コラム記事

スマホを見てるのもったいない!もっと自分や周りの人を観察してみよう。

今回もVol.19vol.20に引き続き、望診のおはなしです。
望診の練習は、「鏡に映った自分でもできるし、街を歩いたり電車で移動している時にだってできる!」と、先輩から教えていただきました。

望診で得た情報も「四診合参」で総合的な判断が必要ですが、その状態に至るまでのストーリーを考える練習はいつでも出来ます。
例として髪の毛、唇、爪の状態とそのストーリーの考え方の一部分をお伝えします。
点の知識を線で繋げていく練習にもなりますので、一緒に考えながら読んでいただけると嬉しいです。


【髪の毛】

髪の毛は「血余(けつよ)」という別の呼ばれ方があります。
血は、私たちの体を作り、生命活動を支えるために必要な基本物質で、五臓の肝に蓄えられています。
“余”の文字のとおり、余った血が髪の毛に作り変えられていると、昔の人たちは考えました。
また髪の毛は「腎の華」ともされていますので、髪の毛の状態やトラブルは血や五臓の腎の様子と関連が深いと考えられています。

華というのは、五臓の状態や不調が反映されやすい部位のことです。
五臓の状態を直接観察することは出来ませんが、五臓と関連が深い華(五華)の状態や色艶などを観察することで、五臓の状態を推測していきます。

抜け毛が多い・乾燥してパサつく・切れやすい・白髪・ハリやコシが少なくなってきたなどの状態は、血の不足「血虚」や腎に蓄えている精の不足「腎精不足」を疑います。

血のはたらきは、臓腑・組織・器官を「濡養」・「滋潤」するはたらきとされています。
栄養を届けたり、潤いを与えたりする役割を担ってくれている血が不足していると、髪の毛になる材料が少ない・栄養が届けられない・潤いが与えられないということになります。
そうなれば、上に書いたような髪の毛のトラブルが現れやすくなります。

血の作られ方は、2通りありました。
・飲食物から得られた水穀の精微を元に作られる
・五臓の腎が蓄えている精を、血に変化させて作られる
(vol.12vol.13も参考にしてください。)
血と精との間には「精血同源(せいけつどうげん)」という関係があるとされているので、腎精の不足も血虚に似たトラブルが考えられます。

そうなると、鑑別が気になりますよね?
五臓の腎は、生命の源、生長発育や生殖のはたらきがあります。
髪の毛のトラブルと同時に、性欲減退や生殖能力の減退がみられると、「腎の影響が強く出てきているのかな?」と考えるようになります。

また、五行色体表で五行の水や五臓の腎のグループに当てられている色は「黒」です。
一般的にはアジア人の髪の毛の色は「黒色」ですから、腎の華である髪の毛が通常の黒ではなく白になっていることは、腎の衰えと考えることが多いです。
性欲や生殖能力については、観察だけでは分かりませんし、デリケートな話題になりますから気を使います。
五臓の腎は、一定の年齢を過ぎると、どうしても年齢とともに衰えてきてしまいます。
年齢の割に白髪が目立つような場合は、腎の衰えを考えます。
逆に高齢でも髪の毛が黒々としていて、ボリュームのある髪の毛の方は、腎がしっかりしている方…かもしれません。

【口唇】

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