
今では「漢方薬=エキス製剤」というイメージが定着していますが、それ以前の漢方薬は生薬をグツグツと煎じて飲んだり、生薬の粉末や丸めたものを飲んだりするものでした。
煎じる作業は、時間も手間もかかるし、においも出て煎じた後のカスの処理もあって、なかなか大変なんです。
そこで登場したのがエキス製剤。
これにはこんなメリットがあります。
1生薬を煎じる手間が省けて、とにかくラク!
2持ち歩きに便利で旅行先などでも飲める
3調剤しやすい
4生薬に比べて場所を取らずに保管できる
5生薬が虫に食べられる心配も少ない
「飲みやすさ」「扱いやすさ」「安心感」と三拍子そろっているからこそ、エキス製剤は今の暮らしにすっかり根づいているんですね。
こんなに便利なエキス製剤、「最初に作ったのはどこなんだろう?」って、ちょっと気になりませんか?
漢方エキス製剤が初めて世に出たのは、1957年です。
最初に販売したのは小太郎漢方製薬(コタロー)さんでした。
当時は「医療用」と「一般用」の区別はされていなくて、1967年から医療用医薬品と一般用医薬品の承認申請が区別されるようになりました。
このとき、コタローさんの葛根湯、当帰芍薬散、ヨクイニンなど6品目が薬価基準に収載されて、初の「医療用漢方製剤」として認められました。
1974年には、津村順天堂(現ツムラ)さんが販売を開始。
1976年、コタローさんツムラさんの品目がたくさん薬価収載され、この後さまざまなメーカーから次々と漢方エキス製剤が申請・販売されるようになっていきました。
こうして広まっていった漢方エキス製剤ですが、メーカーによってちょっとした違いがあるんです。
ツムラさんとコタローさんの大きな違いは、エキスの形です。
ツムラさんは「エキス顆粒」、コタローさんは「エキス細粒」で、粉の粒の大きさが違います。
粉のまま飲むと、口の中での広がり方や飲み心地に差が出ます。
お湯に溶かすときは、粒が小さい細粒の方が溶けやすいことが多いですが、これは種類によっても変わります。
中には、なかなかお湯に溶けずにずっとプカプカ浮いているものもあって、同じメーカーでも品目によって溶けやすさに違いがあるから、ちょっと面白いですよ。
ここからは、それぞれの医療用漢方製剤の品目を比較してみます。