【Pick up1】
四方山話
街を歩いていると、確実に出会うモノがあります。
それは“信号”。ご存じ、青で進む・赤で止まれの世界共通ルールで交通整理しているアイツです。
皆さんは信号が青から赤に変わりそうなとき、どうしますでしょうか。自分がどの時点にいるかにもよりますが、私は渡りきれるよう小走りになる事が多いです。
そんな中、先日時間に縛られることなく街を歩いていた時でした。いつものように信号が変わりそうになり、まだ信号からは離れた場所にいた私は瞬間的に、「走れば渡れる」と判断しました。そう判断したはず…なのですが、なぜか足は動かず、そのままゆっくりと前に歩き続けました。すると、当たり前のように青は点滅し始め、そのうち赤になります。しばらくして停まっていた車も動き始めました。
私はゆっくりと赤信号の前で止まり、過去の自分と重ね合わせました。
『確かに走れば信号は渡れる。でもそれに何の意味があるのだろうか。もちろん一秒を争う状況なら走っただろう。でもそうじゃない時も、走って渡ろうとしていた。それで何秒稼いだのか。そして、その稼ぎに意味はあったのだろうか』と…。
現代はスマホを使えば一秒の狂いもなく時間を確認できます。それはそれで素晴らしい事ですが、何かが失われたような気持ちがどうしても拭えませんでした。
人はボーっとしている時でも脳は活発に動いている事が分かってきたらしいのですが、なんだか分かる気がします。そういう時こそ良いアイデアが浮かび上がるものです。ハンドルでいう遊び、一見意味が無さそうな余白、そういったものが、もしかしたら少しずつ削られてしまっているような、そんな気がしていたのかもしれません。