1、後発医薬品を中心とした医薬品供給問題
2021年、後発医薬品を中心に医薬品の供給が滞る状況が続いており、多くの薬局がその問題に頭を悩まされていることと思います。アスヤクLABOの会員を対象に実施されたアンケートによると回答者635人中615人が自身の薬局を利用する患者さんに医薬品供給問題による影響が出ていると回答しています。
▶「医薬品供給問題への対応状況 に関するアンケート」結果はこちら
後発医薬品メーカー主要各社が供給に問題が生じていると発表している品目数を見るとその深刻さがわかります。
・日医工:160品目(2021年10月12日)
・沢井製薬:490品目(2021年10月12日)
・東和薬品:385品目(2021年9月21日)
・日本ジェネリック(製造販売元 長生堂製薬):76品目(2021年10月1日)
今回は医薬品の供給問題について徹底解説!したいと思います。
連鎖していく出荷調整
まずは出荷調整という状況について簡単に説明したいと思います。
出荷調整とはある医薬品に対する需要(使用量)が供給(製造量)を上回った際、完全に在庫が枯渇して出荷停止となってしまうのを避けるためにメーカーが自主的に供給量を調整することです。本来その製品を使用していた患者が治療を継続できるように、購入していた医療機関への出荷を維持するため、各医療機関の過去の実績を元に出荷数を調整し、新規取引先への出荷は断るという状態です。 過去に実績がある医療機関でも、新たに使用開始する患者さんが増えた場合など、使用量が増えた場合は在庫数が足りなくなってしまう可能性があるので、医薬品が出荷調整になった場合、医療機関は普段以上に医薬品の在庫数に気を配る必要があります。ある製品が自主回収・出荷停止・出荷調整となり、一時的に市場から消えてしまったもしくは入荷しにくくなった場合、当然、薬局は他メーカーの製品を使用するしかありません。 その場合、どの製品に変更するかの検討を行い、在庫でき次第、順次切り替えていくのですが、近年では多くの場合、これがすんなりいきません。 医薬品の製造は年間の出荷予測に基づいて計画的に行われており、急激に発注量が増えた際に対応することは難しくなっています。そのため、メーカーは既存の購入先(患者)を守るため新たに出荷調整を行わざるを得ません。