患者さんに正しく服薬してもらうために重要なコミュニケーション。かかりつけ薬剤師の必要性がますます高まる中、これからの薬剤師に求められる患者コミュニケーションのあり方について、「服薬支援」を提唱し、思いやりのある医療を実践してこられた倉田なおみ先生にお話を伺いました。
薬が患者さんの体の中に入るまでを確認することが、
服薬支援。
先生が提唱を始めた“服薬支援”は、“服薬指導”とどう違うのでしょうか?
1988年の診療報酬改定で入院調剤技術基本料が新設され、診療報酬点数100点を請求できるようになりました。それまで、私をはじめ病院薬剤師は調剤室にこもって調剤業務を中心に行っていましたが、算定要件の1つに入院患者に対する月1回以上の服薬指導が盛り込まれたことで、薬剤師が病棟の患者さんの元へ出向くようになりました。これが薬剤師による「服薬指導」が広まったきっかけになったと思います。
服薬指導は、薬を正しく服用してもらうために、薬剤師が患者さんに説明することです。病棟に服薬指導に行くようになって間もなく、薬をお渡しした脳卒中片麻痺の患者さんからこんなことを言われました。「片手では袋を開けられない。開けてもらわないと飲めません」。それまでたくさん服薬指導をしていましたが、片手では薬の袋が開けられないということにそのとき初めて気が付きました。薬を正しく服用してもらうためには薬を渡すだけでは駄目で、患者さんの体の中に入るまでをしっかり確認しなければいけない。このことを広く薬剤師に知ってもらうために、「薬が体の中に入るまでを確認し、支援すること」を「服薬支援」と呼ぶことにしたんです。
患者さんができないことを想像して、
自助具の提案や剤形の変更を行う。
服薬が困難な患者さんに対して、どのような服薬支援をしていけばよいでしょうか?