろ薬局』は、県内で唯一、日本女性医学学会認定、女性ヘルスケア専門薬剤師、更年期と加齢のヘルスケア学会認定、シニアメノポーズカウンセラーが相談に応じています。具体的にどんな配慮がなされているのかを、薬剤師の岩下弘美先生にお聞きしました。

ニーズに見合った医療の推進とは?

例えば、若い女性が市販のロキソニンSを購入しに来られた場合、「どこが痛みますか? 頭痛ですか?」など薬を服用する目的を聞きます。月経痛があまりひどい場合は子宮内膜症の可能性も有り得るので、注意が必要なんですね。放っておけば、不妊症に至るケースも少なくはありませんから。どうしても若い女性は婦人科に行く事を恥じらって敬遠してしまいがちですが、とりあえず診察に行ってみて、がんの早期発見となった事例も結構、あるんです。ですから、声かけは常にするようにしています。妊娠中や授乳中の方が飲む薬や、更年期治療でお医者様から勧められたホルモン補充療法(HRT)のお薬についても詳しく説明します。

安心して個人情報を相談できる窓口とは?

プライバシーに関わる内容など、ほかの人に聞かれたくないご相談は予約をしていただければ、別室でじっくり伺います。この、“とにかく聴く”ということが、薬剤師の仕事で大切なことなんですよ。とくに更年期の患者さんは相談時間が長いので、対応しきれない病院や薬局も多いんですが、患者さんにしてみれば“吐き出したい”という思いが強いわけで、相談後“すっきりしました”と元気に帰られる方も多いです。一方、家事、育児、仕事に追われているお母さんがたや若い人はスマホ検索の情報を信じてしまうようですが、正しい情報もあれば、誤った情報もあるというのがネットの世界なので…。心配事があったら相談してほしいと思います。

女性のライフステージに合わせた指導とは?

『あすなろ薬局』では血液検査データなどから生活習慣予防に繋がるお話もさせていただくことがあるんですよ。GPT(ALT)が10以下の人に乳ガン患者が多いと聞いています。また、妊娠中の検査は将来の予防検診ともいえて、妊娠中に血圧が高いと更年期に血圧が高めになる人もいます。ですから、「塩分は控えましょうね」「体重を増加しないように注意しましょうね」などのアドバイスを早くからすることができるんです。できれば、病院と同じように、薬局にも栄養士さんが1人いて、栄養指導ができるようになるといいなと思います。

働く現代女性への検診のすすめかた

昔に比べ、いまは仕事を持つ女性の数がとても増えました。フルタイムで働く方などは会社での健康診断があるのでまだ安心ですが、パート雇用の場合、ご自身で自己管理をしなければならないー特にご家庭をお持ちの方はご主人やお子さんを優先してしまい、自分の健康面は後回しにしてしまいがちです。お産が終わった後は婦人科で検診を受ける機会も減りますし、気がついたら更年期障害だったという場合も少なくはありません。また、「自分はまだ若いから大丈夫」いう過信も要注意です。
実際にこんなことがありました。毛深いことをお悩みになられ、皮膚科でレーザー治療を受けていた女性がいらっしゃったんですね。でも、なんとなくおかしいな・・・原因はホルモンの異常からきているんじゃないかな? と思ったんです。そこで婦人科への受診をすすめてみたところ、子宮頸がんの初期だったんです。婦人科と同様、若い女性は大腸の検査や痔の検査なども恥じらいがあるものです。でも、具体的に検査の説明をしたり、女医のいる病院をご紹介するようにして、なるべくひとりでも多くの方に検診をしてもらえるよう努めています。検診を受けて異常がなければ、それで安心できますしね。

今後の課題とは?

例えば女性の場合、動脈硬化の危険因子である喫煙は男性よりも影響を受けやすいんですね。そういった話も処方されたお薬の説明時にアドバイスをしているのですが、いわゆる保険調剤のシステムとして、処方薬に関わる薬学的視点から説明をしないと点数にはならない。いわゆる保険調剤の点数とニーズがリンクしないという点があります。そこが今後の課題でしょうか。

目指すべき薬剤師の姿というものは
どういうものでしょう?

勉強熱心な薬剤師さんはとても多いのですが、アウトプットがうまくできていないと感じることがあるんですね。客観的に薬剤師という職業がどう見られているか、自分の苦手分野を知るためにも薬剤師さんだけの勉強会ではなく、もっと外に出てみるといいと思いますね。そして、仕入れてきた情報を患者さんに還元していくことが大事だと思います。
いろいろ勉強した結果、どんな薬剤師になるかは自分自身で決めていくことですが、大切なことは、自分のライフステージに合った学び方、勤務形態を心がけることですね。子育て中の場合は無理せず、勤務時間を午前中にするなりして軸足を育児に置いて子どもに寄り添えばいいんじゃないでしょうか。結局は誰のためにこの仕事をしているかということですから。好きで取得した仕事であれば、焦らず自分の暮らしに合わせて続けていただきたいと思います。

 

<あすなろ薬局>

鹿児島県鹿児島市薬師2-16-7
☎099-255-4976
1999年10月開局。
事務員を含めた全員を女性スタッフで揃え女性の健康サポート薬局として情報提供や相談に積極的に取組んでいます。

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