
令和8年度調剤報酬改定では、バイオ後続品(バイオシミラー)に関する制度の変化や新たな評価が行われる予定です。具体的には、バイオ後続品の使用実績に応じた評価の新設や、患者への説明の評価、さらにバイオ医薬品が一般名処方の対象となる方向性が示されています。
今回は、令和8年度改定を見据え、薬局薬剤師の視点から、バイオ後続品について徹底解説!したいと思います。
バイオ後続品の使用が推進される中、令和8年度調剤報酬改定では、バイオ医薬品の一般名処方の解禁や、バイオ後続品に関する説明や使用体制を評価する点数が新設されます。薬局においてバイオ後続品を扱い、患者さんに対して説明を行う上で、バイオ後続品について正確な理解を深めることが重要になります。先発品・後発品の関係とバイオ先行品・後続品の関係はどう異なるのか?今後の薬局業務を行う中でその理解が極めて重要になります。
1、バイオ後続品が推進される背景と数値目標
医療費適正化に向けて後発医薬品の推進が行われてきましたが、その数値目標がほぼ達成される中、バイオ後続品の推進に力が入れられており、具体的には「2029年度末までに、バイオ後続品が数量ベースで80%以上を占める成分数を、全体の成分数の60%以上とする」という目標が設定されています。ですが、後発医薬品と比べてバイオ後続品の推進が困難です。その背景には、バイオ医薬品が使用される領域では治療方針が慎重に設計されることが多いこと、また、薬剤費が高額であるため、高額療養費等の対象となり、バイオ後続品を選択した場合の経済的なメリットが患者さんに伝わりにくいという問題があります。
国がバイオ後続品の使用促進に力を入れている背景には、医療費適正化という大きな目的があります。後発医薬品は、先発医薬品と治療学的に同等でありながら薬価が低いことから、医療の質を保ちつつ患者負担の軽減や医療保険財政の改善に資する存在として位置づけられてきました。国はこれまで、数値目標を設定しながら後発医薬品の使用促進を進め、その結果、後発医薬品が存在する医薬品における使用数量は約8割に達しています。
一方、バイオ後続品についても、先行バイオ医薬品より薬価が低く、医療保険財政の観点から重要な役割を果たし得る医薬品であり、この点は後発医薬品と共通しています。しかし、バイオ医薬品は低分子医薬品とは性質が大きく異なり、製造や品質管理、臨床での使われ方にも特有の課題があります。そのため、後発医薬品と同じ枠組みで一律に使用促進を進めることは現実的ではなく、国はバイオ後続品について別途方針を定めてきました。
現在、国が示しているバイオ後続品に関する数値目標の一つが、「2029年度末までに、バイオ後続品が数量ベースで80%以上を占める成分数を、全体の成分数の60%以上とする」というものです。この表現から分かるように、後発医薬品とは異なり、バイオ後続品については、すべての成分で一律に置き換えを進めることを目指しているわけではなく、段階的に置き換えを進めていく形の目標設定となっています。
バイオ後続品が使われることの多い疾患領域はより専門性が高く、治療方針が慎重に設計されるケースが多く、薬剤変更に対する心理的ハードルも高くなっています。特に長期治療を前提とする場合、「安定している治療を変更したくない」という意識が働き、切り替えが進みにくいという現実があります。
また、もう一つの理由として挙げられるのが、高額療養費制度の存在です。バイオ医薬品は、がんや自己免疫疾患、難病など、医療費が高額になりやすい領域で使用されることが多く、患者負担は高額療養費制度によって一定の金額に抑えられます。その結果、先行品とバイオ後続品の薬価差を患者が実感しにくく、切り替えによる経済的メリットが実感されにくいという要因があります。
国が診療報酬改定を通じてバイオ後続品の使用や説明を評価しようとしているのは、こうした構造的な課題を踏まえ、医療現場での適切な関与を後押しする狙いがあると考えられます。
