
令和8年度調剤報酬改定は、「患者のための薬局ビジョン」で掲げる「門前からかかりつけ、そして地域へ」を実現することを目標に、大きな方向転換が行われることになりました。前回の記事では調剤基本料の見直しと合わせて、薬局の評価が立地から機能に移行することについて解説しましたが、今回は薬局の機能の要になるであろう「かかりつけ薬剤師」による指導について徹底解説!します。
令和8年度調剤報酬改定では、かかりつけ薬剤師について大きな見直しが行われました。かかりつけ薬剤師になることよりも、なってから何をするかで評価される制度体系になることで、患者さんにかかりつけ薬剤師の本当の役割が伝わることが期待されます。それは薬局のかかりつけ化にもつながっていくはずです。
1、かかりつけ薬剤師指導料が廃止!?衝撃の内容とその背景
令和8年度調剤報酬改定ではかかりつけ薬剤師指導料とかかりつけ薬剤師包括管理料が廃止となり、かかりつけ薬剤師による服薬指導は従来の服薬管理指導料に統合されています。これまでのかかりつけ薬剤師指導料では、患者の同意を得ることで点数としての評価が高まる形になっており、同意取得を目的に患者さんへの声掛けが行われるケースが存在し、中医協の中でそれが問題視されていました。今回の改定では、患者自身によるかかりつけ薬剤師の選択を目標に制度の見直しが行われます。
令和8年度調剤報酬改定では、かかりつけ薬剤師指導料とかかりつけ薬剤師包括管理料が廃止され、かかりつけ薬剤師による指導は服薬管理指導料の評価に統合されます。服薬管理指導料1・2がかかりつけ薬剤師が実施した場合とそれ以外に区分されますが、かかりつけ薬剤師が実施した場合であっても点数は通常の服薬管理指導料と同じです。

「通常の服薬管理指導料よりもやることが増えるのに、点数が変わらないのなら誰も算定しなくなる!」SNSでそんな投稿を見かけましたが果たしてそうでしょうか?
個人的にはかかりつけ薬剤師の見直しはかなり前向きに捉えていますし、そもそも、この点数の見直しには理由があります。
令和8年度調剤報酬改定に向けての議論が進む、昨年(令和7年)11月28日に開催された中医協総会(第631回)では調剤について(その2)のテーマで、薬局の対人業務に関する議論が行われました。その中で、かかりつけ薬剤師に関する議論も行われたのですが、そこで問題視されたのが、「かかりつけ薬剤師指導料の算定回数のノルマ化」と調剤全体に占める算定回数の少なさです。

かかりつけ薬剤師指導料は、「かかりつけ薬剤師が、保険医と連携して患者の服薬状況を一元的・継続的に把握した上で患者に対して服薬指導等を行った場合に算定できる」点数でした。他にも様々な要件がありますが、以下に示すように、継続的服薬指導(フォローアップ)や患者宅の訪問も算定要件に含まれています。

ですが、実際にはかかりつけ薬剤師指導料は患者さんの同意を得て、同意書にサインをしてもらうことで算定可能な点数となってしまっていました。同意書へのサインという高いハードルがそうさせてしまったところもあると思いますが、同意を得れば算定可能な点数となってしまい、同意を得ることがゴールになっている部分があり、それがノルマ化の一因となっていたように思います。
本来であれば、同意を得てからがかかりつけ薬剤師としての業務の始まりです。もちろん、そのような活動を行なっている方はたくさんいると思いますが、かかりつけ薬剤師の算定・認知が進まない背景には、国民(患者さん)全体として、かかりつけ薬剤師がいてくれてよかったと感じる割合が高くないからではないかと推察されます。また、かかりつけ薬剤師としての指導は従来から行っていることなので、高い点数を算定することに抵抗を感じ、あえて算定していないケースが一定数存在することが指摘されました。これらの意見をもとに新たな制度として見直されたのが、令和8年度調剤報酬改定における「服薬管理指導料1・2のイ」です。かかりつけ薬剤師となり、服薬指導を行うだけでは点数は変化せず、そこから、かかりつけ薬剤師としての業務を行うことで、加算等の評価を得ることができる仕組みになっています。まさに、かかりつけ薬剤師になってからがスタートという制度です。
