令和6年10月1日から長期収載品の選定療養が施行されました。
これまでは先発品を選んでも後発品を選んでも、どちらも変わらず保険給付の対象となっていましたが、制度施行後は保険給付となるのは後発品を選択した場合が基本となり、患者希望により先発品を選択した場合は、先発品の薬価と後発品の最高価格帯との価格差の4分の1相当分を患者が自己負担することになります。
今回は、「薬剤師カモーンTV」「医薬情報おまとめ便サービス」「アスヤク」のコラボ企画と題して、選定療養制度施行後の薬局現場の声に迫ります。
後発品の率は高まっている

薬局経営者たっけ
今までジェネリック医薬品を推進してきて元々割合が高い店舗はあまり負担がなくスムーズに対応できている印象ですね。一方で、ジェネリック医薬品の割合が低かった店舗は都度患者様への説明の必要が出てくるので苦労をしているなと思います。
薬剤師あゆみ
実際に患者さんに説明してみての感想ですが、「国が推進しているなら後発品に変えようかな」と納得してくださる患者さんと「それでも私はこのお薬でいきたい」と言われる患者さんと2極化する印象ですね。でもクレームに繋がるようなことは今のところ無いですね。
薬局経営者たっけ
これを機に変えようかなという方が多くなり、後発品の率が高まっている店舗が多いですね。
クリニックや介護施設との連携が重要

薬局経営者たっけ
クリニックの先生や介護施設への説明が負担になっていることも見受けられますね。
薬剤師あゆみ
確かに、私の経験でもクリニックの先生が選定療養についてご存知無く、1から説明を行いました。処方箋の書き方も変わっていたり、医療事務さんの工数も発生するので薬局とクリニックで連携が取れていないとズレが生じますよね。
薬局経営者たっけ
介護施設に関しては、今まで会計の無かった患者さんが選定療養によって会計が発生する場合、施設側に問合せがいってしまうケースもあるので利用者さんと施設側と両方の理解が必要ですね。これを丁寧にやらないと薬局へのクレームに繋がる可能性もあります。
価格差計算や在庫管理の手間も

薬剤師2年目こーさく
患者さんが気にするのはやはり「価格差」なので、先発品との差額の計算の手間が増えたなと感じます。また、普段先発品のみ取り扱っていた薬が選定療養が始まり後発品を仕入れることになりその在庫が膨らんでしまうということも発生していますね。流通不安定もあるので患者さんをお待たせしてしまうケースもあります。
薬局経営者たっけ
薬剤師だけではなく医療事務の方もレセプトにコメントを残したりレジ締めのやり方がこれまでと異なったりという手間は発生していますね。選定療養の自費は消費税がかかるので会計処理も変わります。選定療養費の把握も必要ですね。
薬剤師あゆみ 薬剤師2年目こーさく
消費税、たしかにそうですね。

“選定療養”に関するアスヤクアンケート結果
アスヤク会員の皆さまに回答いただいた選定療養に関するアンケート結果をお届けします。
患者さんへの説明の工夫などぜひ参考にしてみてください!
令和6年10月にスタートした長期収載品の選定療養の対象製品が処方されている患者さんに対し、説明ご案内をはじめていますか? [n=387]

「いいえ、説明をしていません」と回答した方の主な理由
- 後発医薬品供給不安のため
- 後発医薬品の品質不安のため
- 本部からの意向
- 患者さんの状況(先発品で無いと服薬指導上問題がある等)
- 医師の判断
- 患者さんの意向
今回のタイミングで改めて新規採用した後発医薬品はありますか?[n=387]

今回のタイミングで新規採用した後発医薬品があると回答した方は全体の58%となり、主な応需科目毎に見てみると上位は、皮膚科、婦人科、耳鼻咽喉科という結果となりました。
長期収載品の選定療養について患者さんに説明するとき、何と説明していますか?また、何か患者さんに理解していただくため、後発品に移行していただくために、工夫していることがあれば、併せてお聞かせください。 [n=200]
- 「追加の料金が発生することがある」と説明。具体的な増加額をお伝えしている。
- 計算方法を伝えて「値段が自費扱いで消費税もかかってきます」
- ニュース等でご存知でしょうが、と前振りし文書を見せながら簡単に説明、「とりあえずジェネリックにしてみて次回先発に戻すか検討してみませんか?」と一旦変更してもらう。
- 制度の変更である事をお話ししています。不安に対して寄り添うようにしています。
- 入院の際の大部屋ではなく個室を選んだ時に発生する自己負担と同じと話している。
- 国の制度でお使いの先発品に対して負担が増えるが、後発との対比を示すと感謝されることが多い。
- 新たな制度で、ジェネリック品が市場に多く出回っている薬の内、対象の薬について、患者様に、後発品との差額の一部を保険外で負担していただくことになった。「後発品は、同成分のお薬で効果も同等であろうと認めたもの、一度お試しになりませんか」とお声掛けしている。AGのあるものはAGを用意して、後発に抵抗のある方にも受け入れやすい状態を整えている。
- 「10月1日から国の政策により、値段差のある薬について、高いお薬をそのまま使用するとその分が自費になってしまい、以前よりお会計が高くなってしまいます。今は国の試験を通った安全な後発品しか販売されていないこと、今は使用率が80%超えていることから、安心して使用できます」
- 「いくら高くなるの」と聞かれるので、ものにもよりますし、処方量や品目数にもよるので300から1000円と幅を持たせるようにしています。実際は、外用だと12円しか変わらない事もありますが、一人一人計算するのは非常に時間がかかるため、その状況は理解していただけることが多く、変える方が多いです。