令和6年度調剤報酬改定のポイントを徹底解説!〜改定の背景と調剤技術料

2024年2月14日、中医協は令和6年度診療報酬改定案を了承し、武見敬三厚生労働相に答申しました。

これにより、令和6年度診療報酬改定の議論はひとまず終了となり、3月5日付で告示が行われます。


診療報酬改定のうち、調剤報酬改定(調剤関連部分)の内容だけでも非常に多く、一つの記事にまとめようとするとかなりのボリュームになってしまいます。
そこで、今回は「改定の背景と調剤技術料」について、次回は「薬学管理料」について、という形で2回に分けて徹底解説します。


今回(背景と調剤技術料)

  • ・令和6年度調剤報酬改定の背景
  • ・調剤基本料
  • ・薬剤調製料

次回(薬学管理料)

  • ・調剤管理料
  • ・服薬管理指導料
  • ・そのほか指導料と管理料
  • ・在宅関連

という内容になっています。


それでは今回は、「令和6年度調剤報酬改定の背景と調剤技術料の改定」についてです。

トレンドを早読み!

物価高騰による賃上げ対応が行われることになり、令和6年度診療報酬改定の改定率は過去10年で最も高い数字になりました。が、それはあくまでも賃上げ部分が含まれるもので、それを除いて考えると決して楽観視できるも数字ではありません。実際に改定内容を見てみると賃上げ対応が行われる調剤基本料こそプラス改定となっていますが、地域支援体制加算は施設基準が強化されたにも関わらずマイナス改定になっています。さらに、特別調剤基本料については賃上げの対応からはずれただけでなく、非常に厳しい改定が行われます。ただし、連携強化加算についてはプラス改定が実施され、他にも新しい調剤基本料の加算が複数登場するなど、前向きに評価できる部分もあります。地域支援体制のみが評価される形から、より多くの薬局機能を評価する形に変わっていく過程と考えることができるのかもしれません。

1、令和6年度診療報酬改定の背景

この章のPOINT

令和6年度診療報酬改定は診療・介護・障害福祉サービスのトリプル改定になっており、2025年に向けて医療・介護・福祉の連携体制の構築が行われます。また、はじめて診療報酬改定の後ろ倒しが行われ、診療報酬改定と介護報酬改定の医療に関する部分は6月に実施されます。改定率は物価高騰に伴う賃上げ対応を加えたことで大きくプラスになりましたが、それを除けば決して楽観視できる数字ではありません。

まずは今回の改定全体の情報について整理しておきます。

今回の改定は色々と節目になるタイミングで行われます。


  • ・ポスト2025年を見据えた最後の改定
  • ・介護報酬・障害福祉サービス等報酬改定と合わせたトリプル改定(6年に1度)
  • ・診療報酬改定DX(医療DX)が盛り込まれる初の改定(診療報酬改定の後ろ倒し)
  • ・第8次医療計画に基づいて行われる最初の改定

2025年に完成を目指す地域包括ケアの形を決定づける重要な改定となります。


改定等の実施日についてです。


令和6年4月

  • ・薬価改定
  • ・介護報酬改定(6月実施分以外)

令和6年6月

  • ・診療報酬改定
  • ・介護報酬改定(訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、通所リハビリテーション、処遇改善関係加算の加算率の引上げ)

令和6年10月

  • ・長期収載品の一部選定療養

4月、6月、10月の3回、患者さんの自己負担が変化することになるので、わかりやすく説明できるよう準備しておきたいですね。


次に診療報酬の改定率についてです。

診療報酬は+0.88%となっていますが、この数字には、


  • ・看護職員、病院薬剤師その他の医療関係職種について、令和6年度にベア+2.5%、令和7年度にベア+2.0%を実施していくための特例的な対応:+0.61%
  • ・入院時の食費基準額の引き上げ(1食当たり30円)の対応(うち、患者負担については、原則、1食当たり30円、低所得者については、所得区分等に応じて 10~20円):+0.06%
  • ・生活習慣病を中心とした管理料、処方箋料等の再編等の効率化・適正化:▲0.25%

が含まれており、それを除くと+0.46%となります。


この+0.46%をもとに導き出された各科改定率は以下の通りです。


  • ・医科:+0.52%
  • ・歯科:+0.57%
  • ・調剤:+0.16%

ただし、+0.46%の中には「40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師・薬局の勤務薬剤師、事務職員、歯科技工所等で従事する者の賃上げに資する措置分:+0.28%程度」が含まれているので、賃上対応を除いた純粋な改定率は+0.18%程度なります。

+0.88%だけ見れば過去10年で一番高い改定率になりますが、その大部分は薬局には関係のない部分なので、薬局にとっての改定率は+0.46%(+0.18%)と考えた方がいいのかもしれません。

しかも、そこには賃上対応分が含まれているので、それを除いた+0.18%(調剤の配分は+0.06%くらい・・・?)を現実的な改定率と考えた方がいいと思います。

え?+0.18%がどの程度の改定率かって?


「過去10年で最低の改定率」になっちゃいます(泣)


最後に診療報酬改定のポイントとなる背景を整理しておきます。
調剤に関連するものを簡単にまとめておきます。


  • ・物価高騰に伴う賃上対応
  • ・医療DXの推進
  • ・ポストコロナにおける感染症対策の推進
  • ・医療と介護の連携強化(同時報酬改定)
  • ・在宅医療の強化

改定内容のどこに反映されているか意識しながら読んでいただければと思います。

2、調剤基本料1〜3の改定

この章のPOINT

調剤基本料の基本となる調剤基本料1〜3はいずれもプラス改定になっています。賃上げ対応として全てプラス3点の改定です。施設基準では唯一調剤基本料2について見直しが行われており、医療モール(同一建物)ではない近隣に複数の医療機関が存在する形式の薬局についての評価が設けられました。

まずは調剤基本料とその加算の改定について整理します。
多くの方にとって一番気になる部分だと思います。

点数の見直し

ページトップへ戻る