「血」の概念
血は、気や津液と一緒に人の体を作って生命活動を支えている基礎物質です。
血のはたらきは二つ
①全身に栄養と潤いを与える
②精神活動を支える
血の作られ方は
「飲食物を消化して得られる水分(津液)と気(営気)が合わさって、五臓の心(しん)が作用して赤い血が作られる」
こういった内容を前回のコラムで紹介しました。
「血」の作られ方~精から変化するルート~
血が作られるのはもう一つ別のルートがあります。
それが「五臓の腎が蓄えている精を、血に変化させて作る」ルートです。
五臓の腎が蓄えている精(腎精)は、骨を主(つかさど)り、髄を生み、髄は骨を満たしているとされています。
そして髄が満ちている骨から血が生まれると考えていて、「腎精は血を化生する」と呼んでいます。
反対に血が精に変化して精を補充します。腎精と肝血の間には「精血同源(せいけつどうげん)」という関係があるとされています。
現代医学では血液や血球は、まだ役割の決まっていない未分化の細胞「造血幹細胞」が分裂を繰り返すことで成長していき、形態や機能が変化(分化)していくことで作られます(造血)。胎児では肝臓や脾臓で作られる時期がありますが、成長していくと骨髄での造血に移り、乳幼児の頃には全身の骨髄で造血が行われるようになります。
成人に向かうにつれて、頭がい骨、胸骨、椎骨、骨盤等の骨髄での造血が行われます。
また腎臓はエリスロポエチンというホルモンを分泌しています。
エリスロポエチンは骨髄の造血幹細胞に働いて、赤血球をつくる働きを助けています。
正常な血球には寿命があって、白血球は数時間から数日、血小板は約10日、赤血球は約120日とされていて、絶えず補充が必要ということになります。
血を作る二つのルートを、もう少し言い換えると、
①「飲食物を消化して得られる水分(津液)と気(営気)が合わさって、五臓の心(しん)が作用して赤い血が作られる」ルート
=体の外から材料を仕入れて作るルート
②「五臓の腎が蓄えている精を、血に変化させて作る」ルート
=体の中に蓄えている物を変化させて作るルート