【在宅現場の『コレってどうする?!』/ 福島 梨沙】
このシリーズでは、初めて在宅の患者さんを担当する方や、日頃の在宅訪問に不安を感じている方へ、明日から役立つコツを実例をもとにお伝えしていきます。
薬剤師の苦手な業務の1つといえば「薬歴」!大事な業務とわかっていても後回しにしていませんか?在宅では「報告書」という形で記録・作成しますが、どんなことを書けばいいのか?どうやって伝えたらいいのか?悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか?
今回は、報告書の書き方のこれってどうする!?にお答えします!
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(前回の記事はこちら→退院時カンファレンスって何するの?!スムーズな在宅移行のための薬剤師の役割<後編>)
<index>
●在宅の報告書って何?
-在宅訪問業務の流れと報告書
-報告書の提出先は?
-必須な項目は?一般的なフォーマットなど
-【コレってどうする?!】例題をやってみよう!
●報告書に含めるべきポイント〜3選〜
●報告書とそれ以外のコミュニケーション、使い分けのポイントは?
●最後に
-【コレってどうする?!】例題の記載例
●在宅の報告書って何?
在宅訪問業務の流れと報告書
在宅訪問業務の流れは下記の図の通りです。居宅療養管理指導を算定する場合は、薬学的管理指導計画を策定、居宅療養管理指導報告書(医療保険の場合は訪問薬剤管理指導報告書)の作成が必要となります。居宅療養管理指導報告書(以下、報告書)の作成と提出は在宅訪問後の大事な業務の1つです。
*特集企画「「できるようになりたい」に寄り添う日常生活のための支援~在宅医療へのはじめの一歩~」より参照
報告書の提出先は?
医療保険の場合は医師に、介護保険の場合は医師及びケアマネジャーに報告が必要です。
必須な項目は?一般的なフォーマットなど
報告書の必須項目はなく、フォーマットも指定はありません。ほとんどの薬局が薬歴システムに搭載されているフォーマットを使用しているのではないでしょうか。私たちの薬局でも薬歴システムを使って報告書を作成しています。
【 コレってどうする?! 】例題をやってみよう!
突然ですが、以下の実際の患者さんへの服薬指導の会話から、あなたならどのように報告書へ記載しますか?ぜひ考えてみてください! ※記載例は記事の最後に載せています。
●独居 80歳代 女性
デイサービスに週3回(月、水、金)、木曜日は訪問看護が訪問している。
朝、夕の服薬で服薬カレンダーを2週に1回セットしており、朝の薬は、血圧、利尿剤、認知症の薬を服薬している。
訪問薬局が訪問を開始してから3ヶ月ほど経過。最近の服薬の変更はなし。
4月に入って急にコンプライアンスが低下している。今回、訪問した際にはカレンダーに朝の薬が数個残っていた。曜日は月、水、金となっておりいずれもデイサービスの日だった。
薬剤師 : 今までお薬を忘れたことはあまりないと思うのですが、今回忘れちゃいましたか・・?
患者さん : 実は4月からデイサービスのお迎えが9時から8時半になってね。朝ご飯食べてから薬を飲もうと思っているのだけど、食べ終わってすぐに迎えが来ちゃって、バタバタしながら出かけることが多くなってしまって・・。帰ってきたらもう夕方でしょ。だから飲めない日があったのよ。
薬剤師 : そうだったのですね。それでちょっと生活のリズムが変わってしまったからだったのですね。デイサービスに行くのはこの時間でも辛くないですか?
患者さん :うん、やっと慣れて来たところで30分早くなるだけだから大丈夫よ。
薬剤師 : では、もう少ししたらリズムも掴めてくると思うので次回訪問した時にまた確認させてくださいね、飲み忘れちゃうようだったら、また考えましょうか。
何を書いたらいいのかわからない場合は、以下のポイントやコミュニケーションの使い分けも確認しながら記載してみてくださいね。
●報告書に含めるべきポイント〜3選〜
コンプライアンスや服薬状況
どのくらい服薬できていたか(日数、割合など)、服薬ができていない服薬時点に偏りがあったかを記載します。その際に考えられる原因があれば、一緒に報告しておくと良いでしょう。
【例】
・服薬コンプライアンスは14日分のうち2日(寝る前)の服薬忘れあり。ご本人は服薬の必要性を感じていない様子。
薬の変更による影響(特に副作用の初期症状など)