全てが発売されるとは限らない?2023年8月に承認された後発品の薬価収載を予想!

2023年8月15日、新規後発医薬品の製造販売が承認されました。
各社が申請を行い、問題なければ年末12月に薬価収載される予定です。

今回は承認された後発品について解説すると同時に、12月に薬価収載されるかどうかを予想してみたいと思います。

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2023年8月15日に新しい後発医薬品が承認されました。今回は成分として後発品が初登場する7成分に加え、後発品として初の剤形が加わるのが3成分です。AGと予想されるものも含めればAGは8成分承認されています。今回承認された後発品は12月に薬価収載予定ですが、全てが薬価収載されるかというとどうもそうでなもなさそうです。そこには参入メーカーの少なさやAG戦略などの背景があります。今回は2023年8月15日に承認された後発品について紹介すると同時に、12月の薬価収載されるかどうかについて、背景と合わせて解説したいと思います。

1、2023年8月承認の後発品

この章のPOINT

2023年8月15日に承認された後発品のうち、成分として初めて承認されたものは7成分、剤形として初めて承認されたものは3成分です。参入企業数が最も多いのがザイティガ錠の後発品で6社です。また、AGも多く承認されており、今回新規に登場した後発品だけでなく、すでに他社が後発品を発売しているものについてもAGが登場します。

今回承認された後発品のうち、初めて後発品が登場する成分は7成分です。
そのほか、すでに承認されている成分の別剤形も承認されています。
また、それらのうち複数がAG(オーソライズドジェネリック)であることが確認されています。

ということで、今回承認された後発品について、その背景ごとに整理してみたいと思います。

成分として初めて承認された後発品

その成分を含有する薬剤として初めて後発品が承認されたものは7成分16製品です。
箇条書きにまとめてみます。()内は先発医薬品名と承認取得企業数です。


初承認後発品 ・アビラテロン酢酸エステル錠250mg(ザイティガ®錠、6社)
・ ジクアホソルNa点眼液3%(ジクアス®点眼液、1社)
・ シタグリプチン錠12.5mg/25mg/50mg/100mg(グラクティブ®錠/ジャヌビア®錠、1社)
★ ゾニサミドOD錠25mg/50mgTRE(トレリーフ®OD錠、1社)
☆ プラスグレル錠2.5mg/3.75mg/5mg/OD錠20mg(エフィエント®錠/OD錠、2社)
・ ベプリジル塩酸塩錠50mg/100mg(ベプリコール®錠、1社)
★ ルビプロストンカプセル12μg/24μg(アミティーザ®カプセル、1社)

★がついているものはAGが承認されているものです。(☆はAG見込み)

参入企業(承認取得)数が最も多いのがザイティガ®錠の後発品となるアビラテロン酢酸エステル錠250mgの6社。
続いてエフィエント®錠/OD錠の後発品となるプラスグレル錠 /OD錠の2社。

参入企業数の少なさが後発品ビジネスの厳しさを物語っていますね・・・。
その分、承認を取得した企業は安定供給を行ってくれるものと期待しています。

参考:vol.31 後発品を中心とした供給不安の原因を徹底解説!〜有識者検討会の報告書を通じて

剤形として初めて承認された後発品

成分としてはすでに後発品が存在していますがその剤形として初めて後発品が承認されたものは3成分6製品です。
箇条書きにまとめてみます。()内は先発医薬品名と承認取得企業数です。


剤形初承認後発品 ☆ エルデカルシトール錠0.5μg/0.75μg(エディロール®錠、1社)
・ オセルタミビル錠75mg(タミフル®カプセルの新剤形、1社)
・ レボカルニチンFF内用液10%/分包5mL/分包10mL(エルカルチン®FF内用液、2社)

★がついているものはAGが承認されているものです。(☆はAG見込み)

新規承認されたAG

今回承認された後発品のうち、正式にAGと発表されているものは6成分10製品です。
また、正式には発表されていませんがAGと予想されているものが2成分6製品です。


()内は先発医薬品名です。

正式にAGと発表されているもの ・ ゾニサミドOD錠25mg/50mgTRE「SMPP」(トレリーフ®OD錠)
・ ダサチニブ錠20mg/50mg「BMSH」(スプリセル®錠)
・ タフチモ配合点眼液「SEC」(タプコム®配合点眼液)
・ タフルプロスト点眼液0.0015%「SEC」(タプロス®点眼液)
・ ルビプロストンカプセル12μg/24μg「VTRS」(アミティーザ®カプセル)
・ 酢酸亜鉛錠25mg/50mg「ノーベル」(ノベルジン®錠)

上で紹介したものと一部重複していますが、重複しているものは後ろに★をつけています。


AGと予想されるもの ・ エルデカルシトール錠0.5μg/0.75μg「トーワ」(エディロール®錠)
・ プラスグレル錠2.5mg/3.75mg/5mg/OD錠20mg「DSEP」(エフィエント®錠/OD錠)

上で紹介したものと一部重複していますが、重複しているものは後ろに☆をつけています。


AGはオーソライズドジェネリック(Authorized Generic)の略です。
詳しくは過去のコラムで解説していますが、一般的にAGと呼ばれているAG1は、原薬や製造方法が同じだけでなく、先発品と同じ工場の同じラインで製造されているものです。
参考:vol.13 目指せ!後発医薬品マニア?2022年2月15日承認品目で学ぶ後発品の知識


AG1であれば生物学的同等性試験が免除されるため、添付文書の薬物動態の項を見れば区別することが可能です。

2、新規後発品のポイント解説

この章のPOINT

ザイティガ錠の後発品アビラテロン酢酸エステル錠は250mgのみが承認を取得しており、今回最も多い6社が承認を取得しています。ジャヌビア錠/グラクティブ錠の後発品シタグリプチン錠は沢井製薬のみが承認を取得しています。先発品は新規承認後、順次適応を拡大していった経緯があるので特許の点で問題がないのか、薬価収載が無事に行われるか気になるところです。トレリーフOD錠の後発品ゾニサミドOD錠TREは住友ファーマプロモのみが承認を取得していますがAGとしての承認です。同じゾニサミドを成分とするエクセグランの後発品と区別するためTREの識別記号が用いられています。エフィエント錠の後発品プラスグレル錠は第一三共エスファと東和薬品の2社が承認を取得しています。第一三共エスファの製品がAGではないかと予想されますが、正式な発表がないのでそれを待ちたいと思います。

前章で簡単にまとめた承認品目のうち、特に気になる4製品について詳しく解説します。

ザイティガ錠250mgの後発品(アビラテロン酢酸エステル)

ザイティガ錠250mgアビラテロン酢酸エステル)にはじめての後発品が登場します。


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