【Pick up1】
四方山話
小説家には2種類の人間がいて、自分の文章を「愛でる」タイプと、「排泄する」タイプに分かれるらしいです。
どういう事かというと、
小説家は一つの作品を生み出した後、自分の文章を「我が子のように可愛がって愛して何度も何度も読み返す(愛でる)」タイプと、「一度世に出したものにはまったく興味を示さず読み返しもしない(排泄)」タイプに大きく二分されるらしいのです。
私もアスヤクLABOさんで連載させていただいて随分と経つのですが、毎回のように思うのが「ああ、こう書けばよかったなぁ」という反省です。提出前には〆切ギリギリでも『文章を寝かせて読み返す』ようにしているのですが、公開された自分の文章を読むたびに「なんか読みにくい文章だな」と思ってしまいます。かと言って手直しするには遅すぎるので、基本、誰にも言わず、自分だけが悶絶して終わるパターンです。
それに疲れてか最近は読み返しもしなくなりましたので、上記でいうと“排泄型”に近いタイプになるのかもしれません。
とあるアーティストが
「最終的に作品を作り上げるのは情熱でも才能でもなく『〆切』である」
と言っていましたが、まさしくその通りかなと思います。見返せば見返すほど「直したい」箇所が見つかるので修正作業は永遠に終わりません。それでも「終える」事ができるのは“〆切”あってこそです。“〆切”のおかげで「諦め」られているのです。
(余談ですが「締切(〆切)」という言葉、「諦め」て「切る」という字なんですよね)
というわけで今回も、しっかり「諦め」たいと思います。