褥瘡の患者さんを目の当たりにしてショックを受けた
私が在宅褥瘡治療に介入したきっかけは、3年前に出会った癌末期の患者さんです。訪問看護師さんから「なかなか褥瘡が治らない患者さんがいる」と外用剤等についての相談を受け、現状を把握するために同行訪問させていただきました。高齢でやせ細った患者さんの身体にできた痛々しい褥瘡の数々、処置の間ベッド柵に必死でつかまり苦痛に耐える姿、そして懸命に介護をする高齢のご家族。今まで外用剤を調剤・服薬指導することは何度も経験していたはずなのに、私は初めて実際の褥瘡や外用薬がどのように使われているのかを目の当たりにし、大きなショックを受けました。しかし、当時は知識や経験もなく、適切な処方提案ができないまま患者さんが亡くなってしまったので、とても後悔しました。
その後、同じように褥瘡で苦しむ患者さんのお役に立ちたいと考え、褥瘡治療の第一人者である古田勝経先生が行なっている勉強会や書籍で懸命に学びました。