前回のコラムでは、昔の人たちの『世界を含めた全てのものは気で出来ている』という考え方「精気学説」と、「気の6つの作用と4つの種類」について書かせていただきました。
気の作用
① 栄養作用:養う作用
② 推動(すいどう)作用:進める作用
③ 温煦(おんく)作用:温める作用
④ 防御作用:守る作用
⑤ 固摂(こせつ))作用:留める作用
⑥ 気化(きか)作用:変える作用
気の種類
① 宗気(そうき):胸に集まり活動を推進する気
② 営気(えいき):栄養たっぷりな気
③ 衛気(えき):体の表面を守る気
④ 元気:生命を支える気
今回は、漢方・中医学で4種類の気がどうやって作られていると考えられているのかを書いていきます。
たくさんの聞き慣れない言葉や、苦手とされている方が多い五臓のお話も出てきます。
一度読んだだけでは、なかなか理解するのは難しいかもしれません。
もし細かい内容が難しいと感じたら「食べることって、気を作ったり体をはたらかせるために大切なことなんだな」だけでも感じていただけたら嬉しいです。
「あぁ、分からんわ。漢方の勉強センスないわ。勉強するのやーめた。」とすぐにならず、何度も繰り返し読んで、少しずつ定着させて前に進んで行ってください。
僕も『分かったような気がする→あれ?分かってないわ→分かったような気がする→あれ?やっぱり分かってないわ→・・・』を今だに繰り返しています。
そして、最初のコラムで書かせていただいた「漢方は昔の人たちが考えた『壮大な喩え話』の集まり」であることも頭の片隅に置きながら読んでください。
気を作るために必要な材料
本題に行く前に、気を作るために必要な材料について書きます。
“気を作るために“と書いていますが、気だけでなく、血や津液を作る材料でもあります。
独特な表現ですが、よく出てくる言葉です。
気を作るために必要な材料は次の3つです。
①水穀の精微(すいこくのせいび)
②自然界の清気
③先天の精気
①水穀の精微
飲食物から脾胃のはたらきによって吸収されたもの
栄養素のように捉えてもいいと思います。
脾胃は、五臓の脾と六腑の胃のことです。
脾、一文字だけで表現されることもありますが、同じことと考えていただいて大丈夫です。
ここでの脾胃は、胃腸消化器、消化・吸収の機能、吸収したものから体に必要なものを作り出す機能をイメージしていただくといいと思います。
②自然界の清気
大気中から肺のはたらきによって吸収されたもの
酸素のように捉えてもいいと思います。
肺は、五臓の肺のことです。
漢方・中医学では、解剖学の肺の他に、免疫機能なども表します。
ここでの肺は、呼吸器として呼吸やガス交換の機能とイメージしていただくといいと思います。
水穀の精微と自然界の清気は、生まれてから後天的に得られる物になります。
また五臓は臓器のような意味と、人間の体の中にある機能やはたらきも含めた、独特な概念です。
そして、気・血・津液の生成・代謝・貯蔵を行っている現場というイメージを持っていただくといいと思います。
③先天の精気
両親から受け継がれ腎に蓄えられているもの
遺伝的なものもこの概念に含まれます。
腎は、五臓の腎のことです。
漢方・中医学では、解剖学の腎臓や泌尿器系の他に、ホルモン系や生殖系、副腎の機能なども表します。
ここでの腎は、先天の精気を蓄える役割、生命を支える根源のようなイメージをしていただくといいと思います。
4種類の気の作られ方
さて、ここからが今回の本題です。
上で紹介した、水穀の精微、自然界の清気、先天の精気の3つから、4種類の気(宗気、営気、衛気、元気)がどうやって作られていると考えているのかを書いていきます。