今回は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬に関する基礎知識と経口抗ウイルス薬について、パンデミック下に薬局で働く薬剤師として押さえておきたいポイントをまとめてみます。
処方を受け付けている薬局とそうでない薬局に分かれると思うのですが、それに関わらず知っておきたい内容ですよね!
(今回の記事は2022年12月末時点の情報で作成しています)
2022年11月22日に『ゾコーバ錠®』が緊急承認されたことで、日本で承認されている新型コロナウイルスの治療薬は7種類(免疫抑制・調整薬を含めると10種類)となりました。治療薬は大きく抗ウイルス薬と中和抗体薬に分けられますが、新型コロナウイルスが変異を重ねた結果、中和抗体薬のオミクロン株に対する効果は低下しているという報告があります。そのため、現時点(2022年12月末)では変異による効果低下が見られない抗ウイルス薬が選択される機会が増えています。
抗ウイルス薬に分類される4種類のうち、経口投与可能なのは『ラゲブリオ®』、『パキロビッド®』、『ゾコーバ®』です。いずれも軽症〜中等症Ⅰに対して使用可能ですが、『ラゲブリオ®』と『パキロビッド®』については重症化リスク因子を有する場合に限って投与可能です。『ゾコーバ®』はリスク因子を有しない軽症〜中等症Ⅰに使用可能で、リスク因子を有しない軽症患者に使用可能なのはすべてのコロナウイルス治療薬で『ゾコーバ®』だけです。
『ゾコーバ®』、『ラゲブリオ®』、『パキロビッド®』のそれぞれに特徴があるので、しっかり把握した上で準備を行なっておくことが大切です。
1、国内で承認されている新型コロナ治療薬とその評価
2022年12月末の時点で、日本国内でCOVID-19の治療に関する適応で承認されている薬剤は10種類あり、そのうちSARS-Cov-2自体を標的とする抗ウイルス薬・中和抗体薬は7種類。SARS-Cov-2は変異のスピードが早く、日本での7回の流行波を見ても、毎回中心となる変異株は異なる。現時点(2022年12月末)で中和抗体薬はオミクロン株に対する効果が減弱しており、治療の中心となるのは抗ウイルス薬。
2019年12月、中華人民共和国 湖北省武漢市で報告されて以降、感染を世界中に広げた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、WHO(世界保健機関)は2020年2020年3月11日にCOVID-19をパンデミック(世界的な大流行)とみなしました。
日本国内も例外ではなく、2020年3月末から感染拡大を広げ、2022年末までに7回の流行波を繰り返しています。
抗ウイルス薬の開発は難しいといわれていましたが、2020年5月1 日に米国の『ベクルリー®点滴静注』(レムデシビル)の特例使用(コンパッショネート・ユース)を皮切りに様々な治療薬が開発されています。
日本国内でも海外で承認された薬を特例承認という形で導入し、2022年11月22日に『ゾコーバ®錠』が緊急承認されたことでCOVID-19治療薬は10種類(免疫抑制・調整薬を含む)となりました。
特例承認や緊急承認について詳しく知りたい方は過去記事をチェック!
日本国内で承認されているCOVID-19治療薬
まずは、2022年年末までの日本国内のCOVID-19関連の承認についてまとめます。