昨今、スポーツファーマシストという言葉をよく聞くようになりましたが、ドーピングに関する実際の活動や役割などはまだ知らない方も少なくないようです。一方で、スポーツファーマシストでなくても、薬剤師ならば服薬指導の一環としてドーピングについての相談を受ける可能性もあります。2022年8月に開催されたアスヤクLIFE研修では、公認スポーツファーマシストの峰岸優志氏に、スポーツファーマシストの資格の取得方法や活動内容、また、薬剤師がドーピングについて相談を受けた時の対応などについて講演していただきました。
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1.公認スポーツファーマシストの役割と取得の流れ
公認スポーツファーマシストとは?
公認スポーツファーマシストは、最新のアンチ・ドーピング規則に関する知識を有する薬剤師です。(公財)日本アンチ・ドーピング機構※が定める所定の課程(アンチ・ドーピングに関する内容)終了後に認定される資格制度です。
※(公財)日本アンチ・ドーピング機構
日本アンチ・ドーピング機構(JADA)は、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)と連携し、アンチ・ドーピング活動を通してスポーツが公正に行われるための基盤の整備、スポーツのさらなる発展と普及を支え、感動と誇りと活力にあふれたより良い社会の実現を目指し活動している機関です。
公認スポーツファーマシストになるには?
では、公認スポーツファーマシストになるにはどうしたら良いのでしょうか。
資格取得までのスケジュールは以下のようになっています。
♦4~5月頃:受講者募集受付
♦6~7月頃:基礎講習会開催
♦11~12月頃:実務講習申し込受付
♦12~翌1月頃:e-ラーニング内で実務講習。知識到達度確認試験、認定申請
♦4月1日:認定
以上の流れで認定される公認スポーツファーマシストですが、薬剤師であれば公認スポーツファーマシストでなくても、服薬指導の時にスポーツを行う患者さんから、「服用している薬はドーピングになっていませんか?」と聞かれ、対応を求められることもあるかもしれません。では、なぜ資格を取得するのかというと、公認スポーツファーマシストになることで活動の場が広がりメリットもあるからです。
公認スポーツファーマシストの活動
公認スポーツファーマシストの活動範囲は個々によってかなり違いますが、一般的な活動には以下の4つが挙げられます。
①医薬品の適正使用とアンチ・ドーピングに関する情報提供
病院、調剤薬局などの業務中にドーピングの相談を受けた場合、服薬指導と同じように対応します。公認スポーツファーマシストになり、アンチ・ドーピングについて詳しくなることで、よりアスリートをサポートできます。
また、公認スポーツファーマシストの登録をしておくと、近くにお住まいのアスリートから相談の連絡がある場合もあります。
②学校教育の現場におけるアンチ・ドーピング情報を介した医薬品の使用に関する情報提供
現在、教育の現場でもアンチ・ドーピングが啓発されており、小学生から大学生までを対象にアンチ・ドーピングについて説明する機会があります。