薬剤師取材

がん治療における薬剤師の価値
かかりつけ薬局からの患者情報は薬物治療の安心と安全に貢献する

鹿児島市立病院薬剤部部長 有馬 純子 氏

鹿児島県病院薬剤師会会長

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有馬 純子(ありまじゅんこ)
鹿児島市立病院の薬剤部長、鹿児島県病院薬剤師会の会長、日本病院薬剤師会の理事など各団体で要職を務める。日本病院薬剤師会ではがん部門の取りまとめ役も担い、病院薬剤師による職能の発揮に貢献している。

医師の「攻める」がん治療に加え
薬剤師は安全の視点で患者に寄り添う

大学院時代や1997年に入職した鹿児島大学病院の薬剤部在籍中に、アルバイトで調剤薬局の業務に従事した経験はありますが、振り返れば私のこれまでの歩みは病院薬剤師一筋です。鹿大病院には20年以上勤務し、その後2020年に現在の鹿児島市立病院に薬剤部部長として転任し、今年でちょうど6年目となります。
がんの薬物治療に携わるようになったのは鹿大病院薬剤部の頃で、取り組まざるを得ない環境にあった、というのが正直なところでしょうか。一日中、注射剤調剤の責任者を務めている時期があったのですが、レジメンが手元にあるわけでもなく、何の治療に使うかもさっぱり分からない。自分でやっていかなければならない状況にいました。ところが、あるとき親しくなった医師に聞けば、「あるよ」というわけです。いろんなことを調べ始めたら、ちゃんとストラテジーがあることも分かった。そうしたことが、がんの薬物療法に取り組む一つのきっかけとなりました。

鹿大病院時代は、がん専門薬剤師の基礎を固めるような時代でもありました。2012年度から鹿大を含む九州内の大学が共同で「九州がんプロフェショナル養成基盤推進プラン」がスタートし、がんを専門とする医療人の育成が始まりました。現在、日病薬会長の武田泰生先生が鹿大病院の薬剤部長を務めておられた頃のことで、武田先生のほか、現在は宮崎大学病院薬剤部長の池田龍二先生らと一緒になって、離島を含めがん薬物療法のセミナーを開催して回りました。県内の地方に当たる地域を中心とした行脚です。
セミナーでは武田先生が、がんの薬物療法を取り巻く制度や国の動きなど全般的なテーマを、基礎から臨床までのスキルをお持ちの池田先生は、ベーシックな研究の話題なども織り交ぜながらレクチャーされました。臨床畑の私は、がん治療における薬剤師の現場での役割などについて、お話をいたしました。各地域でそうした顔の見える関係づくりを続けていくことで、いろんな方から質問や問い合わせが名指しで来るようになりました。それは一つの成果だろうと思っています。

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