カンエ薬局 松本朋子 先生
大学卒業後、オーストラリアのワーキングホリデーを経て、ドラッグストアや調剤薬局に勤務。薬剤師による障がい者のための在宅特化型の薬局「カンエ薬局」を2019年に開設。また、在宅特化型の薬局は女性の働き方改革へも繋がると提言し、自らが実施。カンエ薬局の経営者、管理薬剤師として活躍中。(2022年10月取材)
薬剤師は好きな事を続ける為の手段だった20代
私は今、在宅訪問特化型薬局のカンエ薬局の代表として日々、患者宅を訪問しています。カンエ薬局は女性の働き方改革や障がいがある患者さんのサポートを通して、薬局の使命でもある地域社会への貢献を目指す薬局です。2019年9月にオープンし、2021年10月には「大阪トップランナー育成事業」に認定されました。
独立して活躍していると“意識高い系”なんて思われるかもしれませんが、全然そんなことはありません。
元々、薬剤師を目指していたというわけでもなく、大学受験に際し看護師をしていた母から、「医療系は手に職がつくからお勧めだよ」と言われたのが薬剤師になったきっかけです。血を見るのが怖いという事もあって、医療系職種の中から薬剤師を選択しました。ですが、薬学部の受験に失敗してしまったこともあり、もともと海外や英語が好きだったので、実は高校卒業後に一度英文科へ進学しています。ただ、英語が得意な人って沢山いて、英語を活かした仕事で将来食べていくのは大変だなと思い、仮面浪人の末に国立の薬学部へ進学しました。
自身が文系大学生を1年間経験したという事もあり、薬学部に入った最初の感想は「全然遊べないじゃん!」でした(笑)
その後は人並みに頑張り、晴れて資格を取る事は出来たのですが、当時の薬学生は今ほど充実した実習が無く、病院や調剤薬局で働く薬剤師というものが想像も付かない状態でした。私も漠然と、就職先はメーカーの研究職になるのかなと考えていましたが、このままメーカーに入ったら好きな海外に行けないし、英語を使う機会も無くなってしまう!と思って、一旦大学院に進学しながらも、ワーキングホリデーを利用し、海外生活を送ることを選びました。
1年ほどオーストラリアでワーキングホリデーをした後、2か月アジアでバックパッカーをして帰国しました。
帰国後も海外熱が冷めやまず、すぐに海外旅行に行きたいと思っていたので、お金を貯めるために、就職を選択しました。特に薬剤師に夢を持っていたわけではなかったのですが、こういうシチュエーションでは資格職は便利なもので、すぐに就職することができました。ただ、いきなり薬剤師として医療用医薬品を扱うのは怖いという思いもあり、まずは物販だけのドラッグストアに就職し、その後調剤併設のドラッグストアで調剤業務を経験しました。実家が自営していたという背景もあり、いつかは独立なんかもできたらいいなーとぼんやりと考えていた私は、そのために一度は調剤がメインとなる薬局で実務を経験しないといけないと思っていて、何回か転職の末に最終的に13年勤めることとなった調剤薬局へ就職しています。
お金をためては海外に行き、資金が尽きたら日本で働きまた海外へ・・・という好きなことをする為に働くという生活を30歳くらいまで送っていました。
仕事に向き合って見えてきた、『やりたい事』