コラム記事

短冊直前!これまでの議論の整理から見える2026年調剤報酬改定

令和8年度診療報酬改定の議論も佳境に入ってまいりました。
今月末にはいよいよ短冊が公開されますが、公開に向けて「これまでの議論の整理(案)」が公開されています。
令和8年1月14日には厚生労働大臣から中医協会長に対する諮問が行われています。
今回はこの内容をもとに令和8年度調剤報酬改定がどうなるかを考えてみたいと思います。


※調剤基本料、基本料の加算、在宅に関する議論については前回の記事で紹介しているため、軽く触れる程度にしています。気になる方は前回の記事をご覧ください。


前回記事:令和8年度調剤報酬改定の行方は?〜中医協資料に描かれた10年後の薬局


トレンドを早読み!

令和8年度診療報酬改定の議論もいよいよ大詰め、「これまでの議論の整理(案)」が公開され、短冊(個別改定項目)の議論に向かおうとしています。「これまでの議論の整理(案)」は短冊の見出しになるであろう内容をまとめたものなので、読み込むことでどのような改定が行われるか何となく見えてきます。改定率はここ数年で最大のプラス改定ということが話題になっていますが、詳しく見てみると調剤への影響は大きくなく、点数の増減よりも、改定の中身が重要ということを実感します。今回は薬局のあり方について大きな見直しが行われる改定になりそうです。在宅や調剤基本料に関する部分以外では、かかりつけ薬剤師、調剤管理料(内服薬)の区分、吸入薬指導加算、服用薬剤調整支援料、残薬調整・リフィルに関する処方箋様式、バイオシミラーの説明、経腸栄養剤の保険給付に大きな変化が起きそうです。

1、改定率と今後のスケジュール

この章のPOINT

令和8年度診療報酬改定の改定率は近年稀に見るプラス改定となりました。ですが、調剤報酬改定により経営も上向きに・・・と考えるにはまだ早いかもしれません。改定率の内訳を見ると調剤においてはそこまで大幅なプラスにはならないことがわかります。その場合、数字によるプラスを期待するのではなく、改定内容に対応することがより重要になってきます。「これまでの議論の整理(案)」からは調剤報酬改定の内容を読み取ることができます。

令和7年12月24日、厚生労働大臣と財務大臣による2026年度予算編成に向けた大臣折衝が行われ、令和8年度診療報酬改定の改定率が決定しました。


中央社会保険医療協議会 総会(第641回) 物価対応について(その2)

診療報酬本体の改定率は+3.09%!本体改定率が+3%を超えるのは30年ぶりです。
また、薬価等の改定率−0.87%を差し引いた全体の改定率(ネット改定率)は2.22%となり、こちらは12年ぶりのプラス改定になります。


いずれにせよ、近年稀に見るプラス改定となりました。
ですが、これで調剤報酬もしっかり上向きに!って言えるかというとそんなことはありません。
もう少し詳しくみてみると・・・。


本体改定率+3.09%のうち+1.70%は賃上げ分(①)です。
令和6年度改定でも同様の対応がありました(0.28%+0.61%=0.89%)。
数字を直接比較していいものかどうかは不明ですが、令和6年度改定よりもはっきりとしたプラスになりそうです。


物価対応分が+0.76%。ただし、内訳は決定しており、保険薬局は+0.01%(②)と明記されています。
食費・光熱水費分の+0.09%(③)は入院のことだと思うので調剤は関係なし(と思う)。
経営環境の悪化を踏まえた緊急対応分が+0.44%。これも保険薬局は+0.01%(④)と明記されています。


少し気にしておかないといけないのは、
後発品への置き換え、処方や調剤に係る評価の適正化、在宅医療の評価の適正化、長期処方・リフィルの取り組み強化による-0.15%(⑤)が含まれていることです。
この部分、多くが調剤に影響する内容となっているので-0.15%のうちかなりの割合を調剤が負担する形になるのでは?と考えています。


そして、これまであげたものを差し引いた、いわば通常の診療報酬改定部分が+0.25%。調剤改定率(医科・歯科・調剤への割り振りを踏まえた改定率)は+0.08%(⑥)です。


賃上げの+1.70%は置いといて、②+④+⑤で+0.10%となりますが、⑤のうち調剤が担う割合が大きければかなり低くなってしまいます。賃上げ分の割り振りがどの程度あるかは不明ですが、かなり厳しい改定になると覚悟しておいた方がいいなと考えています(はずれたらラッキーということで)。


こうなってくると、大事なのは改定の中身になります。
数字(点数)が良くなることを求めるのではなく、中身(算定要件等)によって算定しやすくなるかどうかの方が重要となります。


ということで今回注目するのが「令和8年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(案)」という資料です。
「これまでの議論の整理」には、短冊(個別改定項目)の見出しとなる部分が記載されています。
言葉ではわかりにくいので、令和6年度改定を例にするとこんな↓感じです。


個別改定項目について(令和6年度診療報酬改定)
令和6年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(中央社会保険医療協議会 総会(第578回))

このように「これまでの議論の整理(案)」の内容をもとに、具体的な改定内容に落とし込んだものが個別改定項目になります。


令和8年1月14日には厚生労働大臣から中医協会長に対する諮問(診療報酬改定について意見を求めること)が行われており、1月末まで個別改定項目(案)が公開され、2月に答申(諮問に対する回答)、2026年度診療報酬改定が決定となります。

2、薬学管理料に関する議論の整理

この章のPOINT

かかりつけ薬剤師について大きな見直しが行われそうです。患者さんが主体的にかかりつけ薬剤師を選択するような改定になるのかもしれません。調剤管理料(内服薬)の区分が見直され、4区分が最大1区分にまで減ることになりそうです。吸入薬指導加算、服用薬剤調整支援料、残薬調整に関しては対象が拡大されるような改定になりそうです。

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