コラム記事

漢方でも、人を見た目だけで判断してはいけないようです。

現代医学では、問診の他に、血液検査や尿検査、レントゲン検査、病理検査などによって、体の状態を数値化や映像化して情報を得ることが出来ます。
よく先輩方から「病気の見える化できるのが特徴のひとつ」と話題に出されることが多いです。

中医学では、そういった技術や機械のない時代の考え方を用いることが多いため、四診に基づいて情報を得ていきます。


四診とは、


望診:目で見る
聞診:耳で音を聞いたり鼻で匂いをかぐ
問診:患者さんやご家族から症状や様子などを聞き取る
切診:手で脉やお腹に触れる


四種類の診察方法の総称。
これらで集められた情報を総合的に判断することで、その方の体の状態を考えていきます。
このことを「四診合参」といいます。
四診では視覚、聴覚、嗅覚、触覚をフル活用します。
中医学では、四診が診察、弁証が診断、論治が治療方針といった感じの流れとなります。


僕が重視していないだけかもしれませんが、四診を行う順番はそれほど重要ではないと思います。
「四診合参」の言葉があるように総合的に判断することが大切なので、四診間を行き来しても問題ないように思います。

「望診」について

今回は望診について書いていこうと思います。
望診は、体型・姿勢・表情・動作・排泄物などを見たり、皮膚・髪・耳・目・鼻・口・舌などの色や状態なども確認します。
望診の「望」の文字の意味には、「遠くをながめる」「様子をみる・うかがう」があります。
そのため目を凝らしてジッと見つめたり、細部まで細かく観察するといった感じではなく、「遠くのほうの何がしかの雰囲気をつかむこと」「ぼんやりと全身を見て情報を得て、必要であれば細かく観察していく」ようなイメージを持っておくとよさそうです。

参考 「みる」の字義
見:目でみわける
視:気をつけてよく見る、まっすぐにものを見る
観:よく見る、わきからながめる、一歩下がってものをながめる
看:注意してみる、手をかざしてみる、見守る
望:高きを見ること、遠くをみる、みわたす


以前のコラム【Vol.5 視点を変えると捉え方が変わる、漢方と中医学の違い】でも少し触れていますが、「ガッシリとした体格の方は、痩せている体格の方は」という捉え方があります。
確かに、「体格」の視点で虚実を判断するんでしたらそうです。
ただし体格が実もしくは虚であることが、その方のお困りごと(主訴)の虚実にそのまま反映されて良いかどうかは別の話です。
「“何が”虚」なのか「“何が”実」なのか、主語を意識することはとても大切です。
また、「この部分は実だけど、ここは虚、全体の印象は実」のように虚実が複雑に存在することはよくあります。

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