人口に占める65歳以上の割合が全国平均を上回る鳥取県。今後、県内全域で急速に高齢化が進むとみられ、薬剤師による地域住民のサポート体制や薬剤師会の運営そのものにも課題がのし掛かっています。鳥取県薬剤師会会長の原利一郎さんは、「薬剤師不足による会員数の減少に危機感を抱いている」と話します。課題をクリアにするためどのような取り組みをされているか、お話を伺いました。
会員数の減少に危機感
背景には薬剤師の高齢化と薬局のM&A
―鳥取県の薬局、薬剤師の現在の状況について教えてください。
薬局の在宅支援も始まり、これまで以上に薬局のマンパワーが求められる時代になっています。しかし、鳥取県はもちろん山陰地方全体に言えることなのですが、薬科大学がないために他県の薬学部に通うことになります。一度県外へ出てしまうとなかなか県内に戻ってこないことも多く、結果薬剤師が不足しているという状況にあります。
また、薬局経営者の高齢化も進み、それに伴って県外から参入してきた薬局によるM&Aも頻発しています。M&Aで吸収された薬局では、勤務薬剤師は薬剤師会には入らず、管理薬剤師しか入らないことが多々あります。これが続くようだと、もともと少ない当県の会員数がさらに減少することになるのではないかと危惧しています。 会員数が少ないため、会員ひとりひとりにかかる負担は他県よりも多少大きくなると思いますが、会員の皆さんが快く県薬の事業に協力してくださるおかげで、日薬の事業計画に沿った事業ができていると思っています。
―薬剤師不足は各地でも大きな課題となっていますが、課題をクリアするためにどのような対策を鳥取県薬剤師会独自の取り組みにはどのようなものがありますか。鳥取県薬剤師会独自の取り組みにはどのようなものがありますか。取られていますか?
平成24年から、鳥取県と県薬剤師会が連携し、薬剤師確保の対策事業を行っており、薬学生を対象に病院や各薬局などでの見学・体験の機会を提供する活動や、サマーセミナーを実施しています。2年ほど前からは、大阪医科薬科大学と就職協定を結び、薬剤師の確保に取り組んでいまして、薬剤師として新たに県内に就業する方を対象に、奨学金の返還額の一部を助成する制度も設けています。
また、高校生に向けた薬学部、薬剤師を紹介するセミナーも開催しています。セミナーでは、現場で活躍する薬剤師さんに、薬剤師の仕事内容ややりがいについて話しをしてもらっていて、参加した学生やその保護者からは、「薬剤師ってこういう仕事なんだ」と、興味を持ってもらえているようです。それまで薬剤師という存在を身近に感じていなかった方にも、薬剤師を知っていただく良い機会になっていると思いますし、非常に充実したセミナーですので、今後も精力的に取り組んでいきたいですね。