国の医療費削減目標を背景に、着々と普及シェアを拡大してきたジェネリック医薬品。今後、ますます高齢化が加速し、セルフメディケーションや地域医療連携などが重要視されていく中、薬剤師にはどのような役割や薬剤選択の考え方が求められるのか、長年ジェネリック医薬品の普及に尽力されてきた日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会の有山氏と横浜市立大学附属病院の小池氏にお話を伺いました。
(本記事は医薬情報おまとめ便内、特集企画「患者さんに最適な薬剤選択とは?~ジェネリック医薬品の活用を踏まえて~」にて掲載した記事です。 )
患者さんのためにより良い薬を知り、
どのような製剤を選択するか。それが薬剤師の原点です。
病院への普及が進む中、今後は開業医への拡大を視野に
ジェネリック医薬品の認知度がここまで向上してきた経緯とともに、現在の普及シェアや課題についてお聞かせください。
有山 ▶ ジェネリック医薬品学会(※1)をスタートさせたのは、今から十数年前。後に小池先生にも協力をいただき、医薬分業の発展に従事しながら、ジェネリック医薬品の普及促進に努めてきました。薬剤師としてより良い薬を選択するだけでなく、その中でより患者さんのためになる製剤まで追求し、少しでも優れたものはドクターにすすめたり薬事委員会などで主張してきました。また、ドクターや看護師、事務方の人々に対して講演を行ったり、実際に患者さんやドクターに利用していただくなどの試みを通じ、ジェネリック医薬品の利点をご理解いただくことで少しずつ普及してきたのです。薬価的なメリットをアピールするだけではここまで広がることはなかったと思います。
小池 ▶ 現在、DPC対象病院では、数量ベースですでに医薬品の70%以上をジェネリック医薬品に切り替えているところがほとんどです(※2)。当院でも政府の掲げる目標80%(※3)を数年前に達成しています。ただ、調剤薬局の薬剤師さんたちにヒアリングをすると、やはり開業医における普及にはまだ時間がかかる印象はあります。今の保険制度では開業医のドクターがジェネリック医薬品を使用するメリットが少ないこともありますし、ジェネリック医薬品はここ10年ほどで普及が進んだものですのでベテランのドクターですと効果を実感する機会も少ないためと考えられます。さらに普及率を上げていくためにはそのあたりが課題となりそうです。
※1:2017年4月に「日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会」へ名称を変更しました。
※2:「平成28年度第4回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会」資料より
※3:国は2018年度から2020年度のなるべく早い時期にジェネリック医薬品の数量シェアを80%以上にする数量シェア目標を設定。厚生労働省「後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用促進について」より
製剤技術の進化とともに、新たな付加価値を創出
ジェネリック医薬品における魅力や優位性はどのようなところにあるのでしょうか?