コラム記事

在宅褥瘡治療への介入~一人ひとりにあったケアポイント(褥瘡患者さん編)~

【在宅現場の『コレってどうする?!』/ 福島 梨沙】


このシリーズでは、初めて在宅の患者さんを担当する方や、日頃の在宅訪問に不安を感じている方へ、明日から役立つコツを実例をもとにお伝えしていきます。

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在宅での褥瘡ケアは馴染みがなく困ったことはないでしょうか。
今回は、褥瘡患者さんの事例を含めて、在宅での知っておきたい褥瘡ケアのポイントついてお伝えします!
(前回の記事はこちら→vol.14 緊急対応にも動じない!薬局全体でカバーする在宅訪問の体制整備


●在宅患者さんは褥瘡になりやすい

在宅の患者さんでは、なんらかのきっかけでADLが低下して寝たきりの状態になると、褥瘡を併発してしまう患者さんがいらっしゃいます。元々は別の疾患で在宅訪問していたケースでも、褥瘡の治療が始まることは珍しくありません。


褥瘡の定義
身体に一定時間外力が加わることにより、骨と皮膚表層の間の軟部組織の血流が持続的に低下することで起きる不可逆的な阻血性障害と定義される疾患である

褥瘡は外力が加わることで起きますが、間接的な要因についても理解しておく必要があります。

例えば、
「骨折や転倒などをきっかけに痛みがあり、ベットにいる時間が増えた。」
「入れ歯が合わずに食事が思うように取れなくて、栄養が取れていない。」
ちょっとした生活の変化が原因で褥瘡があっという間にできてしまった、というケースもあるのです。

また、終末期の患者さんではお看取りが近くなるにつれ、食事量も少なくなり、体位の交換も自力では困難になったり、眠っている時間が長くなることも多いため褥瘡になりやすくなります。

褥瘡を未然に防ぐことができるように、患者さんの生活を包括的に捉え、間接的要因になりそうなエピソードがあれば他職種の方々と共有しておくことも在宅薬剤師の役割です。

●事例紹介

在宅訪問となるまでの経緯

●Aさんの場合(好酸球性肺炎・重度褥瘡・奥様と2人暮らし 80歳代 男性)

労作時呼吸苦の増悪あり救急搬送。急性代償性心不全と肺炎の診断にて入院。
好酸球の増加あり好酸球性肺炎疑いにてステロイド使用し軽快。排尿障害・腎機能障害もあり、排泄は膀胱留置カテーテル留置となっていた。

入院中に重度褥瘡を発症、自宅で可能な限り加療を継続する方針となった。

奥様と2人暮らしだが、奥様の介護力は乏しく、排泄介助や褥瘡の処置は難しい。
経口での食事は可能だが、嚥下力も低く栄養状態は良くない。

退院をきっかけに在宅導入となったため、訪問クリニックからの依頼があり薬局の介入となった。

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