薬局のとりくみ

患者コミュニケーション

薬ではなく、患者さんと向き合う。 「ありがとう」がとびかう薬局を目指して。

目黒区つるさん薬局
鶴原伸尚先生

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東京都目黒区、中目黒駅西銀座商店街に構える『つるさん薬局』。
その代表を務める鶴原伸尚先生は、「薬局は劇場であり、薬剤師はエンターテイナーでなければならない」また「薬局は患者さんとの勝負の場である」と語ります。
その言葉が意味すること、また鶴原先生が実践していることはどのようなことか、お話をお伺いしました。

すべての患者さんに満足していただくために
積極的なコミュニケーションは必要不可欠

つるさん薬局に訪れる患者さんの特徴を教えてください。
当局の隣が耳鼻咽喉科の医院ということもあり、そちらの患者さんが全体の5割ぐらいを占めます。耳鼻科に関しては、乳児・幼児といったお子さんの割合が多いですね。もちろんそれ以外にも高齢の方まで、幅広い世代の、幅広い症状に対して調剤を行っています。

普段患者さんと接する中で、心がけていることは何ですか?
まず第一に「薬局は劇場、薬剤師はエンターテイナー」でありたいと思っています。私は観劇をした際、終演後のカーテンコールで出演者が汗だくになりながら見せる達成感に満ちた表情に感動するんですが、それと同じように、薬剤師も患者さんに感動を与えながら、患者さんと接した際にやり切ったと思えることを大事にしたいんです。理由はさまざまあるとは思いますが、当局を選び、わざわざ足を運んでくれるわけですから、患者さんに感動を与えて笑顔で帰ってもらいたい。その点で、常に患者さんと1対1で勝負をしている感じですね。患者さんから「ありがとう」と言ってもらえたら「よし、勝った」とうれしくなります(笑)。

その「ありがとう」をもらうために工夫していることとは、どのようなところでしょうか。
患者さんのモチベーションがどこにあるのかを、常に探しています。もちろん人それぞれなんですが、ここ最近はIT化が進む中で個人が孤立化していて、老若男女ともに『愛に飢えてるな』という印象を多く受けます。だから、お子さんであれば帰り際にハイタッチをするとか、お年寄りであれば肩をポンと叩いてあげるとか、直接的な触れ合いを意識するだけでも笑顔は引き出せます。
また、特に高齢者ですが、そこまで生きることへの執着心がなくなってくると、病気を治したいというよりも、まずは「楽しく生きたい」という想いがあると思うんです。例えば「早くお迎えが来ないかしら」なんて言う患者さんには「そう言って、また来週も来て同じこと言うんでしょ?」とか、ジョークで返すようにすると、その患者さんも笑ってくれるものです。

明るい薬局には明るい患者さんが集まる

そうした取り組みを続ける中で、実際に感じる変化などはありましたか?
大げさでなく、明るい患者さんが増えたように思います。薬局に入ってくる段階で既に笑顔だったり、外から手を振ってくれたり、街で私とすれ違った時も、気軽に声を掛けてくれる方が多いです。逆に言えば、とにかく早く、言われた通りの薬をただ調剤して出して欲しいという患者さんは、来たとしても、不思議とそれ以降は来なかったりするんです。

薬局・薬剤師としてのスタンス次第で、来局される患者さんの特性も変化していくということでしょうか?
それは本当にあると思います。ここを開局する前、色んな薬局に派遣やコンサルとして入ったこともありますが、明るい薬局には明るい患者さんが集まって、神経質な薬局には神経質な患者さんが集まってくるんです。ある意味、我々薬局側が、患者さんを選んでいるとも言えるのかもしれませんね。

薬を見るのではなく、患者さんを見る
病気を治したいという思いを強く持つこと

患者さんとのコミュニケーションの中で、病院紹介もされているとお聞きしました。それはなぜですか?
薬を出すという仕事の特性上、目指すべきところは患者さんが健康になることです。病気や症状のことを深く知らないといけませんし、そうした患者さんの体の状態を知るためには医師の検査が不可欠です。だから、他の薬剤師の方がどう考えているかはわかりませんが、患者さんの健康状態を良くするため、薬剤師が病院や医師を紹介するのは、極めて自然な流れなのではないでしょうか。
患者さんの多くは、自身の病気や症状に関する相談をできる身近な存在がいないため、不安も大きくなってしまう部分があると思います。だからこそ、お薬をもらいにきた時にでも薬剤師である私に気軽に相談できたりアドバイスが貰えれば、患者さんもきっとうれしいですよね。

紹介先の病院や医師は、どのように調べているのですか?
この薬局を開局する前は、時間がとれる時に医師にアポイントを入れて専門分野や経歴について聞かせていただくなどしていました。ただ開局後はやはり忙しくなってしまうので、医師が多く参加しそうなメーカーの勉強会に参加するなどして、医師と出会う機会をなるべく作っています。最近は、医師の方から開業時にご挨拶に来ていただけることも増えてきましたが、改めて内覧会に行って設備を見たり、お話を伺うようにもしています。場合によっては、自分が患者の一人として行ってみることもあります。その辺りは結構アナログに、自分の足を使って地道に調べています。

ではそうして調べた病院には、紹介状を書くなどして、患者さんにお教えしているのでしょうか?
いえ、実は紹介状の類は一切書きません。というのも、治療の方針や、薬の処方を決めるのはあくまでも医師であり、薬剤師の仕事ではありません。だからこそ、直接医師と触れ合う患者さんご自身が、自分の症状を正しく伝え、医師とのコミュニケーションを学んでいってもらいたいと思っているんです。紹介状を書いてしまうと、どうしても私の主観が入ってしまい、患者さんの本音とは言えません。ですから地図などのアクセス情報や、症状として最低限伝えるべきことなどをアドバイスして、そこからは患者さんご自身の意思で行動をしてもらうようにしています。

最後に、患者さんから感謝される、信頼される薬剤師であるために必要だと思うことを教えてください。
“薬ではなく、患者さんを見る”ということです。この病院や薬を「自分が使うとしたらどうか、自分の親や子どもが使うとしたらどうか」ということを常に考え、親身になって接することが大切だと思うんです。白衣を着てしまうとどうしても“薬剤師”として話してしまうものですが、純粋に相手を思ったコミュニケーションをいかにできるかー。白衣を脱いだ時に話すような“本音”を、患者さんも一番聞きたいんじゃないでしょうか。

※2018年5月取材時の情報になります。

鶴原先生の薬剤師コラムのご紹介

EPARKくすりの窓口のコンテンツとして、コラム「ゆきさんの処方せん」を連載中。ゆきさんと患者さんとの会話の中で、鶴原先生の薬剤師としての考えを垣間見ることができます。

つるさん薬局

東京都目黒区上目黒3-10-3

本記事は医薬情報おまとめ便内、特集企画にて掲載した記事です。 
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