コラム記事

え〜っと、干支(えと)??十二支(えと)??

Vol.9人の体を構成する3要素「気・血・津液」のトリセツ ~「気」前編~ で少し触れたことについて、少し掘り下げてみようと思います。

昔の人たちは、『世界を含めた全てのものは気で出来ている』と考えていました。
この世の中は「気で満ちて」いて、その気の中でも「軽くて清いもの」は世界の上の方に浮かんでいって天になり、「重くて濁ったもの」は世界の下の方に沈んでいって地になります。
この状況を陰陽の視点で見ると、天と地は『天=陽、地=陰』となります。
天と地に分かれた気は、分かれたままか?というとそうではなくて、天地の間でグルグルと動いています。
この世界のしくみは、気がグルグルと動く(陰と陽の気が交わる)ことで世界の様々な変化を生み出していると、昔の人たちは考えました。

この世の気は、天と地の間をグルグルと動いているだけではなく、“ゆらぎ”というか“うつろい”のような変化もあります。
その変化は天の気では「10種類」あって「十干(じゅっかん)」や「十幹(じゅっかん)」「天干(てんかん)」、地の気では「12種類」あって「十二支(じゅうにし)」や「十二枝(じゅうにし)」「地支(ちし)」と呼ばれています。

十干

10種類には漢字のラベルが付けられていて、それが…
甲(こう)・乙(おつ)・丙(へい)・丁(てい)・戊(ぼ)・己(き)・庚(こう)・辛(しん)・壬(じん)・癸(き)

契約書とかによく出てくるアレ、出所はここです。
契約書で使われるのは、固有名詞の記載ミスを減らしたり、文字数を減らして文章を読みやすくするためなどの理由だそうです。

話を戻します。
これらの漢字は『植物の成長過程』の意味があるそうです。

種が固い殻に覆われている状態
固い殻を突き破る状態
成長が著しい状態
成長の勢いが盛んな状態
盛大に生い茂り、花が咲き、成長がピークを迎えた状態
成長がきわまって、形が定まった状態
咲いていた花が散り、実がみのった状態に変わること
新しい段階や状態にいたること
新しい種が固い殻の中に命を育んでいる状態
種が芽を出すための準備をしている状態

そしてこの10種類も「五行」「陰陽」に分類されていきます。

木の陽→木の兄(きのえ)
木の陰→木の弟(きのと)
火の陽→火の兄(ひのえ)
火の陰→火の弟(ひのと)
土の陽→土の兄(つちのえ)
土の陰→土の弟(つちのと)
金の陽→金の兄(かのえ)
金の陰→金の弟(かのと)
水の陽→水の兄(みずのえ)
水の陰→水の弟(みずのと)

兄(=陽)は「え」と読んで、弟(=陰)は「と」と読みます。
甲の文字は「こう」と読みますが、それとは別に「きのえ」とも読みます。
スマホやパソコンで「きのえ」と入力して変換してみてください、「甲」の文字が出てくると思います。
他の文字も同じです。

「ふ~ん、天の気って10種類あるんだ。」と違和感なく丸呑み出来た方もいるでしょうし、「いやいや、10って数字はどっから湧いてきたん?」と気になる方もいらっしゃると思います。
僕は後者のタイプなんですが、勉強する時は“丸呑み”した方が圧倒的に効率よく学べる場面も多々ありますよ。(自戒を込めて…
諸説あるとされていますが、もちろんデタラメに決められた訳ではありません。
ここの「10」の数字は、『両手にある“10”本の指を折って、日にちを数えていた』ことに由来するそうです。

昔の人たちは月の満ち欠け観察し、「新月(朔)→満月(望)→新月」この一連の周期が29日か30日であることを発見して、「1ヶ月」としました。
この「新月(朔)→満月(望)→新月」の時間を「朔望月(さくぼうげつ)」という名前も付いていて、現在は平均29.5日とされています。
数を数えるときに便利な方法は「指を折ること」です。
上旬・中旬・下旬と、両手の指10本を折るのを3回繰り返せば、1ヶ月を数えられます。
昔、指は「浣(かん)」や「澣」と表記されていたけど、いつからか「干」を書かれるようになったそうです。
歴史的には、「10本の指→十干→甲乙丙…の文字が当てはめられる」というのが順番かもしれませんね。

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