改定直前!令和6年度調剤報酬施行後の外来調剤を考える

令和6年度調剤報酬改定が告示されましたが、皆さんは令和6年度診療報酬・調剤報酬改定 施行後に向けての準備は進んでいるでしょうか?
今回は、令和6年度調剤報酬改定の施行まであと2週間!ということで、施行後の業務がどのように変化するかをイメージしてみたいと思います。
基本料やその加算については多くのところで語られていると思うので、今回はそれ以外の外来業務に関わる部分を具体的にイメージしてみたいと思います。

トレンドを早読み!

令和6年度調剤報酬改定では薬局の外来業務について複数の見直しが行われます。まずは薬剤調製業務のうち、自家製剤加算の見直しが行われており、嚥下困難者用製剤加算が廃止され自家製剤加算に一本化されています。また、供給不安により医薬品が手に入らない場合に粉砕等を行った場合も自家製剤加算が算定可能になります。次に服薬指導について重点的な指導が必要な場合(特定薬剤管理指導加算1)や丁寧な指導を行った場合(特定薬剤管理指導加算3)の評価が行われ、メリハリをつけた服薬指導が行われるような改定になっています。薬局からの情報提供や服薬フォローの強化が行われ、重複投薬・相互作用等防止加算、調剤後薬剤指導管理料(加算から管理料へ変更)、服薬情報等提供料の見直しが行われています。メリハリをつけた服薬指導や継続的服薬指導の強化、薬局から他職種への情報提供が推進されることで、これからの2年間でかかりつけ薬局・薬剤師の推進が進んでいくものと予想されます。

1、薬剤調製業務はどう変わる?

この章のPOINT

まずは、薬剤調製に関わる部分、点数で言えば調剤技術料に該当する部分です。今回の改定では嚥下困難者用製剤加算が廃止されます。結果として粉砕調剤を行った場合は自家製剤加算を算定することになります。また、自家製剤加算は調剤後の剤形が存在する場合は算定不可ですが、供給不安で医薬品が入手困難な場合であれば算定可能となるルールが追加されます。

今回の改定では薬剤調製業務に関する見直しが行われています。

粉砕調剤の評価は自家製剤加算一択に!

嚥下困難者用製剤加算が廃止され、自家製剤加算に一本化されます。

自家製剤加算と嚥下困難者用製剤加算の比較

これまでは粉砕調剤を行った理由によって嚥下困難者用製剤加算か自家製剤加算かを選択していましたが、今後は自家製剤加算に一本化されます。

嚥下困難者用製剤加算を自家製剤加算に変更すると、内服なら1調剤で28日分、2調剤なら14日分を超えれば嚥下困難者用製剤加算の点数より高くなります。
頓服であれば1調剤だけで嚥下困難者用製剤加算で算定していた点数を超えることになります。
また、嚥下困難者用製剤加算を算定する場合は外来服薬支援料2を算定することができませんでしたが、自家製剤加算は外来服薬支援料2の範囲でなければ同時算定することが可能です。

算定可能な点数を把握して、薬局内で共有しておくことが大切です。
同時に患者さんの負担額が増える場合が多いと思うのでそのことについての準備も必要になってくると思います。

供給不安により医薬品が入手困難な場合も自家製剤加算を算定可能に!

自家製剤加算は「調剤後の医薬品と同一剤形および同一規格の医薬品が存在する場合」は算定不可となっています。
ですが、今回の改定により、供給上の問題により入手困難であり、調剤を行う際に必要な数量を確保できない場合に自家製剤を行った場合は自家製剤加算を算定可能となりました。

診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知) 令和6年3月5日 保医発0305第4号 別添3 調剤点数表

これまでもオセルタミビルDS(タミフル®)やアセトアミノフェン細粒(カロナール®)の供給が不足した際には臨時的に行われてきた対応ですが、今回の改定により、供給不安によって入手困難となり、どうしてもその剤形が必要となれば通知を待たずとも自家製剤加算を算定することが可能となります。

容器代の返金が不要に

これまで疑問に感じていた人も少なくないと思いますが、投薬に用いる薬剤の容器については薬局から患者へ貸与することが原則となっており、容器代の実費を徴収した場合は、患者が容器を返還した場合にその実費を返還することとなっていました。

今回の改定ではこの部分に見直しが行われ、容器代については実費を徴収できるようになり、容器を返却されても実費を返還する必要はなくなりました。

診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知) 令和6年3月5日 保医発0305第4号 別添3 調剤点数表

2、メリハリをつけた服薬指導

この章のPOINT

今回の改定では外来での服薬指導について大きな見直しが行われています。一つは特定薬剤管理指導料1の見直しで、算定可能なタイミングが限定されることになりました。もう一つは特定薬剤管理指導料3の新設で、丁寧な服薬指導を評価する点数です。この2つにより、メリハリをつけた服薬指導が行われることになり、薬局の業務が整理されると同時に、患者さんにとってより有意義でわかりやすい服薬指導が行われることになります。

今回の改定では薬剤服用歴の合理化(一部簡略化)と合わせてメリハリをつけた服薬指導がテーマの一つになっています。

常に一律な服薬指導を行うのではなく、患者の状況の変化や処方内容の変化に応じて重点的・丁寧な指導を行うべきという考えです。
そうすることで薬剤服用歴の内容もメリハリのついたものになっていきますし、服薬指導を通じて対人業務の推進・充実が期待できます。

ハイリスク薬の指導はポイントを押さえて行う形に

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