コラム記事

ポリファーマシーを解決!~患者さんの暮らしにあった減薬提案事例~

【在宅現場の『コレってどうする?!』/ 福島 梨沙】


このシリーズでは、初めて在宅の患者さんを担当する方や、日頃の在宅訪問に不安を感じている方へ、明日から役立つコツを実例をもとにお伝えしていきます。

「患者さんの薬が多くなんとかしたいとは思うけど、なかなか減薬の提案ができない。」
「ポリファーマシーの患者さんにアプローチして良いかわからない。」

今回のコラムでは、実際に処方提案をして変更に至った事例から、在宅ならではの患者さんの暮らしにあった減薬アプローチについてご紹介します!
(前回の記事はこちら→vol.17 緩和ケアにおける在宅薬剤師の関わり方<後編>~がん疼痛とオピオイドの使い方~


●ポリファーマシーとは?

ポリファーマシーの問題は近年多くの場所で取り上げられていますよね。私が在宅に関わるようになって、びっくりしたのは患者さんの服用薬の多さです。訪問服薬の対象になる患者さんは、複数科にかかっていたり、お薬の管理について問題がある方が多く、服用薬剤の種類・数ともに多い傾向にあります。また、残薬が大量にあったり、一包化の1回分の袋の中に10剤以上入っている方もいらっしゃいます。

ポリファーマシーとは?

多剤併用の中でも害をなすもの。薬物有害事象、アドヒアランス不良など多剤に伴う諸問題を指すだけでなく、不要な処方、あるいは必要な薬が処方されない、過量・重複投与など薬剤のあらゆる不適切な問題のこと。


日本での明確な定義はありませんが、6剤以上を基準としてポリファーマシーと呼ばれていることが多く、処方を見直すことが推奨されています。服用薬剤が多くなるほど、有害事象の発現は高くなり、特に高齢者ではふらつきや転倒などの頻度が高く、注意しなければならないからです。

ただ薬を減らすだけでなく、生活にあった処方提案を!

Vol.3(服薬管理困難ケースの対策検討 “3STEP”)でも取り上げたように、減薬を目的とするよりは、それぞれの患者さんにあった処方へ提案していくことが大切です。

「このお薬がないと不安、この薬は絶対これじゃないとイヤ」などこだわりがある方も多く、無理に変更すると関係性が悪くなってしまったり、患者さんの不安を助長してしまうことがあるためです。

患者さんの思い、治療の方針、生活環境などを考慮して提案していくようにしましょう。

【 コレってどうする?! 】どんなふうに処方提案や減薬の知識をつけたらいいのかわからない・・・。

『高齢者の安全な薬物療法ガイドライン』はそれぞれの疾患ごとに、気をつけるべき薬が記載されています。薬剤見直しの基本的な考え方は、『高齢者の医薬品適正使用の指針』が参考になります。
減薬したいという患者さんとは、『高齢者が気をつけたい多すぎる薬と副作用』を一緒にみてみるのも良いですね。

薬の優先順位を考えて最小限に
1.薬の優先順位を考えます。
2.そのうえで本当に必要な薬かどうかを検討します。
3.高齢者が副作用を起こしやすい薬は、できるかぎり避けます。
4.同時に生活習慣の改善も合わせて行います。
 引用:『高齢者が気をつけたい多すぎる薬と副作用』


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