薬剤師こだわり図鑑
その他のこだわり vol.5

今子どもたちへ伝えたいこと
学校薬剤師として地域に貢献する

ゆう薬局 中田裕介先生

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総合病院や開業医の近隣をはじめ、面分業や24時間営業、コンビニ内店舗など様々な形態の薬局経験を積む中で、薬剤師としてのスキル以上に「心構え」を学んだという中田先生。現在は先生の地元でもある岐阜県高山市内のゆう薬局に勤めながら、学校薬剤師としても活動している。身体的、そして精神的な発育・発達においても重要な時期にある児童生徒たちと関わる中で、薬剤師だからこそできることとは何か。学校薬剤師として3年目を迎えた先生が今想うこと、そして今後の取組みについて紹介します。

加速する情報社会において、
日本の「性教育」は確実に遅れている

現在私は薬剤師兼経営者として地元岐阜県高山市内のゆう薬局に勤めています。小・中学校の学校薬剤師としても活動していますが、ネットが急速に普及し、大人子供関係なくパソコンやスマホを扱い、様々な情報が簡単に手に入る世の中で、日本における性教育が遅れている現状に危機感を感じています。「性」というだけで、触れてはならない、タブー視されるといった風潮を感じている人も多いのではないでしょうか?学校の保健体育では妊娠の「仕組み」は学んでも、「過程」には触れません。特に男子生徒への性教育にいたっては、ほとんど放置されていると言っても過言ではありません。対照的にヨーロッパをはじめ諸外国での性教育に対する認識は大きく異なります。大人が責任を持って子供たちに教える、その大切さが広く世間に認識されているのです。学校においても保健の先生だけではなく、例えば理科の先生が生殖の授業中に性の話題に触れてみたり、社会の授業ではジェンダーについて考えてみたりと、自然体で性教育が行われているのです。
若いうちに「性」について学ぶことは、「人」そのものを学ぶことにつながります。学校薬剤師として地域の児童生徒と関わる中で、大人たちが性の話題をふり、子どもたちと共に学べる世の中にしていくことは社会全体の課題であり、同時に大人としての責任ではないかと考えるようになりました。

低用量ピルやバイアグラ®…
正しい知識を伝えることは専門家の役目

そんな現状を感じながら、「薬剤師としてできることは何だろう」そう考えた際に、まず浮かんだのは低用量ピル、バイアグラ®といった医薬品でした。いずれも名前はよく知られていますが、実態が正しく知られていません。実際、ピルは月経痛や月経不順などにも使用されているにもかかわらず、大人でさえピル=避妊薬というだけの認識を持っていることは少なくありません。誤った知識が偏見を生み、広げることとなり得るのです。子どもたちに(あるいは大人たちにも)正しい知識を伝えることが、学校保健活動に関わる薬剤師としての役目と考え、学校側への出前講座の申し入れを行っています。多感で繊細な子どもにとってデリケートな話題であること、また学習指導要領の内容も考慮しながら、学校側と慎重に話を進めていますが、実現までにはクリアしなければならないハードルがいくつもあるようです。…だから、今まで学校薬剤師による性教育は進まなかったのかもしれませんね。性という字は「心」に「生きる」と書くように、ヒトが人として生きていくために、「性教育」は避けては通れない大きな課題であります。大人として、そして学校薬剤師として、未来を担う子供たちに正しい性の知識を伝えたいですね。

常にアンテナを張ること
「薬剤師の仕事はこれ」という決めつけはしない

学校薬剤師は薬物乱用防止出前講座も行いますが、薬物依存症に対する世間の認識について、思うところもあります。「ダメ。ゼッタイ。」を合言葉に「関わらない」「手を出さない」という点に偏っていて、「関わってしまった」「手を出してしまった」ケースについてはあまり触れられないようです。国際社会は、薬物依存症という疾患の患者を社会で支援する方向に進んでいます。一方、日本では薬物に手を出すのは心の弱い人・誘惑に負けた人だと精神論で語り、社会から排除しがちです。このままでよいのでしょうか?私は、皆で考えていくことだと思っています。薬剤師は社会学者ではありませんが、薬剤師として関われる社会的な課題が身の回りにはたくさん転がっています。「薬剤師の仕事はここまで」「これはしなくてよい」と決めつけることはせず、人との会話、ニュースや娯楽などに常にアンテナを張って、社会の今について考えていたいですね。

学校薬剤師の立場から、地域貢献について考える

学校薬剤師として3年目になりましたが、子供たちと接するようになり、この若い世代が次の世界を作っていくのだということを実感するようになりました。同時に学校という場所の大切さ、学びの場を提供する大人の責任も感じています。学校教育を通じて、薬剤師だからこそできる「性教育」を実践していく…これからは薬剤師にも時代の流れにあったインプットとアウトプットが求められているのではないでしょうか。地域の一員としての自覚を持ち、子供たちへ発信を続けながら、健やかに過ごせる社会を目指していきたいです。

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