【在宅現場の『コレってどうする?!』/ 福島 梨沙】
このシリーズでは、初めて在宅の患者さんを担当する方や、日頃の在宅訪問に不安を感じている方へ、明日から役立つコツを実例をもとにお伝えしていきます。
コロナ渦での面会規制もあり、私の患者さんでは、“少しでも長く自宅にいる時間ができたら”、“在宅療養を行いたい”と退院をご希望される患者さんが増えてきています。
今回は 、在宅導入をよりスムーズにするために実施される退院時カンファレンスや、退院後の訪問薬剤師の業務と役割についてご紹介します!
(前回の記事はこちら→vol.7 どっちが得意?!在宅医療のサポーター型薬剤師とリード型薬剤師)
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●チームで取り組む退院支援と在宅への移行までの流れとは?
●退院調整期間〜退院まで
-退院調整期間に行われること
-退院時カンファレンスはどんな時に開かれる?
-退院時カンファレンスの参加メンバーは?
-退院時カンファレンスでの薬剤師の役割とは?
-退院調整期間〜退院までの薬剤師の役割とは?
●前編まとめ
●チームで取り組む退院支援と在宅への移行までの流れとは?
下記の図は、退院支援から在宅移行までの流れを表したものです。退院までは退院調整期間、退院日以降は在宅移行期間となります。 前編の今回は、退院調整期間について、訪問薬剤師がすべきことや心がけている点についてお伝えします。
●退院調整期間〜退院まで
退院調整期間に行われること
患者さんが退院する場合、医療ソーシャルワーカー(以下MSW)さんが調整役となって退院支援を行います。MSWさんはご本人や家族のどのようにご自宅で過ごしたいか?という希望や思いを傾聴し、現状のADL(日常生活動作)やご家族の介護状況を考慮した上で、退院後の訪問サービスの必要性の検討を行います。その上で、医療的ニーズの高い*場合など、訪問サービスが必要だと判断した場合は、退院に向けて調整役であるMSWさんや退院後の在宅チームの調整役であるケアマネジャーさんを中心に、在宅訪問チーム(医師、看護師、薬剤師など)が結成されます。
* 医療的ニーズの高い患者の一例
・病状が不安定である
・複数の疾病を抱えている
・病気の悪化や再発リスクが高い
・生命の維持をするために必要な器具を使用している
・終末期状態にある etc.
退院時カンファレンスはどんな時に開かれる?
【退院時カンファレンスとは?】
退院時カンファレンスは、医師、看護師、薬剤師、MSW、理学療法士などの病院のスタッフや在宅の担当医、訪問看護師、薬剤師、ケアマネジャーなど地域の関係機関が参加し、退院後のサービス内容について情報共有するために行われます。
退院時カンファレンスでは病院側が開催の必要性を判断し、実施されます。必ず行われる訳ではありません。医療的ニーズの高い*患者さんや、独居など何らか課題がある場合に実施されます。退院後に、他職種の支援が必要な場合は、退院時カンファレンスが行われることが多いでしょう。
退院時カンファレンスでは、ご本人や家族が退院後の生活に向けた希望を確認し、在宅でのケアを実現するために知恵を出し合います。