薬剤師の取組

課題は薬剤師不足
沖縄県として取り組むUIターン薬剤師確保対策事業とその背景

沖縄県薬剤師会 会長 前濱朋子先生

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お話を伺った沖縄県薬剤師会・前濱会長
(2021年9月取材)

人口10万人あたりの薬剤師数は全国最下位(2018年12月31日現在の統計で139.4人)と、薬剤師不足が深刻な沖縄県。離島も多く存在し、医療提供体制の地域格差の解消が課題となっています。沖縄県薬剤師会新会長に就任した前濱朋子氏は、沖縄県の特長を「患者さんと薬剤師の距離が近く在宅訪問の希望も多い」と話します。会長就任にあたっての抱負や、沖縄県が抱える課題についてお話を伺いました。

 

沖縄県U・Iターンガイダンスの開催と
奨学金返還助成制度の効果は大きい

―沖縄県内の薬局・薬剤師を取り巻く環境について教えてください。

那覇市内など中心部には薬剤師も少なくないのですが、離島をいくつも抱える沖縄県では郊外や離島で薬剤師が少ないのが現状です。沖縄県自体、他府県と比べると人口10万人当たりの薬剤師の数が全国でも最下位となっており、全県下的に薬剤師が不足している状況です。

現在は、積極的に在宅支援に取り組む薬局も増えていますが、実際に患者さんのご自宅に出向くとなると、やはり薬剤師が少ないため難しく、在宅支援に至らないことが多いのが現状です。せっかく意欲があっても、物理的な課題のためにできないことはもどかしいです。

―薬剤師不足を解消するために、どのような取り組みをされていますか?

前会長に引き続き、琉球大学を最優先とした沖縄県内の国公立大学への薬学部創設に向けて積極的に活動しています。

また、平成26年から県と、薬剤師確保対策事業の一環として、全国の薬科大学へ出向き、沖縄県内に勤務する薬剤師を確保するための就職斡旋「沖縄県U・Iターンガイダンス」を開催しています。この流れで更に、平成30年から県は「沖縄県薬剤師奨学金返還助成制度」をスタートさせ、薬剤師会が受託し取り組んでいます。県内の薬局または病院に一定期間(2年間)就業することを条件に、奨学金の一部を助成する制度です。薬学部創設を希望する理由にも繋がりますが、奨学金返済の補助は、公的な奨学金に限られており、奨学金以外で親御さんが貸し付けた分に関しては対象にはなりません。沖縄県民の所得は全国平均よりかなり低いため、卒業後、奨学金や親御さんが肩代わりした学費を返したい方にとっては、沖縄で就職しても返済が間に合わないということもあり、そのまま県外で就職される方もいます。沖縄に戻りたいけれど、学費を返してからでないと戻れないという状況があるのです。こうした実態を県も把握しており、奨学金返還助成制度がスタートしました。募集人員は例年20名を対象としています。沖縄県出身の薬剤師はもちろんのこと、県外出身の薬剤師もこの制度があることで沖縄県へ来て働いてくださっています。

薬剤師不足が少しでも解消され、本島でも離島でも同じように患者さんの希望が通って、医療や健康の相談ができる環境を目指しています。

沖縄県奨学金返還助成制度(薬剤師)告知のポスター

 

地域住民の薬局、薬剤師への信頼度は高い
薬剤師会も積極的に地域発信を行う

―地域住民と薬局、薬剤師の垣根は低いそうですね。

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